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年金月20万円・貯金1,500万円の78歳父〈老人ホーム〉で“新しい友だちとの老後”を楽しんでいたが…49歳息子、たまたま目にした〈まさかの光景〉に悲鳴「やめてくれよ!」【元介護施設勤務のFPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月19日 11時15分

年金月20万円・貯金1,500万円の78歳父〈老人ホーム〉で“新しい友だちとの老後”を楽しんでいたが…49歳息子、たまたま目にした〈まさかの光景〉に悲鳴「やめてくれよ!」【元介護施設勤務のFPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

心身の衰えや介護の必要性、家族を失った寂しさなど、老人ホームに入居する理由はさまざまです。しかし、安易に施設を選んでしまうと、老人ホームでの「予期せぬトラブル」に見舞われるかもしれません。過去に介護施設での勤務経験があり、現在は株式会社FAMORE代表取締役である武田拓也FPが、具体的な事例をもとに「入居トラブルの予防策」を紹介します。

妻を亡くして突如始まった、78歳Aさんの “新生活”

現在78歳のAさんは高校を卒業後、大手企業に入社。自分にも他人にも厳しい性格のAさんは、たたき上げで部長職にまで上り詰め、定年まで勤めあげました。

定年退職後は、つながりのあった会社の顧問をしたり、地域の世話役をしたりと、現役時代と変わらず忙しい毎日を送っていたAさんでしたが、昨年、奥さんに先立たれてからは、生活が一変します。

顔には出しませんが、妻を失った寂しさが拭えぬなか、Aさんのひとり暮らしがスタート。これまで家事を一切してこなかったAさんにとって、この年になってからの自炊や掃除、洗濯は心身ともに負担が大きく、大変なストレスでした。

「こんなに大変なことを、妻に任せきりにしていたんだな……いやあ、いまさら反省してももう遅いか」

そんなある日のことです。ワイドショーの「老人ホーム特集」が目に留まったAさんは、施設での暮らしを検討するようになります。

「施設に入れば家事はスタッフに任せて、足腰も痛めずに済むのか……これはいいかもな」

Aさんの資産状況は、退職金の残りなどをあわせて1,500万円ほど。収入は月額約20万円の年金のみです。

「これから贅沢することもないだろうし、この家を売ればなんとかなりそうだな。息子に迷惑をかけるわけにはいかないし、俺の資産でまかなえるところにしよう」

自分なりに資金をシミュレーションして手ごろな施設を見つけたAさんは、早速施設に電話し、見学予約を取り付けました。

優しそうなスタッフと快適な施設に「即決」

数日後、施設見学に訪れると、物腰の柔らかい女性スタッフがAさんをお出迎えし、館内を丁寧に案内してくれました。その後食堂で、施設で実際に提供されている昼食を試食。栄養バランスもよく、味も文句ありません。

(自分で苦労しなくとも、毎日こんなに美味しい料理が食べられるのか……スタッフもみんな優しそうだし、俺が求めているレベルをクリアしている)すっかりその施設が気に入ったAさんは、その場で入居契約を結ぶことに。

現在49歳のひとり息子にも、念のため連絡を入れます。

「父さんな、老人ホームに入ることにしたから」

父親から厳しくしつけられている息子は、父親の決定に異議を申し立てることはありません。内心不安もありましたが、それを直接伝えることはしなかったそうです。

施設の“新しい友だち”と楽しい日々を過ごしていたが…

入居後のAさんは、思い描いていたとおりの快適な暮らしを満喫していました。入居後すぐに様子を見に来た息子たちにも「ここの暮らしはいいぞ。お前たちもしっかり働いて、将来は入居したらどうだ」と自慢げです。

ストレスだった部屋の掃除や洗濯、食事の用意も自分でする必要はなく、すべて施設のスタッフが行ってくれます。自宅で孤独に過ごしていたころより自由な時間が増えたAさんは、話し相手を探しに共有スペースにある談話室を訪れ、雑談を楽しむようになりました。

ある日、いつものように談話室を覗くと、男女4人が楽しそうに話しています。そのなかに、見かけたことのない男性も混じっていました。その男性は見た目の年齢も同じくらいのように見え、知的な雰囲気を醸しています。“新しい友人”ができると思ったAさんは、思わず声をかけました。

「どうも、はじめまして。先月から入居しているAといいますが、おたくは?」

「やあ、どうもどうも。Bと申します。私はね、この施設ができた頃からずっと住んでおりまして。ここでの暮らしには慣れましたかな?」

「いやあ、大先輩でしたか! これは失礼しました(笑)」

入居歴が長いことを知り、下手に出たAさんは、なるべく謙虚に努めて会話を続けました。しかし、かつて有名企業で働いていた自尊心が、無意識に会話ににじんでしまいます。

「失礼ですが、ご年齢は? お仕事はなにをされていたのかね?」と聞かれたAさんは、「もう結構な年でね。78歳になったんですが、現役時代はあの〇〇で有名なX社で部長をしておりましたよ」と自慢げに答えます。

