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トランプ再登板で加速する「東南アジアへの投資チャンス」…中国への“60%大幅追加関税”の影響【インドネシア元財務大臣の提言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月5日 7時30分

トランプ再登板で加速する「東南アジアへの投資チャンス」…中国への“60%大幅追加関税”の影響【インドネシア元財務大臣の提言】

画像:PIXTA

米トランプ前大統領の再登板により、中国との間で激しい貿易摩擦が再燃する懸念が強まっている。特にトランプ氏の関税政策により、中国依存からのサプライチェーン再編が進み、タイやインドネシアが恩恵を受ける可能性があると、インドネシアの元財務大臣ムハマド・チャティブ・バスリ氏は指摘する。タイの公共放送局『Thai Public Broadcasting Service』(Thai PBS)が運営する英語ニュース・サイト『Thai PBS World』から翻訳・編集してお伝えする。

トランプ関税政策が東南アジアにもたらす「投資機会」

東南アジアは、アメリカの次期大統領であるドナルド・トランプ氏が中国製品に60%の関税を課すと公約したことにより、恩恵を受ける可能性があると、インドネシアの元財務大臣ムハマド・チャティブ・バスリ氏は指摘している。同氏によれば、急速に変化する世界的なサプライチェーンが、この地域への新たな投資を促進しているという。

バスリ氏は、「ビジネス環境を改善し、生産性を向上させるための戦略は、高所得国の地位を目指す国々にとって欠かせない要素です」と強調した。

Thai PBS Worldのインタビューで、バスリ氏は、米中間の貿易戦争が激化する中、タイやインドネシアのような国々にとって経済的地位を向上させる好機となる可能性があると述べた。しかし、投資家は効率的なガバナンスを持つ国を優先する傾向があるため、地域内での競争が激化している点に注意が必要だと警告している。

「最初に取り組むべきは投資環境の改善です。地域の政府はビジネスコストを削減する必要があります」と同氏は述べた。

インドネシア投資調整庁の元会長としての経験を踏まえ、バスリ氏は、投資における不確実性が依然として大きな課題であると指摘した。

「人材の質も非常に重要です。これは国の生産性に反映されます」(バスリ氏)

また、同氏は政府が企業に持続可能な計画を促進するため、従業員向けの研修やスキルアッププログラムを含む取り組みに対して、二重控除を適用するなどのインセンティブを提供できると提案した。このような政策は、地元スタッフへの知識移転を促進し、地域の競争力を高める上で重要だと述べている。

これらの政策が整えば、政治的安定もまた新たな投資家を引きつける重要な要素となる。バスリ氏は、「東南アジアが年間GDP成長率約5%を維持している事実は、この地域が政治的に安定していることを示しています」と述べた。

現状の成長率では高所得国には届かない“現実”

しかし、現状のタイとインドネシアの経済成長率では、どちらの国も高所得国の地位に到達するには不十分であると同氏は強調した。昨年の年間GDP成長率は、タイがわずか1.9%、インドネシアが5%にとどまった。

「両国は、外国直接投資の増加と生産性の向上を通じて、経済成長をさらに加速させる必要があります。タイは年間7%、インドネシアは8%の成長を達成することが求められます。特にインドネシアの場合、経済成長の鍵を握るのは投資であり、投資対GDP比率を50%から54%に引き上げることが必要です」とバスリ氏は説明した。

また、インドネシアの国内貯蓄率がGDPの約36%と低いことを指摘し、8%の成長目標を次期大統領の任期終了までに達成するためには、外国直接投資を積極的に誘致する必要があると強調した。

AI時代に求められる「官僚機構の俊敏性」

さらに、投資を引きつけるためには、AI(人工知能)の開発を支える俊敏な官僚機構の構築が重要であるとバスリ氏は指摘する。一見すると、規制当局に俊敏性を求めるのは矛盾しているようにも思えるが、AIに関連する課題を適切に管理するための明確な原則を確立することが不可欠だと強調した。

バスリ氏は、AIが生産性を向上させ、運用コストを削減する可能性を秘めている一方で、政府はAIの迅速な導入を可能にするために、労働力開発への投資が必要だと述べた。

「政府や雇用主は、学校や企業で従業員に必要なスキルを習得させる研修プログラムを提供するべきです。また、法的な調整も必要になりますが、これらは慎重に進める必要があります」(バスリ氏)

現在、インドネシア最大級の銀行の会長を務めるバスリ氏は、その銀行が特に富裕層顧客のプロファイリングにAIを活用していることを明らかにした。以前は情報の非対称性により高コストが伴っていたが、AIの活用によって市場セグメンテーションや金利分析が大幅に効率化されたと述べている。

トランプ氏の政策転換により、東南アジアは新たな経済成長のチャンスを迎えている。しかし、持続的な発展には、各国の迅速な改革と戦略的投資が不可欠だ。今後の動向に注目が集まる。

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