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助けて!老人ホームで暮らす〈年金月15万円〉82歳母の電話に気づかず…翌朝、LINEに残る悲痛なメッセージに56歳娘が驚愕。急いで駆けつけた施設で目にした「悲惨な光景」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月14日 5時15分

助けて!老人ホームで暮らす〈年金月15万円〉82歳母の電話に気づかず…翌朝、LINEに残る悲痛なメッセージに56歳娘が驚愕。急いで駆けつけた施設で目にした「悲惨な光景」

(※写真はイメージです/PIXTA)

「自宅での生活が難しくなってきた」「自宅での介護が限界に達した」など、高齢者の住まいに関する悩みを解決してくれる選択肢として、老人ホームへの入居を選ぶ人が増えています。ただ老人ホームに入居したら安心か、ということではなさそうです。

料理好きの「82歳母」にぴったりの老人ホームだと思っていたが…

82歳になる母・佐藤美智子さん(仮名)が老人ホームに入居しているという長野明美さん(56歳)。美津子さんは夫を亡くして5年が経ち、ひとり暮らしに不安を感じていたところ、明美さんの勧めで1年前から老人ホームに入所しています。

入所する前にはいくつかのホームを見学。条件として挙げていたのは、何かあったときにすぐに駆けつけることができるよう、明美さんの自宅から車で1時間圏内にあること。費用は20万円以内であること。これは月15万円だという美智子さんの年金から逆算し、無理なく入所できる金額として算出したものでした。また料理好きの美智子さん。できれば自室に小さくてもいいからキッチンがあるといい……このような条件に合致したのが、いま入所している施設だといいます。

住み心地は上々。ほかの入居者とも仲が良く、充実した日々のレクリエーションで楽しい日々を過ごしていたといいます。明美さんも母が充実した日々を送っているようでひと安心……のはずでした。

ある朝、明美さんが起きて携帯電話を確認すると、美智子さんから着信が10件ほど入っていてぎょっとします。着信音がミュートになっていて、まったく気が付かなかったようです。さらにラインにもメッセージが入っていました。

――お願い、助けて!

その切羽詰まったメッセージに、急いでホームに駆けつけたという明美さん。そこには想像を絶する光景が広がっていました。以前、面会に来たときは落ち着いた雰囲気でしたが、スタッフが駆け回り、慌ただしい空気であふれています。また清掃も行き届いていないのか、床にゴミも目立ちます。前はそんなことなかったのに……。

さらに美智子さんの居室を訪れると、同じように部屋が雑然とし、ゴミも溜まりに溜まっています。美智子さんに話を聞くと、最近はどんなにスタッフを呼んでも、全然来てくれないと訴えます。

実は、少しずつ認知症の症状が出ていた美智子さん。昨夜は、夜間の不安や混乱から助けを求めていたことがわかりました。明美さんに連絡をする前にも、何度もスタッフを呼んだものの、誰も来てくれなかったとか。さらに明美さんも電話に気づかず……悪いことをしたと、明美さんも反省だったといいます。

その後、施設長との面談で、大量離職によるスタッフ不足により、適切なケアが提供できていない実情が判明。それにより母はより不安定な状態になり、周囲のスタッフとのコミュニケーションもままならない状況だったのです。状況の改善はいつになるのか尋ねても、「頑張って採用活動をしているんですけど……」と施設長。今、このホームには安心感がありません。退所も視野に検討しているといいます。

人手不足感が強い介護業界…突然の「サービスの質の低下」を見抜くには

美智子さん、明美さんのような事態を防ぐためにも、老人ホーム選びには慎重さが求められます。老人ホームを検討する段階で、ロケーションや費用感のほか、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。一例をみていきます。

▼スタッフの質と人数

施設見学時には、スタッフの対応や入居者とのコミュニケーションを観察します。十分な数のスタッフが配置されているか、また彼らが入居者に対して丁寧に接しているかを確認することが重要です。

▼医療サポート体制

施設内に医療スタッフが常駐しているか、また近隣の医療機関との連携体制が整っているかを確認します。特に、緊急時の対応策が明確に定められているかどうかは重要なポイントです。

▼生活環境と設備

バリアフリー設計や清潔感、安全対策(手すりや緊急呼び出しボタンなど)が整っているか確認します。特に、ナースコールや緊急通報装置の設置状況と使用方法を確認することが大切です。

▼ケアプランと介護サービス

施設が提供する介護サービスが個別のニーズに合ったものであるか確認します。特に、認知症ケアの対応力や夜間の見守り体制について詳しく聞くことが重要です。

▼入居者との交流機会

孤独感を軽減するためには、入居者同士や家族との交流機会が重要です。施設内でのイベントや活動プログラムについて確認します。

ただどんなに慎重に見学を重ねても、深刻な人で不足といわれている介護施設では、離職によりスタッフ不足→サービスの質の低下ということは、どこの施設でも起こりうることです。

厚生労働省『令和6年版 労働経済の分析』によると、介護業界の人手不足の状況を以下のように分析しています。

・総じて、人手不足が強い傾向にあり、法人規模別にみると、100人以上の大きい事業所において人手不足感が強い

・地域別にみると、「政令指定都市、東京23区」のほうが「それ以外」の地域と比べて介護事業所における人手不足感は強い

・人手不足となっている事業所の割合が高まるなか、事業運営上の問題点として、「人手不足」をあげる事業所の割合も高まっている。また、「今の介護報酬では、十分な賃金を払えない」「サービス提供に関する書類作成が煩雑で、時間に追われている」「教育・研修の時間が十分に取れない」等、人手不足に関連する問題点をあげる事業所が多い

業界の人手不足から来る弊害に対して、個人で対処するのは至難の業。家族ができる唯一の対策は、老人ホームに入所して終わりとは思わず、老人ホームに入所した家族とは頻繁にコミュニケーションを図ることです。

[参考資料]

厚生労働省『令和6年版 労働経済の分析』

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