90代姉妹、1世紀住んだ家を突然「立ち退き要求」され…斡旋された「3,150万円のマンション」を半ば強制的に購入。自治体と弁護士にしてやられた“衝撃のからくり”
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月20日 11時0分
画像:PIXTA
長年住んできた家を、マンションを建てるなどの理由で開発業者等に突然、「立ち退いてくれ」と言われた場合、その決断は大きな負担となります。特に、高齢者にとって住み慣れた土地を離れることは精神的にも身体的にも大きな労力を伴います。さらに、信頼すべき弁護士や専門家から思わぬ裏切りを受けたら、どうでしょうか。本記事では、後見制度の問題に取り組む「後見の杜」代表の宮内康二氏の著書『認知症になっても自分の財産を守る方法 法定後見制度のトラブルに巻き込まれないために!』(講談社)より、90代の姉妹が開発業者から立ち退き要求を受け、その後に起きた衝撃的な事例を一部抜粋・編集してお届けします。
90代女性、長年住んだ家を突然「立ち退いてくれ」と言われ……
90代のFさん姉妹は、生まれてこの方、東京都目黒区に住んできました。土地も建物も借りものですが、そこで生まれ育ち、二人で力を合わせて生活してきました。
ある日、マンションを建てるから立ち退いてくれと開発業者から言われました。立ち退きたくないFさんは目黒区に相談し、ある弁護士を紹介されました。
弁護士事務所に行くと、「賠償金をもらって立ち退くなら弁護を引き受ける」と言われ、それは自分の本望ではないため、依頼をしませんでした。
その後も、開発業者は執拗(しつよう)に立ち退きを要求してきます。Fさんは改めて弁護士に相談し、相手とのやり取りをとりあえず引き受けてもらうことにしました。
家を手放した途端、マンションを斡旋してきた弁護士の“正体”
結論から言うと、数ヵ月後賠償金をもらって、Fさん姉妹は1世紀近く住んだ家を手放すことになってしまいました。半年前に300万円かけて張り替えた屋根も無駄となりました。
弁護士は、もらった賠償金でマンションを買おうと斡旋してきました。築50年、40平方メートル、10年間の借地権付きの物件で、価格は3,150万円でした。弁護士からのファックスを見ると、「早くしないと売れてしまう」とFさんを急かすような内容です。調べたところ、その弁護士はその物件を扱っている不動産屋の顧問であることが判明しました。自分の関係会社をもうけさせるための斡旋だったのです。
その弁護士に促され、Fさんはお金を払い、弁護士と任意後見契約も結びました。亡くなったら遺産を目黒区に遺贈するという公正証書遺言も作成しました。生きている間は弁護士がもうけ、亡くなったら目黒区が利益を得る仕組みにまんまとのせられたとも言えるでしょう。
おかしいと思い続けていたFさんは知り合いに相談し、公証役場へ行き弁護士に促されて作った任意後見契約の解除と遺言の撤回を行い、弁護士と縁を切りました。90歳を過ぎたFさん姉妹の強さや自立心を垣間見る行動として素晴らしいと感じました。
弁護士と縁を切った「その後」
弁護士と縁を切ったFさんは、かねて懇意にしている代の市民後見人と、銀行へ同行するなどのお世話契約、認知症になってからの任意後見契約、亡くなったときの死後事務委任契約を結び、マンションでの生活を楽しもうと工夫しています。
しかし、昔気質(むかしかたぎ)なのか、やはり一軒家がほしいらしく、渋々買わされた中古のマンションを売り、一軒家に引っ越すか考えています。
Fさんの支援をしている市民後見人によると、「『春はお庭にいろいろな花が咲いてよかったのよ』と、今でも前の家のことをお話しになります。目黒区なんてこりごり、遠くでいいから一軒家がほしいと言っていますが、現実問題として高齢者こそ都心のほうが便利だと思っています。スーパーも病院も近くにあるし交通網も発達していますから。
施設に入るなら都心から離れて空気のよいところもいいですが、区内の施設にいるお姉さん(98歳)はご存命で、Fさんを支援するのが区内に住む私という状況だと、都心から離れるのはちょっと厳しいかなと思います」とのことでした。
高齢者に安住の地はあるのか? と思わざるを得ない事例です。
宮内 康二
一般社団法人 後見の杜 代表
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