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「合同会社を株式会社に変更する」は可能…“組織変更”を検討すべきタイミングとは?【司法書士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月5日 8時10分

「合同会社を株式会社に変更する」は可能…“組織変更”を検討すべきタイミングとは?【司法書士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

合同会社で事業をスタートしたものの、事業の成長や信用力向上のために「株式会社へ変更したい」と考える人も少なくありません。合同会社から株式会社への変更は、「組織変更」という手続きで実現可能です。加陽麻里布氏(司法書士法人永田町事務所 代表)が解説します。

合同会社から株式会社への変更は可能

合同会社から株式会社への変更は、会社の形態を根本的に変更する手続きです。この変更には、会社法で規定された「組織変更」のプロセスを経る必要があります。

組織変更を行うことで、既存の合同会社を解散して株式会社をいちから作りなおすことなく、同じ法人格のまま(これまでの歴史を引き継いだまま)株式会社に変更することが可能です。

組織変更の流れ

合同会社から株式会社への組織変更は、次の手順で進めます。

(1)組織変更計画の作成

まずは代表社員が、組織変更後の株式会社の概要をまとめた「組織変更計画書」を作成します。この計画書には、商号、事業内容、資本金、株式数、株主構成などを記載します。

(2)社員総会での承認

組織変更計画書を合同会社の社員(出資者)全員で承認します。この際、全員一致でなければなりません。一人会社であれば留意することはありませんが、複数人で出資して設立した場合は、事前に出資者間で十分な合意を形成しておくことが重要です。

(3)株式会社設立のための準備

株式会社としての運営に必要な定款を作成します。定款には、商号や事業目的、役員構成、株式に関する事項を明記します。

(4)組織変更登記の申請

必要書類を揃え、法務局にて組織変更登記を行います。この手続きが完了すると、合同会社から株式会社への変更が正式に認められます。

株式会社に変更するメリット

合同会社から株式会社に変更することで、次のようなメリットが得られます。

1. 信用力の向上

「株式会社」という形態は、取引先や金融機関からの信頼を高めます。大規模な取引や新規取引先の獲得にも有利に働きます。

2. 資金調達の柔軟性

株式会社は株式を発行して資金を集めることができるため、合同会社では難しい大規模な資金調達が可能になります。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資を受ける際にも適しています。

3. 事業拡大に対応

株式会社は、取締役会や役員制度などを導入することで、大規模な組織運営に対応できます。成長に伴う体制強化を見据える場合に最適です。

4. 株主の参加が柔軟に

合同会社では出資者全員が経営に関与する必要がありますが、株式会社では株主が経営から離れることが可能です。これにより、株式の譲渡や新たな投資家の参入が容易になります。

株式会社に変更するデメリット

一方で、株式会社への変更には次のデメリットも伴います。

1. 設立費用と運営コストの増加

株式会社への変更には、登録免許税などの費用がかかります。また、株主総会の開催や決算公告の義務が発生し、運営コストも増加します。

2. 手続きの煩雑さ

組織変更の手続きは複雑で、多くの書類を準備する必要があります。特に社員全員の同意が求められるため、複数名で出資していた場合は、合意形成に時間がかかることも想定されます。

3. 法的義務の増加

株式会社では、株主総会や取締役会の開催が必要となり、合同会社に比べて運営が煩雑になります。

「合同会社から株式会社への変更」を検討すべきタイミング

合同会社を株式会社に変更するのに最適なタイミングは、次のようなケースです。

1. 事業拡大を目指す場合

事業規模の拡大や、新規市場への進出を目指す際には、株式会社への変更が適しています。信用力の向上や株式発行による資金調達が役立ちます。

2. 新たな投資家を迎えたい場合

合同会社では出資者が経営に直接関与する必要があるため、投資家が参加しづらい場合があります。株式会社に変更することで、新規投資家を迎え入れる体制が整います。

3. 信用力を重視する取引が増えた場合

大手企業や金融機関との取引が増えると、株式会社の信用力が求められる場面が多くなります。この場合、合同会社から株式会社への変更が適します。

合同会社から株式会社への変更は成長への一歩

合同会社から株式会社への変更は、事業の成長や信用力の向上を目指す際に有効な選択肢です。ただし、組織変更にはコストや手間が伴うため、慎重に検討しなければなりません。「会社の未来をどう描くか」を軸に判断しましょう。

加陽 麻里布

司法書士法人永田町事務所 代表司法書士

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