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「愛人と暮らす別居夫」に娘の留学費用を払ってもらいたい…50代本妻が送った「戦慄のLINE」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月25日 14時15分

「愛人と暮らす別居夫」に娘の留学費用を払ってもらいたい…50代本妻が送った「戦慄のLINE」

(※写真はイメージです/PIXTA)

現代人の多くが使用する「LINE」。ちょっとしたメッセージの文面が夫婦間のコミュニケーションに響くこともあるようです。本記事では、離婚カウンセラーである岡野あつこ氏の著書『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか? 夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社)より一部を抜粋・再編集し、具体的な事例とともに離婚の原因になりかねないLINEの使い方について解説します。

カチンとくるLINE

LINEは便利ですが、書き方に気をつけないと、トラブルの原因にもなります。

夫婦関係の改善プログラムの一環で、メールやLINEの書き方を指導していますが、「カチンとくる書き方」にしばしば遭遇します。相手から見ると不快なメッセージになっているのに、自分では気づいていないことも多いようです。次に示すのは、私が実際に添削したLINEメッセージの例です。

別居中の夫にLINEを

相談者は50代の女性、夫とは別居中で、娘がいます。夫は家に生活費を必要最低限しか入れていない状態です。娘が留学するので、入学費用を振り込んでもらうため、別居中の夫にLINEを送りたいと相談があり、こんな文面が送られてきました(名前は仮名)。

「加奈がイギリスに留学するにあたり、入学金、授業料などを振り込む必要があります」

「〇月〇日の〆切りまでに振り込まなければ取り消しとなります。ネット振り込みには対応してなく、窓口での振り込みとのことです」

「以前、加奈が高校に入学するときは、一旦私の口座に振り込みをしていただいてから私が学校に振り込んだ経緯があったので、今回お忙しい浩一郎さんに銀行の窓口に並んでいただくのも気が引けるのでご相談しています」

以降は金額の内訳の説明が長々と続きます。みなさんはどう思われるでしょうか。ぱっと見た印象として、夫婦間のやり取りにしては、少し堅苦しい気がします。しかも、どことなく高飛車な感じさえ漂っています。

まず書き出しの、「入学金、授業料などを振り込む必要があります」という書き方が問題です。ビジネスメールならこれでもいいでしょうが、夫婦のメッセージにしては少々事務的すぎて、相手への配慮や、気遣いに欠ける印象があります。次に、「お忙しい浩一郎さんに銀行の窓口に並んでいただくのも気が引けるので」の部分も、ちょっと嫌味な書き方です。この夫婦はすでに別居していて、実は夫は愛人と暮らしています。そのため、「お忙しい浩一郎さんに」と書くと、「(愛人と遊ぶのに)お忙しい浩一郎さんに」という嫌味だと取られかねないのです。夫が読めば気分を悪くするでしょう。

もちろん、ケンカするつもりなら、この書き方でいいのですが、この場合は何とか夫の機嫌をそこねず、娘の留学費用を振り込んでもらうのが目的です。そのために送るLINEの文面なので、嫌味に取られかねない表現は避けるのが無難でしょう。

夫へのお礼LINEも恐怖

その後、夫が入学費用を振り込んでくれた後で、妻が送ろうとしたお礼のLINEも、これはカチンとくるだろうという書き方でした。

「こんなお金をすぐに用意できるなんて、実は貯めてもってたってことですよね。ありがとうございます」

海外留学ですから、学費もそれなりの金額です。大金を振り込んでもらったのは間違いないのですが、「こんなお金」という言い方はいささか嫌味に聞こえます。「こういうお金はポンと払えるのに、なぜもっと生活費を入れてくれないんですか」という「嫌味」が、読みようによっては、行間に漂ってきそうです。

本人はあくまで、「約束通りお金を振り込んでくれてありがとう」とだけ言いたいのですが、こんな文面を送ると逆効果になってしまいかねません。結局、私はどうアドバイスしたでしょう。

