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評価額1,000万円の実家は兄に…「でも、介護は女の子のあなたがお願いね」と悪びれもなく言い放つ母。地元・九州で親の面倒を一身に引き受けてきた〈55歳女性〉がついに家族を見切ったワケ【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月11日 10時15分

評価額1,000万円の実家は兄に…「でも、介護は女の子のあなたがお願いね」と悪びれもなく言い放つ母。地元・九州で親の面倒を一身に引き受けてきた〈55歳女性〉がついに家族を見切ったワケ【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

美保さん(55歳)は1度結婚したものの離婚し、1人で暮らしています。そんなとき、父親が亡くなり、離れて暮らしている兄との財産分与に不満を感じずにはいられませんでした。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、相続の際の財産分与について解説します。

ずっと地元で暮らしてきた美保さん

55歳の美保さんは大学こそは自宅を離れて通ったものの、就職時には九州の地元に戻り、両親と住んでいました。結婚しても転勤などなく、地元での生活を続けています。

美保さんには2つ上の兄がいますが、結婚して間もなく夫の転勤で大阪に引越し、それ以来ずっと大阪に住んでいます。

思ってもみなかった介護生活

美保さんは15年間の結婚生活にピリオドを打ち、その後は1人で暮らしています。結婚している間に購入したマンションはローンの返済が完了していたこともあり、美保さんが住むことになりました。もちろんその際の登記や持分については清算済です。

そして1人で生活している中で、50歳を過ぎたころから、両親から頻繁に連絡が入るようになったのです。それは病院に通うときの付き添いや、家での介護です。

両親の年齢も75歳を超え、病気をする機会が増えてきたのです。

両親が美保さんを頼ったのは、美保さんが離婚後フリーランスとして生活しており、割と時間に自由がきくと思われていたことが原因です。とはいえ、仕事をしなければ収入がないことから、仕事の時間は確保しなければなりません。繁忙期には土日も休めないほどの仕事をこなしていた美保さんは、いきなり突きつけられた介護の状態に戸惑うばかりでした。

両親はもう車の免許を返納しているたえ、病院に行くとなれば連れて行かなければなりません。両親のどちらかが入院した場合は、片方の食事など家事もこなさなければなりません。

あまりの忙しさに大坂にいる兄に少しでも手伝ってほしいとお願いしたものの、無理とのこと。結局、美保さんは身体を壊す直前の状態で介護を続ける生活をずっと続けていました。

驚いた財産分与の内容

そんななか、父が亡くなり、両親が住んでいる家は母が、そして父が保有していた金融資産は母と兄、そして美保さんと3等分することになったのです。

そして、驚いたのは母の言葉です。

母は「私が死んだらこの家は孝政(美保さんの兄)に譲る」と言ってきたのです。母には家以外の金融資産はほぼありません。

もちろん美保さんも自分の家を保有しているとはいえ、実際には父が保有していた家の評価額も含め、法定相続割合に沿って遺産を分けるべきです。

父が亡くなった時点できちんと財産分与を行うべき

父は、財産全てを平等に分けてほしいと考えていましたが、実際に家の評価額を調べることはしていませんでした。美保さんが慌てて家の評価額を調べたところ、1,000万円ほどでした。本来なら家の評価額も含めて法定相続分に沿って分けることで、子どもたちの受け取る金融資産は母よりも多くなったはずです。

しかし、母にはそんな考えはなく、兄の孝政さんに家を譲り、孝政さんの孫に財産を残すことを優先しています。

美保さんは最終的には兄と平等に財産が残るようにしてほしいという思いで、これまでの介護生活について話し、自分がどれだけ辛かったか、また仕事の両立が難しかったかを話しましたが、「女の子なんだから親の介護をするのは当たり前でしょう」の一言で片づけられてしまいました。

美保さんには子どもがおらず、母としてはかわいい孫がいる兄のほうに財産を残したいと考えたのでしょう。母は「孝政は昔から手がかかる子だった。家庭を持ってやっと安心した。孫もこれからお金がかかるから少しでも孝政の力になりたい。美保は一人でもやっていける子だもんね」と悪びれもなく言うのです。「私がいい子だったのはお母さんに少しでも褒めてもらいたかったのに……」思わず美保さんがこれまで抑えていた気持ちが溢れてきました。

財産の分け方は遺産分割協議で決めますが、兄は母の意見に賛成し、美保さんの立場は弱いままです。反論しても聞き入れてくれるはずがありません。それどころか、「マンションもあるくせに親の財産を頼るなんて厚かましい」と言われるばかりです。

極めつけは今年のお正月でした。年末に大阪から家族で帰省してきた兄一家をここぞとばかりもてなす母。兄一家が滞在している期間は美保さんも手伝いに駆り出され、台所にいる時間のほうがずっと長かったと言います。ようやく兄一家が帰った後、一息ついた美保さんは「この家族に何を言っても無駄だ」と諦め、相続についても親が言う通り、わずかな金額を相続しました。

財産分与で揉めたこともあり、その後母親や兄からは距離を置かれることに。独り身だからこそ、病気などで何かあったときには兄を頼りたいという気持ちもすっかり冷めてしまいました。

相続財産に不動産が含まれている場合、このように財産分与が複雑になるケースは少なくありません。身内が遺産相続でいがみあうのは見たくないものですが、相続が争族に発展するケースも多く、家族という絆も失われてしまいます。

遺産相続について、生きているうちに話し合うのは難しいですが、自分の気持ちをきちんと書き記しておくことは大切です。もちろんエンディングノートを活用してもいいですが、エンディングノートには法的効力はありません。

自分の財産を残された人にどう分けるか、それも不満が出ないようにする方法を考えるのは難しいですが、できれば弁護士などに相談し、遺言書などで遺しておくようにしましょう。

また、夫婦ともに健在の間にどのように財産を残すか話し合っておくことも大切です。そのうえで、できれば子どもたちにもその内容を伝えておくようにしましょう。子どもたちも事前に知ることで、実際に相続が発生した時に揉めることもなくなります。

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

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