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年金月15万円、後悔を残して亡くなった母の遺産3,500万円…遺言書に記された「年子・自由人弟」の“まさかの取り分”に「62歳・真面目な無職の長男」怒りの剣幕【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月3日 10時45分

年金月15万円、後悔を残して亡くなった母の遺産3,500万円…遺言書に記された「年子・自由人弟」の“まさかの取り分”に「62歳・真面目な無職の長男」怒りの剣幕【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

親の介護と相続、そしてきょうだいの確執。このケースは、現代社会で多く見られる家族間の問題を象徴しています。Aさんの事例とともに、きょうだい間の相続トラブルについて、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。

従順な兄、自由な弟

現在62歳のAさんには1歳年下の弟がいます。弟とは5年前に父が亡くなった際、遺産相続でもめて、疎遠になってしまいました。

父の相続時にもめた原因は、父が生前、長男であるAさんを優遇していたことです。Aさんの父は時代劇に出てくるような考えの人でした。自身がそうだったように、長男が家を継ぐという家督を重んじていたことから、Aさんは父の知り合いの上場企業に入り、優遇されていました。Aさんは、家を継ぐという使命に特段反抗することもなく、父の敷いたレールに乗って過ごしていました。一方、弟は自由に過ごしていたものの、大学受験では希望する大学に入れず、就職でもなかなか内定がとれず、苦労した経緯がありました。

父の遺産相続では、遺言書がなかったため、母に家と現金1,000万円を、子どもには均等に500万円をわけることになりました。しかし弟は納得できず「兄貴ばかり優遇されてきたのだから均等では不公平だろう」と責め立てたのです。Aさんも弟の言い分には納得できなかったため、父の死を機に2人の兄弟は疎遠になりました。

これまでの母は、父の意向を尊重し従ってきました。しかし、父が亡くなったあとは、「時代も変わったのだから、時代に沿った考え方が必要なのかもしれない」と価値観が偏っていた父に合わせるような考えを改め、こまめに連絡をとり、家を訪問するなど、より一層弟を気に掛けるようになりました。

母は「いままで弟に寂しい思いをさせてしまった」と後悔しているようでした。ただ、家を継ぐといわれてきたため、親の老後の生活から介護まで、すべてAさんが面倒をみてきたのです。

母が余命宣告される

母の年金収入は、少ない老齢基礎年金(35万円)と父の遺族年金(145万円)でした。父が長年会社勤めをしていたため、母の日常生活は年金のみ(月額換算15万円)でなんとか賄うことができました。ところが、母に癌がみつかります。悪性でステージ4。余命宣告をされました。

Aさんは、頑固な父を一番近くで支え、苦労してきた母をみてきたので、最後まで好きなことをさせてあげようと、旅行へ連れていったり、母の大好物のカニを食べにいったりとできる限りの親孝行をしました。また、治療費等はすべてAさんが負担していました。

母は父が亡くなった際、兄弟仲が悪くなったことを教訓に公正証書遺言を作成していました。このときAさんは、母のことだから均等にわけるように作成しているだろうと深く考えてはいませんでした。

公正証書遺言があっても…

余命宣告から半年後、母は亡くなります。Aさんも弟も一度結婚したものの、わずか数年と短期間で離婚した過去があり、遺された家族は兄弟2人きりです。葬儀が終わり少し落ち着いたころ、公正証書遺言が公開されました。

「は?」Aさんが、思わず聞き返してしまうような内容でした。母の遺言書に付言がありました。「お父さんは子どもたちを厳しく育て、特に弟には寂しい想いをさせ続けてしまった。最後ぐらいは弟に多く渡してあげたい」とあったのです。

※遺言書の末尾に付け足す文。相続の割合の理由や、家族への感謝の言葉、葬儀や法要の希望などを自由な形式で書くもので、法的効力はない。

すでに現金は多く残ってなかったため、家(2,500万円)は弟に、現金1,000万円は等分にとの内容です。Aさんは両親の介護のため、55歳で早期退職し、父から相続したお金を使いながら、自身の身を削って母の世話をしてきました。Aさんは弟に、「母が決めたとしてもズルいだろう! 母が亡くなるまで、介護してきた費用等、こっちが負担した分ぐらいは、渡してほしい」と激怒。弟を殴りかねない剣幕で詰め寄ります。

しかしながら、弟は「母との思い出を独り占めにして、母の年金も好きに使っていたのだろう。むしろその分を返して欲しいぐらいだ」とわけのわからないことをいいだす始末。

結局、Aさんの相続分は、両親からそれぞれ500万円を受け取りましたが、父の分は母の生前に使ってしまったため、残りは母からの相続分、500万円。無職のAさんにとって、老後破産の可能性も否めません。

一方、弟は父の相続分500万円、母からの家と現金で3,000万円、合計3,500万円をなにもしないで手に入れたような結果となりました。いまは兄弟で連絡することもなくなり、絶縁状態です。

兄弟でもめないためには

Aさんのように家庭環境によって、公正証書遺言があってももめる結果となることもあります。母の生前に、終活の話し合いをしておけばよかったとAさんも後悔しています。親の介護も兄弟で分担する話し合いをしていたら、現状が大きく違っていたかもしれません。

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表

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