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ビットコインで2億円を手に入れた57歳一介の経理課長…税金に嫌気がさし「ドバイ」へ飛ぶも、華やかな生活は続かず「老後破産」へ【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月4日 10時45分

ビットコインで2億円を手に入れた57歳一介の経理課長…税金に嫌気がさし「ドバイ」へ飛ぶも、華やかな生活は続かず「老後破産」へ【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

仮想通貨で巨額の利益を得た人が、高額な税金から逃れるために海外移住を検討するのはよくある話です。特に、税制優遇が魅力的なドバイは、こうした人々にとって人気の移住先の1つです。しかし、現実は甘くないようで……。本記事では、阿部さん(仮名)の事例とともに、資産計画の重要性について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナーである波多勇気氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。

ビットコインで掴んだ2億円と夢のドバイ移住

阿部修一さん(仮名/当時57歳)は普通のサラリーマンでした。会社では経理課長を務め、毎日忙しい日々を送っていましたが、老後の蓄えについては常に不安を抱えていました。「このまま定年まで働いて、果たして十分なお金が残るのだろうか」。そんなとき、彼の目に飛び込んできたのが仮想通貨、特にビットコインのニュースでした。

「最初は趣味程度でした。投資好きの友人に絶対に来るからなにも考えず入れとけといわれ、数十万円だけ入れたんです。最初は見張っていたんですけれど、ほかにも投資は行っていたし、大して期待していなかったというか。仕事も忙しくてあまり気にしなくなり、パスワードを忘れてしまったのでほったらかしにしていました」

しかし、2010年代後半の仮想通貨ブームで、その資産は数年で驚異的に膨れ上がります。暴騰したと聞いて、自分が設定しそうなパスワードを必死に思い出したんです。最終的には2億円もの利益を手にしました。

「夢みたいな話でしたね。まさか自分がこんな大金を手にするなんて思いませんでした」

一方で、日本の税金がその喜びに冷や水を浴びせます。仮想通貨の利益に課される高額な税率が最大55%であることを知ったとき、阿部さんはある決断をします「どうせなら、このお金は全部自分のために使いたい」。

そこで選んだのが、個人所得税が課されないドバイへの移住でした。

「ドバイなら、税金を気にせず自由に暮らせる」20年ほど前に離婚して、子どももおらず、身軽なおひとりさまの阿部さんは早速行動に移しました。日本の自宅を売却し、手続きも済ませて渡航。到着したドバイの街並みは、まさに夢のようでした。世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファ、きらびやかなショッピングモール、贅沢なレストラン。すべてが「成功者」のために用意された舞台のようでした。

阿部さんはすぐに高級マンションを借り、スーパーカーを購入。贅沢な生活を始めます。

高額な生活コストと資産の急激な目減り

「2億円なんて、あっという間でしたよ」阿部さんがそう振り返るのは、ドバイでの生活のコストが想像以上に高かったからです。たとえば、彼が住んでいたマンションの家賃は月額60万円を超えていました。さらに、外食費や車の維持費などを合わせると、年間で2,000万円近い出費に。

「ドバイの物価の高さはもちろん知っていました。ですが、最初は気にしていなかったんです。まだまだ余裕があると思っていたから。6年くらいが経ったころからかな。だんだんと不安になってきました」不安を解消するため、阿部さんは資産を増やそうとします。ドバイには豊富な投資機会があるという話を聞き、仮想通貨だけでなく、高リスクの海外案件にも手を出しました。しかし、その多くが思うように利益を出せず、逆に損失を拡大させる結果に。

生活コストと投資損失が重なり、気づけば残った資産はわずか数百万円。「老後の心配がないどころか、明日の生活費すら不安になるような状況に追い込まれました。私には、分不相応なお金だったんです」肩を落とします。

移住で失敗を避けるには

阿部さんの体験から学ぶべきことは、大きく3つにわけられます。

1.移住後の生活コストを現実的に計算する

ドバイの生活は贅沢を求めれば求めるほど出費が増大します。特に住宅費や外食費、医療費が大きな負担となることを移住前に正確に把握する必要があります。手持ちの資産だけで何年生きられるのかを、事前にシミュレーションすることが不可欠です。

2.資産運用におけるリスク分散を徹底する

仮想通貨は高いリターンを生む可能性がありますが、その分リスクも非常に高いです。老後の資産運用では、安定した資産(不動産、債券、株式など)への分散投資が鍵となります。

3.移住先の文化と法律を深く理解する

ドバイは税制面で魅力的な一方で、イスラム文化に基づいた厳格な法律が存在します。これに適応できなければ、生活そのものがストレスとなる可能性があります。

ドバイの楽園は誰にでも適しているわけではない

ドバイ移住には大きな可能性があります。しかし、それは適切な計画と準備があってこそです。阿部さんが見落としたのは、移住後の生活設計を現実的に立てることの重要性でした。

「2億円で自由を手に入れた」と思っていた彼が迎えた結末は、誰にでも起こり得る教訓です。贅沢と自由を求めるなら、同時にリスクを冷静に見極める目も持たなければなりません。ドバイは夢を叶える場所かもしれません――ただし、地に足をつけた計画がなければ、その夢は泡のように消える可能性もあるのです。

あなたがドバイ移住を考えるなら、「その先の現実」に目を向けていますか?

波多 勇気

波多FP事務所

代表ファイナンシャルプランナー

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