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お前ひとりでどうやって生きていくんだ、ん?…年収1,200万円の59歳“モラハラ”夫、7歳年下の専業主婦妻からの「離婚宣告」に余裕の高笑い→妻の“秘策”に一転、泣きながら謝罪のワケ【FPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月18日 11時15分

お前ひとりでどうやって生きていくんだ、ん?…年収1,200万円の59歳“モラハラ”夫、7歳年下の専業主婦妻からの「離婚宣告」に余裕の高笑い→妻の“秘策”に一転、泣きながら謝罪のワケ【FPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、増加傾向にある熟年離婚。もっとも、専業主婦の場合は夫の収入に依存しているケースも多く、我慢を強いられている人も少なくありません。そこで、将来的な離婚のため入念に準備をした結果、無事にモラハラ夫との離婚を果たしたAさんの事例をもとに、夫婦仲の善し悪しにかかわらず知っておきたい“お金のはなし”をみていきましょう。石川亜希子FPが解説します。

過去最高の熟年離婚率…その理由は?

同居20年以上での離婚を指す「熟年離婚」。

厚生労働省2022年「人口動態統計」によれば、離婚件数は約17万9,000件で減少傾向にある一方、同居期間20年以上での離婚は約3万9,000件、高止まりの傾向にあります。全体件数に占める「同居20年以上」の割合は約23.5%と、1947年に統計を開始して以降、過去最高に。時代の変化が感じられます。

背景には、老後が長くなっていることが挙げられます。1965年には平均寿命は男性が67.74歳、女性が72.92歳でしたが、2022年には男性が81.05歳、女性が87.09歳となりました。

また、女性の社会進出が進んでいること、年金分割制度について理解が広がったことも大きいでしょう。こうした社会的背景が、ひと昔であれば経済的な面で「離婚したくてもできない」と思っていた人たちの背中を後押ししていると考えられます。

モラハラ夫と離婚したい、でも…

東京郊外で暮らすAさん(52歳)は、長年、モラハラ気質な夫(59歳)に悩まされてきました。夫は年収約1,200万円、自分は稼いでいるから偉いという意識がとても強く、専業主婦だったAさんを常に見下していました。

「家事や育児は女の仕事だ」と、休みであっても一切手伝うことはなく、また自分の思いどおりにならないと不機嫌になって当たり散らす日々。

24歳で結婚したAさんは「夫には何を言っても無駄だ、でも、離婚しても子どもと2人では生活できない」と悶々とした思いで過ごしていました。

Aさんの転機は、40歳のとき。子どもが中学生となって少し時間ができた際に「家のことを疎かにしない」と夫と約束のうえ、会計事務所でパートを始めたことでした。

パート先の社員に、Aさんより少し年上で、女手ひとつで子どもを育てているという女性がいました。一緒に働くうちに、その人がずっと専業主婦だったこと、夫に借金があって離婚したかったこと、離婚するには経済力が必要だと、パートから始めて正社員に登用されたことなどを知り、Aさんは衝撃を受けたそうです。

利用しない手はない…Aさんが調べた“夫婦のお金”の分け方

「彼女は自分と似たような状況だったのに、そこから自分の力で人生を切り拓いている……それに比べて私は言い訳しているだけだ。このままの生活でいいのか? このまま何十年も同じ生活でいいのか?」

自問自答する日々を過ごしたAさんは、「とにかく自分も自立への準備をはじめよう」と決心しました。

Aさんは、将来的な離婚を見据えて、パート時間を増やしただけでなく、簿記の資格取得を目指して勉強を始めました。夫は帰りが遅いため、時間はあります。家事について、夫が指摘してくることもワンパターンであったため(掃除が行き届いていないと嫌みを言ってくるが、食卓にお惣菜が混ざっていてもあまり気がつかないなど)、手を抜けるところは抜いて、自分のための時間を増やしていきました。

同時に、財産分与についても調べはじめました。結婚期間中に2人で協力して増やした資産を公平に分配するという方法を、使わない手はありません。

機は熟した…Aさんが「離婚」を決意したタイミング

そして、12年後の現在……子どもが社会人となって家を出たことタイミングで、機は熟したと感じたAさん。

依然としてパートのままでしたが、猛勉強の末、簿記2級を取得したことで時給も上がり、コツコツ貯めた金額は400万円。貯めたお金で、有料の法律相談にも行きました。

夫は夢にも思っていないでしょうが、財産分与で得られる資産の大枠も計算していました。

まずは預貯金。夫は結婚するときまったく貯金がなかったため、今ある預貯金1,000万円は結婚してから築いたものになり、財産分与の対象です。Aさんの預貯金と合わせて半分に分けたとして、300万円ほどはAさんに分与されることになります。

退職金についても、賃金の後払いという性質から、将来的にほぼ確実に支給されることが見込まれる場合、財産分与の対象となります。夫の退職金は、満額で約2,000万円。支給前の退職金についての計算方法にもよりますが、400万円ほどはAさんに財産分与されることになりそうです。

そして、不動産。Aさんは、20年以上前に購入した建売住宅に暮らしています。住宅ローンは完済済みです。Aさんがこっそり査定を依頼したところ、20年以上経つとほぼ土地のみの価値となってしまいますが、2,000万円程度にはなりそうとのこと。購入時、Aさんの親が500万円を援助してくれていたので、その分も考慮し、1,000万円はAさんへの財産分与と主張できそうです。

さらに、年金分割制度があります。年金分割制度は、結婚期間中に支払った年金を夫婦で分割することです。分割されるのは「厚生年金」なので、配偶者が自営業など国民年金のみに加入しているような場合は対象外です。

Aさんは、年金事務所から「年金分割のための情報通知書」を取り寄せました。通知書には、年金分割の割合を決めるために必要な情報が記載されています。月4万円ほど年金を増やせる算段です。

そして、Aさんは夫のモラハラによる慰謝料も受け取りたいと考えています。ずっとつけていた日記が役に立つときがやってきました。

Aさんの秘策、それは入念な準備にほかなりません。

いざ、離婚宣告

Aさんの離婚宣告に、夫は「おいおい、なにをバカなこと言ってるんだ(笑) パートごときの収入で、お前ひとりでどうやって生きていくんだ、ん?」と高笑い。上から目線で相手にしません。

しかし、Aさんが冷静に財産分与について切り出すと一転、顔を真っ赤にして怒鳴りはじめました。

「オレの財産を盗む気だな! お前になんか1円も渡さない! 誰のおかげで今まで生活できてきたと思ってるんだ!」

誰のおかげ? こっちのセリフだわ……Aさんは心の底から呆れてしまいました。2人で話し合えたら良いと考えていましたが、とても無理な話でした。

家を出たAさんは、弁護士から「1円も渡さないと息巻いていた夫が、1円も渡さないどころか、自宅を売却する必要があるとの説明を受け、泣きながら謝罪している」と聞かされました。

それを聞いても、Aさんの意志は揺らぎません。ただ、空を仰ぎ、ふと、もし尊敬し合える夫婦だったら今ごろどんなふうに過ごしていたのだろうか、と思っただけでした。

人生100年時代といわれるようになり、老後と呼ばれる期間がどんどん長くなっています。「離婚せずとも、つかず離れずやり過ごせばいいじゃないか」そんな意見もあるかもしれません。もちろん、安易に離婚という選択をするべきではありませんが、何歳からでも自分らしい人生を選択することができる、そんな時代が来ているのではないでしょうか。

石川 亜希子 AFP

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