「家計調査」で見えてくる、日本人の“1年間の支出パターン”【解説:エコノミスト・宅森昭吉氏】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月2日 9時10分
(※写真はイメージです/PIXTA)
約40年にわたり国内外の景気分析をしてきたエコノミスト・宅森昭吉氏が、景気や市場を先読みするヒントを紹介する本連載。今回は経済関連のお役立ちデータとして、総務省統計局の『家計調査』を紹介します。『家計調査』は一般個人の方が見ても面白く、さまざまな発見がある資料です。例えば「“あるモノ”が飛ぶように売れる日(=消費の特異日)」がわかったり、その「売れ方」のパターンが見えてきたりすることも…。個人向けに商売をする人にとっては、参考となる情報も採れるでしょう。宅森氏が具体例を紹介します。
日本人が“あるモノ”をこぞって買う日、「消費の特異日」
季節の風習などで、特定の日に支出が多くなる品目がある。主に食べ物が多い。例えば節分の日に増える「すし(弁当)」は、主に「恵方巻」が買われる影響だ。
ほかにも、バレンタインデーの直前や当日に買われる「チョコレート」、5月5日は柏餅を含む「他の和生菓子」、土用の丑の日の「うなぎのかば焼き」、クリスマス・イブの「ケーキ」がある。ちなみに、同じ土用の丑の日でも、「最初の丑の日(一の丑)」と「二の丑」では1世帯あたりの購入額が大きく異なる。
また、お正月用の「切り花」は12月30日の購入が多い。このことから、「一夜飾り」を避ける風習が今も色濃く残っていることがわかる。「生うどん・そば」と「日本そば・うどん(外食)」は年越しそばを反映し、大晦日に増える。
これらは総務省『家計調査 家計収支編』の日次データ(二人以上の世帯)で確認することができる。実は、品目ごとの日次データまで公表している政府の統計は貴重だ。恐らく家計調査のほかにはないだろう。
「恵方巻」の全国化 ~「消費の特異日」はこうして誕生する
近年、節分では豆まきのほかに、「恵方巻」を食べる風習も全国的なものとなった。節分には、スーパーやデパート、コンビニなどで恵方巻が売られ、多くの人が購入している。家計調査の二人以上世帯のデータをみると、「恵方巻」が主だと見られる「すし(弁当)」は、2024年の節分の日には1世帯当たり平均706円94銭が購入された(図表2)。
「恵方巻」の起源ははっきりしないものの、江戸時代から明治時代にかけて、大阪の商人や花街の女性たちから始まったといわれる。花街での遊びの一環として始まったという説もあるようだ。太巻き寿司に丸ごとかぶりつき、黙って一気に食べることで、商売繁盛や無病息災を願ったという。無言で1本食べきるのは、幸運を逃さないようにするためで、「恵方巻」を包丁で切ると「縁が切れる」と考えられているようだ。
関西には、その年の縁起のいい方角(=恵方)にある社寺に参拝する「恵方詣り」の風習があったことも関係しているといわれている。
「恵方巻」の習慣が全国的になったのは1989年、広島県の一部のセブン‐イレブン店舗が縁起のいい風習として、太巻き寿司を「恵方巻」として販売したことがきっかけだという。子どもから大人まで楽しめる行事だったことから、この波に乗ろうと多くのスーパーやデパートが「恵方巻」を販売し、全国に知れ渡るようになった。
バレンタインチョコレートの消費に「変化」の兆し?
同じ2月の風習として、バレンタインデーの2月14日にチョコレートを女性から男性へ贈ることが挙げられる。チョコレートを贈るのは日本独自の風習だ。
日本型バレンタインデーの先駆けは、洋菓子メーカー・モロゾフ株式会社だといわれている。モロゾフは1935年、英字新聞The Japan Advertiserに日本発のバレンタインチョコレート広告を出し、愛する人にチョコレートを贈ることを勧めた。ほかにも各チョコレート販売会社の販売促進活動や、女性向け雑誌の特集記事なども、日本型バレンタインの普及に一役買ったとされている。
かつては職場で義理チョコなども多く配られたが、コロナ禍の影響もあり、2019年に比べ2024年では、2月13日あるいは14日にチョコレートを購入する割合が相対的に減少した感がある(図表3)。
宅森 昭吉
景気探検家・エコノミスト
景気循環学会 副会長 ほか
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