嫌味な書き方にならない「ちょっとしたコツ」

まず、振り込み依頼のLINEを次のように添削しました。

「留学先の学校から連絡がありました。加奈の入学費用を振り込まないといけないので、ご相談しました。金額は○万円。〇月〇日までに振り込む必要があるそうです」

嫌味なニュアンスはできるだけそぎ落とし、要件だけ端的に伝えるようにしました。また、お礼のLINEは次のように添削しました。

「加奈にも、パパのがんばりのおかげだと伝えています。いつもお仕事がんばってくれてありがとう。心から感謝しています。涙」

最後の「涙」は絵文字です。どうでしょうか。このほうが当初の文面よりも、ぐっと好印象ではないでしょうか。

別居中の夫と関係を修復したい妻

次も私がLINEを添削したケースです。

「おはよう。今日は寒いですね。ゴルフ、調子はどうですか。今年はドライバーが飛んでコンスタントに80台で回れるようになるといいですね。応援しています」

この相談者も女性で、夫は愛人にマンションを買い与えて、そこで一緒に暮らしています。別居状態で、夫としては離婚したいようですが、相談者である妻は何とか夫婦関係を改善したいと思っています。

妻のほうには、「いずれ夫と一緒にゴルフに行く」という目標があります。愛人はゴルフが下手で、夫はゴルフに連れて行かないそうです。そのため妻は夫と一緒にゴルフコースを回れるレベルまでスコアをあげて、一緒にラウンドして二人の関係を取り戻すことで、離婚を回避したいのです。

私は妻に「伝え方」を徹底的にレクチャーしました。その成果もあって夫の態度が軟化し、もう少しでゴルフにも誘ってもらえそうな雰囲気でした。先ほどのLINEはその状況で妻が送ろうとしていた文面です。どうでしょうか。このメッセージを読んで、「一緒にゴルフに行きたい」と思えるでしょうか。

ゴルフに誘ってもらうために付け加える一文

正直、そうは思えないという人のほうが多いと思います。原因は、「堅苦しさ」にあります。「調子はどうですか」「応援しています」という書き方はどこかよそよそしく、あまり「仲のいい夫婦」のような感じがしません。私は次のように添削しました。

「おはよう。今日は寒いですね。ゴルフ、調子はどうですか。今年はドライバーがさらに飛んで、コンスタントに80台で回れるようになるといいですね」

ここまではほぼ一緒ですが、次の一文を付け加えました。

「私も足手まといにならないくらいのスコアを目指します」

繰り返しになりますが、妻の目的は「ゴルフに誘ってもらうこと」ですので、このくらいの書き方をしたほうが「可愛げ」があると思うのです。普通ならもっとストレートに「今度ゴルフに行きましょう」と書けばいいのですが、この夫婦はすでに破綻寸前で、そういった普通の書き方が逆にわざとらしく、警戒される可能性があるため、こういった書き方にしてみました。

人によっては、媚びを売っているとか、女性がへりくだりすぎていると違和感を持たれるかもしれません。ただ、このケースの夫は、経営者で、多数の部下を使う立場でした。いろんな人からおだてられるのが当たり前という人だったので、それも加味して、徹底的に下手に出た文面のほうがいいと思ったのです。いずれにせよ、「相手にとって心地よい伝え方」を徹底していると、それだけでもこじれていた夫婦関係が少しずつ改善していきます。夫婦の片方が伝え方を変えると、不思議と相手も態度を改めてくれるのです。このケースでは、妻が私のアドバイスを受け入れ、伝え方の改善に努めたので、夫婦関係がみるみる改善していきました。

先ほどのLINEを送ってから数日後、今度は妻から私に「主人が誘ってくれたのでゴルフに行きます」というメッセージが届きました。その後は子どもを連れて三人で食事に行くようになったと聞いています。

ゴルフや食事に行くのは、調停(裁判)中の場合、修復不可能とされたり夫婦関係が破綻していると認定されないためにも非常に重要です。別居生活が五年程度続くと、裁判で離婚を認定されることがあると、いままでの経験からすでに書きましたが、一緒にゴルフに行ったり、食事に行ったりしていれば、裁判所が「破たん」ではないとみなす可能性が高くなり、離婚や裁判において有利になる場合があるそうです。妻がゴルフに誘ってもらうことにこだわった理由は、実はこの点にありました。

コツコツと伝え方の改善に取り組んだ結果、彼女がつかんだ「大勝利」でした。

岡野あつこ

株式会社カラットクラブ

代表取締役社長

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