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Jeepを乗り回してゴルフ三昧…年収650万円の“見栄っ張り”な50代サラリーマン「時間は金で買う」と強気だったが…節約に目覚めた“金欠ではない”理由【FPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月13日 11時15分

Jeepを乗り回してゴルフ三昧…年収650万円の“見栄っ張り”な50代サラリーマン「時間は金で買う」と強気だったが…節約に目覚めた“金欠ではない”理由【FPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

生涯未婚率は年々上昇を続け、昨年は男性が28.25%、女性が17.85%となりました。結婚せずに独身を謳歌するこうした“独身貴族”は、好きなようにお金を使える反面、将来への見通しが甘く、ひょんなきっかけで「破産危機」に陥るケースも少なくありません。50代サラリーマンTさんの事例をみていきましょう。FP事務所ストラット代表の伊豫田誠氏が解説します。

時間は金で買う…強気な“独身貴族”を襲った悲劇

都内企業に勤め、中堅サラリーマンとして安定した生活を送っているTさん。年収は650万円ほどです。50代に突入したもののパートナーはおらず、家庭を持った学生時代の友人とはいつしか疎遠に……。愛車のJeepを乗り回し、休日は趣味のゴルフを楽しんでいます。いわゆる“独身貴族”です。

見栄っ張りで負けず嫌いな性格のTさんは、ゴルフウェアやゴルフクラブの種類にもとことんこだわります。「それ、いいっすね。どこのですか?」ゴルフ場で出会った “独身貴族仲間”に話を聞き、より質の高いアイテムを手に入れるための情報収集を欠かしません。

そんな生活ですから、貯金はほとんどゼロ。よく飲みに行く後輩や部下のなかには心配してくれる人もいましたが、Tさんは「人生は1度しかないんだから、なるべくやりたいことだけやらなきゃ。だから俺は時間を金で買っているんだよ」と強気の姿勢。食事も外食ばかりです。仲間や職場の後輩を連れていく“いい店”はたくさん知っていますが、“体にいいもの”はほとんど摂れていない様子。年齢とともにお腹も出てきたものの「ゴルフで毎週のように運動しているし大丈夫だろう」と本人は見てみぬフリです。

ところが……。

ある朝、Tさんは総務から1通の封筒を手渡されました。毎年会社で実施している定期健康診断の結果が届いたようです。いつもは開封すらせず捨ててしまうTさんでしたが、同僚が「げっ! 俺、精密検査だ!」とこぼしているのを聞き、話に参加しようと開封。すると、Tさんの検診結果にも「要・精密検査」の文字が……。

飲酒の機会も多く、好きなものを好きなだけ食べる生活を送っているTさんは、以前から「糖尿病予備軍」と指摘されていました。しかし、他人事のまま気に留めず、とうとう今年は精密検査をするはめに。検査の結果、Tさんは「2型糖尿病」と診断され、教育入院をすることになりました。 ※教育入院は、患者が糖尿病についての理解を深め、適切な管理方法を学ぶために行われる。期間は2泊3日~2週間と、病院によって異なる。

入院先の病院で目にした「衝撃の光景」

「2型糖尿病」とは、血液中のブドウ糖が正常より多くなる病気です。もともと持っている体質のほか、脂肪の多い食事や高カロリーな食事、運動不足が原因とされ、適切に管理しないと心血管疾患や腎症、神経障害、網膜症など、さまざまな合併症を引き起こします。

Tさんが診断を受けた病院の教育入院プログラムは2週間と長く、毎週行っていたゴルフもキャンセルするハメに。

「最悪だ……」陰鬱な気持ちで教育入院をスタートさせたTさん。しかし、Tさんは入院を経て“改心”しました。

その理由は、入院中に目にした同じ糖尿病患者の姿でした。糖尿病の合併症である神経障害や血管障害の影響で組織が腐り足が壊疽(えそ)している人や、網膜症にかかり失明している人。また、高齢の患者には、疲れた顔をした家族やヘルパーさんが付き添っています。

決して生活習慣だけが原因ではないものの、「このまま好きに暮らしていたら、自分もこうなるかもしれない……」と、Tさんはようやく我に返りました。

また、教育入院が長期だったこともあり、約15万円の費用がかかりました。

「糖尿病が悪化したら、これ以上の金額を負担することになるのか」Tさんはこれまでの暴飲暴食を反省。「貯金はほとんどないし、いまはまだ働いているからいいけれど、病気が悪化したら医療費が払えない」「介護が必要になっても、親はもう高齢だし、外注するしかないよな。そうするとさらにお金が要るじゃないか……」

