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金なら、いくらでもあるぞ!「年金月20万円」「貯蓄5,000万円」元エリートの72歳・おひとり様男性、不動産会社で金にものを言わせようとしたが撃沈した理由

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月3日 5時15分

金なら、いくらでもあるぞ!「年金月20万円」「貯蓄5,000万円」元エリートの72歳・おひとり様男性、不動産会社で金にものを言わせようとしたが撃沈した理由

写真はイメージです/PIXTA

結婚しない理由はさまざまですが、「縛られるのが嫌だ」「自由でいたい」と、あえて独身を貫く人も多いようです。生涯、自由気ままに生きていく……なんとも羨ましい生き方ですが、老後にその自由の代償を払わなければならないケースも多いようです。

高齢者のいる借家世帯は433万人。さらに単身の高齢・借家世帯は245万人

総務省『令和5年住宅・土地統計調査』によると、持ち家が3387万6千戸で、住宅全体に占める持ち家住宅の割合は60.9%。近年、持ち家率は6割前後で推移しています。

また65歳以上の人の高齢者のいる世帯は、2023年で2,375万世帯となっており、主世帯全体に占める割合は42.7。また高齢者のいる世帯について細かくみていくと、高齢単身世帯は32.1%、高齢者のいる夫婦のみの世帯は28.9%。さらに高齢者のいる世帯が居住する住宅の所有の関係別に割合をみると、持ち家が81.6%、借家が 18.2%。また高齢単身世帯では、借家の割合が32.2%と、高齢者のいる世帯全体と比較 して借家の割合が高くなっています。

【高齢者の単身世帯と夫婦のみの世帯の実情】

高齢単身者世帯…761.7万世帯

(内訳)

●持ち家…513.8万世帯(67.5%)

●借家…245.1万世帯(32.2%)

・公営の借家…61.5万人(8.1%)

・URや公社の借家…20.4万人(1.1%)

・民間の借家…160.6万人(11.6%)

:木造…58.2万人(4.2%)、非木造…102.4万人(7.4%)

・給与住宅…26万人(0.3%)

高齢者のいる夫婦のみの世帯…686.9万世帯

(内訳)

●持ち家…602.1万世帯(87.6%)

●借家…84.2万世帯(12.3%)

・公営の借家…23.8万人(2.7%)

・URや公社の借家…10.4万人(1.5%)

・民間の借家…48.2万人(7.1%)

:木造…16.9万人(2.5%)、非木造…31.3万人(4.6%)

・給与住宅…18万人(0.3%)

数にすると、高齢者のいる世帯で持ち家でなく借家なのが433万人。そして借家住まいの単身のおひとり様が245万人います。

年金も多くもらっている、貯蓄もたんまりある…それでも家が借りられない

高齢のおひとり様、しかも借家……そこには「なかなか家が借りられない」という問題がはらんでいます。前田浩之さん(仮名・72歳)も、そんな問題に直面したひとりです。

――お金があれば、何とかなると思っていたのですが、そういうわけにはいきませんでした

大手企業の本部長まで上り詰めたという、元エリートサラリーマンの前田さん。その年金は月20万円と、厚生労働省の資料からすると、厚生年金受給者の上位25%にはいります。さらに「一生、結婚もしないだろう」とコツコツと資産形成に励み、その額5,000万円。ひとりで生きていくには十分な金額です。

そこでふと「家を買おうとは思わなかったのか?」という疑問。それに対しては「せっかくひとり身なのだから、身軽に行きたかった。持ち家だとどうしても家に縛られるから」と、前田さんなりの考えがあったようです。

そんな前田さん、長く借りているマンションがありましたが、建て替えが決まり、退去しなければならなくなったといいます。「ビンテージマンション、という雰囲気で気に入っていたんだけど」と名残惜しかったといいますが、そんなこと、言っていられなくなります。不動産会社でことごとく「その条件だと(家を借りるのは)難しいですね」と断られ、退去期限が間近に迫ってきたというのです。

あまりに断られるものだから、不動産会社で思わず「金なら、いくらでもあるぞ!」と大声を出してしまったといいます。それでも「そういわれましても、お貸しできないものはお貸しできません」と断られてしまったとか。「このままでは路上生活も覚悟しなければならない……」。そんな不安もよぎったといいます。

高齢者が賃貸物件を借りにくいのは、孤独死や認知症リスクが高いから。そのため、特にひとり暮らしだと借りにくい傾向があります。

また前田さんのように十分な貯蓄があっても、審査にはプラスに働かないことが多いようです。なぜなら、入居審査の際は「収入」のみで判断されることがほとんどだから。年金としては多くもらっている高齢者でも、現役世代と比較すると……オーナーがどちらを選ぶかといえば言わずもがな。一方で、高齢者でも仕事をしていると、審査にプラスに働く傾向にあるといわれています。

株式会社R65『高齢者向け賃貸に関する実態調査』によると、高齢者の入居を「受け入れていない」賃貸オーナーが約4割。高齢化が進むなか、高齢者を受け入れるオーナーは増加傾向にありますが、それでも完全シャットダウンのオーナーも今なお多数を占めます。

入居審査に落ちまくった前田さん。17件目でやっと入居できるマンションが決まりました。ただこの教訓を生かすべく、高齢者用施設への入居を今から検討しているといいます。

[参考資料]

総務省『令和5年住宅・土地統計調査』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

株式会社R65『高齢者向け賃貸に関する実態調査』

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