これまで施設で出会った人たちのように、「すごいですね」と褒められ、話が弾むと思ったAさんでしたが、Bさんは予想に反して次のように答えました。

「なんだ、年下か。しかも部長止まりの。私はY社の役員でしたよ。今年で80歳です」

Bさんの見下すような態度に不快感を覚えたAさんは、早々に話を切り上げて談話室を離れます。しかし、その日の昼食時、中庭がよく見える窓際の席にAさんが座っていると、Bさんが近づいてきました。

「あんた、そこは私の席だよ。どいてくれ」

先ほどのBさんに対して面白くない気持ちが残っていたAさんが「そんなことは知らん」とぶっきらぼうに答えると、Bさんは持っていた椅子で杖を叩き、こう言い放ちました。「ワシに口答えするとはなにごとだ! どかんか!」

ささいな意地の張り合いの結果、掴み合いの大喧嘩に。騒ぎを聞きつけて他の入居者やスタッフが集まってきました。そのなかには、ちょうど面会のために施設を訪れていた息子の姿も。

「ちょっと! 父さん! なにしてんだやめてくれよ!」息子は急いで間に入り、興奮する父親を連れてその場を離れました。

施設内でのトラブルを避けるため…入居前に必ずやっておきたいこと

たとえ設備が整って雰囲気の良い施設であっても、入居者の性格はさまざまです。では、こうしたトラブルを避けるためには、どのような対策が考えられるのでしょうか。

1.施設見学時、「施設ルール」と「監視カメラ」を確認する

施設見学時、家事の負担をなくしたいとそればかりに気を取られていたAさん。しかし、老人ホームは自宅での生活と異なり「共同生活」となるため、その施設が「トラブルが起きにくい環境になっているかどうか」を確かめることも重要になってきます。

トラブルは、閉鎖的な場所で起こりやすいため、決められた見学時間が極端に短かったり、外出時や携帯電話の使用などに厳しいルールが設けられたりしている場合は要注意といえるでしょう。

また、トラブルが心配であれば「監視カメラ」が設置されているかどうかも確認しましょう。監視カメラがあることで、さまざまなトラブルの抑止力になり得ます。

2.「体験入居」はマスト

老人ホームへの入居を検討する際には、施設見学だけではなく「体験入居」を行うようにしましょう。体験入居は、見学だけではわからない夜間や早朝の施設の様子を把握できるほか、スタッフや入居者と直接コミュニケーションをとることができます。

体験入居で「どのような入居者がいるのか」をあらかじめスタッフや入居者からヒアリングすることで、他の入居者とのトラブルを回避できる可能性が高まります。

具体的には、入居者の年齢層や介護度、認知症患者の有無、可能であれば資産状況などを聞いておくとよいでしょう。

特に、検討している施設が認知症の高齢者を受け入れているか確認しておくことは重要です。後日息子さんが施設のスタッフに事情を確認したところ、Bさんには軽度の認知症があり、こだわりが強い傾向にありました。こうした点もあらかじめ知っておけば、コミュニケーションの方法や距離の取り方について工夫することもできたかもしれません。

後日談

Aさんはその後、Bさんと不要なトラブルを避けるために、できるだけ顔を合わせないようにしました。

しかし、しばらくすると、廊下ですれ違うことすらなくなってしまいました。不思議に思ったAさんは、スタッフに「Bさんはどうしたんですか?」と聞いてみたところ、「認知症が進行して、介護が必要になったので介護棟へ移られたんです」とのこと。

一時は他の施設への転居を考えていたAさんでしたが、こうした経緯からいまも同じホームで生活しているそうです。

老人ホームには、さまざまなバックグラウンドを持った入居者がいます。もしも認知症を受け入れていない施設に入っていればAさんも不快な思いをせずに済んだかもしれませんが、その場合、認知症になった際に施設を退去する必要があるケースも少なくありません。

認知症になってからでは、次の施設を探すのは大変です。したがって、老人ホームの入居を検討する際には、人間関係の把握のほか、「認知症になった場合はどうするか」「自身がどのような最期を迎えたいか」「介護が必要になっても住み続けられるのか」など、「こんなはずではなかった」とならないよう、先を見据えて慎重に計画をたてることをおすすめします。

武田 拓也 株式会社FAMORE 代表取締役

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