令和は「真面目なモラハラ夫・妻」が増えているワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月21日 9時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
かつての日本社会では、離婚相談の多くは「夫の不倫」が原因でした。しかし、最近では浮気をする人が減少傾向にあるようです。では、いったい何が離婚原因となっているのでしょうか? 本記事では、離婚カウンセラーである岡野あつこ氏の著書『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社)より一部を抜粋・再編集し、離婚原因の時代による変化について解説します。
「割り切って遊ぶ人」が減ったワケ
私は昭和の生まれですが、かつての日本社会は男性の不品行に対していまよりも寛容でした。昔の離婚相談といえば「夫の不倫」が理由の大半で、愛人から「私と奥さんとどっちを選ぶの」などと言われて、仕方なく離婚を選択する、といったケースがよくありました。社会の価値観としても、「一生懸命働いて稼いでいる男性が、家庭を壊さない範囲で割り切って遊ぶのは問題ない」とされがちでした。離婚相談に来る人の中にも、割り切って愛人と遊んでいる人がたくさんいました。
しかし、最近そういう人は減った印象があります。中高年の実質賃金が減り、遊ぼうにも自由に使えるお金があまりないというのも一因かもしれません。また、社会全体の倫理観が厳しくなり、「家庭を壊さなければ外で遊んでもいい」という考え方は否定される傾向になりました。
ただ、男性を浮気に走らせていた背景に存在したストレスがなくなったわけではありません。むしろ、社会や技術の進歩により、会社で求められる仕事はより複雑で高度になり、仕事のストレスは増えています。女性の社会進出が進み、共働きが当たり前になっています。家事は平等に分担するのが当然で、仕事から帰ってもくつろぐ暇がありません。こうして蓄積されたストレスを、ついつい家庭で爆発させてしまい、「モラハラ」に走ってしまう人が増えたのかもしれません。
「不器用な人」が増えている
「割り切って遊ぶ人」が減ったもう一つの理由は、「不器用な人」が増えていることにあると思っています。
かつてと比べて、離婚相談に来る人の大半は「真面目な人」ばかりです。一生懸命に仕事をして、家事も子育てもやっている。不倫もしていない。DVもない。そんな人たちが「もう夫婦関係を続けられない」と言って、続々と離婚相談に訪れています。こういう真面目な人は、物事を論理的、合理的に考える傾向があります。大学受験や、就職後の仕事を通じて、合理的な考え方や行動を求められてきた、という面も大きいでしょう。そのため、人間関係、夫婦関係についても、論理的、合理的に捉えがちです。その結果、社会の倫理観に基づいて、相手の行動の「善悪」を判断しようとします。
いまは「家事は男女で平等に負担すべきだ」という考え方が「社会一般の倫理観」となっていますので、妻のほうも「うちの夫は家事をしない、だからダメ人間だ」などと「断罪」しがちです。しかも自分の判断は「社会一般の倫理観」に照らした論理的、合理的なものだと思っていますので、本人は自信満々です。あちこちで「うちの夫はダメ人間だ」と言いふらしますし、本人に面と向かって言うこともあります(これがエスカレートしたものが妻側からの「モラハラ」でしょう)。男性が女性に対して「うちの妻は家事をサボるからダメ人間だ」と「断罪」することもあります。
このように、何かしら人間関係のトラブルが起きると「白黒はっきりつけようとする」人がすごく増えたと感じます。「真面目な人」ほど損をしているしかし、「白黒はっきりさせる」ことがいつも「正しい選択肢」とは限りません。
人間関係のトラブルというものは、「どちらかが一方的に悪い」とはならないのが普通です。車に乗る方はよくご存知でしょうが、交通事故を起こした場合、「過失割合」というものを算定します。「この事故は七対三で追突したほうが悪い」など比率を割り出して、これに基づいて具体的な補償額を決定するわけです。この「過失割合」はよほどのことがない限り「10対ゼロ」のような一方的な数字にはなりません。「責任の大半はぶつけたほうにある」という場合でも、「ぶつけられた側も注意を怠っていた」などと判断され、「一割〜二割ほどは過失があった」とされるのが普通です。
人間関係もこれと同じで、ケンカになった場合でも、「10対ゼロで夫が一方的に悪い」などというケースはまず存在しません。「夫のモラハラ的な発言はたしかによくないものの、妻が挑発したのも問題だ」といったふうに、双方に反省すべき点があることがほとんどです。
「真面目な人」ほど、人間関係で損をしがち
でも、「真面目な人」ほど、「双方に非がある」と認めたがらないのです。こういう人は「社会一般の倫理観」に基づいて、「論理的、合理的」に判断していると思っていますので、「自分は一方的に正しい」と主張しがちなのです。もちろん、それが悪いというわけではありません。ケースバイケースではありますが、こういう真面目な人は根拠があって言っているわけです。決して間違ったことを言っているわけではありません。
しかし、「白黒はっきりさせる」ことが、人間関係においては最適解とは限りません。どんなに正しい主張であっても、ときには曲げたほうが人間関係がうまくいくこともあります。そもそも、「白黒はっきりさせる」のは、「どちらか一方が100パーセント悪いことなんてほとんどない」という現実を無視しているとも言えます。その結果、本人は正しい主張をしているつもりでも、結果的にトラブルの連続となることもあります。
このように「真面目な人」ほど、人間関係で損をしがちなのです。人間関係を上手に構築している人、つまり世間から「コミュ力が高い人」「器用な人」と言われる人ほど、「白黒はっきりさせる」ことをせず、「両者を立てて丸く収め」ていたりします。
岡野あつこ
株式会社カラットクラブ
代表取締役社長
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