急に将来が不安になったTさん。病院から帰るなり、月々の収支を書き出してみることにしました。Tさんは長いあいだ、「どうせ1人だからお金の管理をする必要はない」と、月々の収支を把握せずに過ごしてきましたが、その内訳に開いた口が塞がりません。

書き出してはじめてわかった「驚きの支出額」

〈Tさんの生活費の内訳〉

・食費……6万円

・住居費……10万円

・自動車ローン……8万円

・水道光熱費……2万円

・衣料費……1万円

・生命(医療)保険……3万円

・自動車保険……0.7万円

・交通・通信費……3.3万円

・雑費……1万円

・娯楽費……10万円

合計:45万円

年収650万円の月々の手取りは41万円ほどであり、毎月4万円の赤字です。ボーナスまで毎月食いつぶしていることになります。

「これはダメだ……悩むより専門家に相談しよう」と考えたTさんは、知り合いのファイナンシャルプランナーに相談することにしました。

生活スタイルは変えずに「月2.2万円」の削減に成功

FPに一連の経緯と保険を見直したい旨を伝えると、Tさんが加入している保険について下記のように説明がありました。

FP「Tさんは30年前から、いわゆる「定期付終身保険」に加入していますね。これは、終身保険(死亡保障)のうえに定期で死亡保障・医療保障・ガン保障など複数の特約を付加するタイプの商品です。これまで数回更新をなさっているようですが、そのせいで保険料がかなり高額になっています」

Tさんが加入している生命保険の内容は下記のとおりです。

〈Tさんが加入している「定期付終身保険」〉

終身保険……死亡保障100万円

定期保険……死亡保障1,900万円

(特約)医療保障……入院1万円/日額、手術10万円/1回

ガン保障……ガンと診断されたら50万円

FP「50代独身のTさんに、この死亡保障額(定額部分)は過剰ともいえます。その反面、終身部分の死亡保障額は100万円と少額です。また、医療保障の特約は60歳までしか更新できず、万が一老後に入院や手術を繰り返すようなことがあれば心配な内容でもあります。

加入されたときには納得して契約しても、30年以上経つとライフステージや保障のニーズが変化します。Tさんの現在の状況には見合っていないかもしれません」

これまで浪費が激しい生活を送ってきたTさんは、これから貯金を始めるとしても十分な額になるかどうか不安です。老後の医療費が一番の心配だったTさんは、FPと相談のうえ、思い切って死亡保障は解約し、終身タイプの医療保険のみに切り替えることにしました。そうすると、保険の内容は下記のようになります。

〈変更後の医療保険の保障内容〉

終身医療保険:入院5,000円/日額       :入院一時金20万円

入院保障に特化することで保障内容がわかりやすく、毎月の保険料は3万円から9,500円に大幅削減が叶います。

さらに、愛車の自動車保険もネット型に切り替えることで、保障内容を落とさず毎月7,000円から5,000円にすることができます。

この2つだけで、Tさんは毎月2.2万円の固定費の削減が叶います。さらに、この浮いたお金は浪費しないよう、つみたてNISAで運用していくことを決めました。

Tさんのその後

「Tさん、お気づきでいらっしゃるかもしれませんが、固定費だけでなく、食費や娯楽費も削減していく必要がありますよ」。FPがこう言うと、Tさんは苦笑いで次のように答えました。

「えぇ、わかっています……これまで十分楽しんだので、これからは老後を見据えて、質素に暮らさないといけませんね」

それからのTさんは、趣味のゴルフは続けながらも頻度を減らし、生活の質を担保しながら無駄な出費を抑えるようになりました。医師のアドバイスもあり、外食を控え、レンジで簡単に調理できる商品から自炊をスタート。お金に目を向けることで、だんだんと健康にも気を配れるようになり、糖尿病の治療経過は順調です。また、食費や娯楽費を見直したことで自動車ローンを完済。毎月の貯金額を増やし、ゆとりある生活スタイルになりつつあります。

たとえパートナーやご家族がいなくとも、「いまさえよければいい」という考えで浪費を続けていては、病気や怪我など万が一の際に身動きがとれなくなってしまいます。早いうちから健康に気をつけるとともに、老後に備え収支を把握する習慣をつけることをおすすめします。

〈参考・出典〉

◆知りたい! 糖尿病「2型糖尿病とは~生活習慣病、高血糖~」 ◆糖尿病ネットワーク「糖尿病の医療費・保険・制度」

伊豫田 誠 FP事務所ストラット 代表/不動産投資専門ファイナンシャルプランナー  

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