1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

無理だろ、今さらローンを組むなんて…「評価額6,900万円」「築70年都内の実家」が空き家に…実家を相続したおひとりさま〈65歳男性〉に残された3つの選択肢【相続の専門家が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月29日 11時15分

無理だろ、今さらローンを組むなんて…「評価額6,900万円」「築70年都内の実家」が空き家に…実家を相続したおひとりさま〈65歳男性〉に残された3つの選択肢【相続の専門家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

築70年の実家にお住いの恒夫さん。ついにお風呂が使えなくなってしまい工事費の見積もりを頼んだところ、200万円かかるだけでなくほかの場所もリフォームが必要になることは目に見えています。いっそのこと建て替えか住み替えをしようかと悩み、お兄さんと一緒に相談に訪れました。本記事では、相続した家の売却や資産組替ついて、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

ずっと実家住まいのおひとり様

65歳の恒夫さんが相談に来られました。相続した実家は恒夫さんが生まれる前の昭和20年代に建築さた築70年の家。建て増ししたり、改築したりしながら住んできたのですが、いよいよお風呂が使えなくなり、ガス業者さんに見てもらうと「取り換えが必要だが、風呂釜だけでなく、浴室全体の工事をしないとユニットバスが入らないため、工事費は200万円ほどかかる」と言われたのです。

お風呂を直しても、次はキッチンや洗面所もリフォームが必要になることは目に見えています。

とりあえずのアパート生活

決断がつかないまま、日々のお風呂が使えない不便さを解消するため、たまたま空室があった隣のアパートに仮住まいをするようにしたそう。

日々の生活はそれで続けているものの、自宅をどうしようかと思い、アドバイスをしてもらいたいと、兄(70代)と一緒に相談に来られました。恒夫さんは二人兄弟。兄は長男ですが、20代で結婚して家を離れました。実家には祖父母と両親、孫の恒夫さんで暮らしてきました。

土地は祖父の代からの借地で、ずっと地代を払ってきましたが、地主さんから「相続税を支払うために買ってくれないか」という申し出があり、父親が亡くなった後、母親が底地を買い取ったという経緯があります。

昨年、母親が亡くなったため、ずっと同居してきた恒夫さんが相続しました。

相続税はかからなかった

自宅の土地は55坪で路線価は38万円、評価額は6,900万円でした。建物や預金を合わせて、母親の財産は7,500万円。基礎控除は相続人2人なので、4,200万円です。兄は自宅を所有しているので、実家は同居してきた恒夫さんが相続することで合意してくれました。

相続税の申告は必要でしたが、同居する恒夫さんが相続することで小規模宅地等の特例が使えるため、自宅の土地評価が5,520万円減額されることで、基礎控除以内と財産となり、相続税はかからなかったのです。

兄とも遺産分割協議も円満に済み、不動産の名義も相続登記も終わり、ひと段落したところだと言います。

空き家になった自宅、これからどうする?

ようやく母親の1周忌も終わり、相続税の申告や名義替えができたことで、恒夫さんはあらためて「相続した実家をどうにかしなくては」と考えました。

選択肢はいくつかありますが、主には次の3つになります。

1.建築費を借入して自宅を建て替える

2.半分売って売れたお金を建築費にして、建て替える

3.売却して売れたお金で住替える

それぞれのメリット、デメリットがありますので、それぞれを整理すると次のようになります。恒夫さんが相続されたご実家は都内なので、参考価格は周辺の事例より提要しています。

1.建築費を借入して自宅を建て替える…土地を残したい場合

【メリット】

55坪の土地には110坪の建物が建てられます。おひとりさまが住む家には広すぎるため、20坪を自宅として90坪を賃貸する賃貸併用住宅を建てることを想定します。

坪単価が100万円の木造建物を建てると1億円の建築費がかかります。建築費は総額を借り入れで調達すると、期間35年として月306,184円を返済する必要がありますが、家賃収入から返済できる事業計画は立てられます。

・家賃収入想定 100,000円×7室=700,000円

・返済 306,184円

・差し引き 393,816円

【デメリット】

借り入れが必要となるだけでなく借り入れのための連帯保証人が必要。おひとりさまの場合は相続人の兄か甥姪が候補となります。さらに、自宅に賃貸住宅が併設されているため、賃借人との関わりも必要になります。

2.半分売って売れたお金を建築費にして、建て替える…土地を残し、借り入れなしにする場合

【メリット】

土地半分を売却してそのお金を建築費に充てられるため、借入が不要となります。

27.5坪の売却代金の想定は坪150万円で売却したとすると売買代金は4,125万円となります。55坪の建物を建て半分の2戸を賃貸する場合、20万円程度の家賃が得られます。

【デメリット】

自宅の土地が半分になります。賃貸住宅が併用されているため、賃借人との関わりも必要になります。

3.売却して売れたお金で住み替える…土地は残せないが、借入のない住み替えができる

【メリット】

自宅土地を坪150万円で売却すると8,250万円を受け取れます。そのお金を原資として自宅と賃貸物件を購入することができます。老後を考えて自宅はワンフロア―、バリアフリーのマンションが候補となります。賃貸物件は中古の区分マンションのオーナーチェンジ物件だとすると4,000万円、利回り4%であれば毎月13万円の家賃が得られます。自宅と賃貸を分けることで煩わしさはありません。

【デメリット】

住み慣れた自宅がなくなってしまいます。

おひとりさまは身軽なほうが楽

恒夫さんは兄が結婚した後もずっと両親と同居してきました。仕事も続けてこられたので同居のメリットは大きいと言えます。父親の介護は母親がしてくれていましたので、それほど恒夫さんに負担がかかることはなかったのですが、母親も80代半ばをすぎると認知症気味に。60歳で定年になった恒夫さんが介護をする役割となり、やはり大変だったといいます。

自宅は昔ながらの作りでバリアフリーにリフォームもされていません。母親の日常生活からサポートをする必要があり、定年後だからこそできたと恒夫さんは話していました。

母親が亡くなって次のステージへ

昨年、母親は93歳で亡くなりました。平均寿命を超えての大往生ですので、兄も恒夫さんも思い残すことはないということです。

兄は夫婦共有の家もあり、子どももいるので、実家は恒夫さんが好きなようにしていいと言ってくれています。

人生100年時代と考えれば、恒夫さんの第二の人生はまだまだ始まったばかり。いよいよ自分のために決めて、次のステージに進むときです。

おひとりさまという状況であれば、これから35年ローンを抱えていくよりは、売却、資産組替で、金銭的にも精神的にも負担のない形にされることをおすすめしました。恒夫さんもそうした方向で考えたいと前向きに進めていく予定です。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください