東京大学を出てるのに…年収700万円・55歳のサラリーマン、高学歴の息子が唯一の誇りだったが、「お父さんみたいになるのは嫌なんだ」とあえて年収200万円・非正規の我が子に2度絶句
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月5日 5時15分
写真はイメージです/PIXTA
大学進学率は6割弱。いまなお毎年数値を更新しています。なぜ大学を目指すのか――最もよく聞かれるのが、キャリア形成に有利だから。一方で、高学歴でありながら、アルバイトやパートなど、非正規社員を選択するケースも増えています。そこには親の大きな失望が見え隠れしています。
多様なキャリア、収入…高学歴であることのメリット
文部科学省『令和5年度 学校基本調査』によると、高校の卒業生のうち、大学や短期大学などに進学したのは60.7%。四年制大学に限れば進学率は57.7%でした。この数字は8年連続で最高値を更新しており、18歳人口が減少しているなかでも、大学への進学希望者が増加していることを示しています。
実際にどのような大学に進学するか、進学した大学でどのような経験を積むかによって変わりますが、一般的に高学歴はさまざまなメリットをもたらします。
まず、大卒者は高卒者に比べて、より多くの職業選択肢を持ち、特に専門職や管理職への道が開かれます。2024年10月1日時点での大学卒業予定者の就職内定率は72.9%であり、厳しい経済状況のなかでも高い水準を維持しています。
また収入の向上も見込めます。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、学歴別の平均月給は以下の通り。
高校卒:34万4,700円
専門学校卒:35万0,600円
高専・短大卒:40万0,600円
大学卒:44万7,900円
大学院卒:50万5,800円
このデータから、高学歴ほど月給が高くなる傾向が明確に見て取ることができます。
さらに高学歴であれば一般的に「知識が豊富で信頼できる」と見なされ、ビジネスシーンで好印象を与えやすい一面があります。また高学歴の環境では、同じように優秀な仲間と出会う機会が増え、将来的なビジネスチャンスや協力関係を築く基盤が形成されることもメリットといえるでしょう。
そんな高学歴の子どもが自慢だという、清水晃さん(仮名・55歳)。清水さん自身は、全国的には知名度の低い地方の私立大学の卒業で、「普通のサラリーマン人生を歩んできました」と、自身で“ザ・平均的サラリーマン”を認識。だからこそ、学歴がものをいう社会というものを思い知らされてきたといいます。
ちなみに厚生労働省の調査によると、55歳・大卒サラリーマンの平均給与は月収で44.0万円、年収で725.5万円。清水さんの給与もこれくらいでしょうか。
ザ・平均的サラリーマン…東大卒の息子に感じた失望
ザ・平均的サラリーマンの清水さん。唯一の自慢というのが、26歳になるというひとり息子、翔太さん(仮名)。その最終学歴は東京大学だといいます。
「この世の中は学歴」と口が酸っぱくなるほど子どもに伝えてきたという清水さん。それが功を奏したのか、翔太さんは子どものころから優秀で、あれよこれよという間に東京大学に現役合格を果たしたといいます。
――鳶が鷹を生むとはまさにこのこと
ただ親の期待を超えていたのは、このときまでだったといいます。翔太さんは大学卒業後、安定した正社員の職を選ばず、非正規のアルバイトとして働いています。就職活動をするつもりはないと聞いたとき、清水さんは思わず言葉を失い、何もいえなかったといいます。何とか理由を尋ねると、言いにくそうにしていた翔太さん。あまりにしつこく聞くので、最後は観念したように「お父さんのように、会社の歯車のようになって働くのだけは嫌なんだ」とひと言。その言葉に、さらに言葉を失ったといいます。
現在、翔太さんはアルバイトを続けながら、月17万~18万円程度を稼いで生活をしているとか。清水さんは、息子の学歴を誇りに思っていたため、彼が低収入で不安定な仕事を選んだことに大きな失望を感じたといいます。「高学歴であれば官僚になるか、よい企業に就職できるはず」という期待が、見事なまでに裏切られる形になったのです。
総務省『労働力調査 2023年(令和5年)平均結果』によると、2023年、非正規社員は2,124万人で前年比23万人増。20代前半では188万人、20代後半では117万人が非正規社員として働いています。なぜ非正規社員でいるのか、その理由として最も多いのが「自分の都合のよい時間で働きたいから」で34.7%。「家計の補助・学費等を得たいから」18.3%、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」11.2%と続きます。また「正社員の仕事がないから」は9.6%でした。
10年前と比較すると、「自分の都合のよい時間で働きたいから」は10.5%増。一方で「正社員の仕事がないから」は9.6%減少しました。「あえて非正規」の人が大幅に増加しているのです。特に増加幅が多いのが20代前半で18.0%増。20代後半で11.5%増、30代後半で11.2%増でした。
「せっかく、東京大学まで出たのに」と思いつつも、あえて非正規を選ぶことになったのは自分のせいでもあると清水さん。
――親父として、格好いい背中を見せることができなかった。こんな私に、失望したのは息子だったのかもしれません。ちょうど多様な働き方が認められるようになったことも、息子には大きかったのではないかと思います
[参考資料]
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