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認知症の母が〈有料老人ホーム〉に入居「これで安心」と思いきや…わずか1年たらずで「出ていってほしい」と言われた理由【安藤なつが介護ジャーナリストに聞く】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月5日 9時45分

認知症の母が〈有料老人ホーム〉に入居「これで安心」と思いきや…わずか1年たらずで「出ていってほしい」と言われた理由【安藤なつが介護ジャーナリストに聞く】

(※写真はイメージです/PIXTA)

核家族化が進んだ日本で「高齢者施設」は心強い味方です。ただし、高齢者施設にはさまざま種類があるため、用途やプランを慎重に検討しなければ“思わぬ悲劇”を生むことも……。芸人の安藤なつ氏と介護ジャーナリストの太田差惠子氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より、高齢者施設の特徴と選ぶ際のコツをみていきましょう。

〈登場人物紹介〉

●安藤なつ…介護歴約20年。現場のことはある程度わかるけれど、制度やお金のことについて詳しく知りたい。

●太田差惠子…取材歴30年以上の「介護とお金」に詳しい介護ジャーナリスト。費用を抑えるための介護制度や、プロの手の借り方について解説。

高齢者施設選びで最初に困惑する「種類の多さ」

CHECK!

□施設によって介護サービスの内容はさまざま

□施設に払うお金に介護費用が含まれているとは限らない

□公的施設と民間施設では費用に差がある

安藤:親が高齢者施設に入っているという人に話を聞くことがあるのですが、施設のイメージや評価は百人百様で驚きます。

太田:高齢者施設と一言でいっても、いろいろなタイプがありますからね。施設への入居を考えはじめた人が、最初に困惑するのが種類の多さだと思います。まずは施設について、客観的に見極める目を持つことが大切です。

安藤:そう言われると難しそうで、最初からヤル気がなくなります……。

太田:ですよね。でも確認すべきポイントを知ってこそ、自分の親にふさわしい施設を選ぶことができます。

安藤:そのポイントだけを、簡単に教えてください!

高齢者施設は「フルプラン」と「オプションプラン」に分けられる

太田:まず確認すべき点は、介護サービスを行うのが、入居している施設の職員なのか、外部の事業者と別契約するのかということです。介護サービスを職員が行う施設は「フルプラン」、外部の事業者と別に契約する施設は「オプションプラン」と覚えてください。 

安藤:どちらかなんですね。

太田:そうです。ここが施設選びのミスマッチになりやすい、大きなポイントです。「こんなはずではなかった」という声をよく聞きますが、この点を確認しておけば、そういうことは少なくなるはずです。

安藤:2つしかないなら、確認するのは簡単ですね。

太田:フルプランの施設は「介護型」といわれるのですが、多くの人がイメージする老人ホームはこのタイプです。これに対してオプションプランの施設は「住宅型」と呼ばれ、建物は高齢者向け仕様になっているものの、介護サービスは別契約になっています。 

安藤:子どもから見ると、フルプランの介護型のほうが安心な気がします。

太田:要介護度が重くなってから入居するなら介護型のほうが安心なケースもあります。でも、要介護度が低いうちは住宅型のほうが生活の自由度が高く費用も抑えられます。親の身体状況や希望に合うのはどちらのタイプかを、正しく見極めることも子どもの役割のひとつです。

安藤:介護が必要というより、1人で暮らすのは心配だからと施設を探すのならば、住宅型のほうがいいってことですね。

太田:そうですね。要介護度が低い間は住宅型なら費用を抑えられますし、要介護度が高い入居者が多い施設だと、なじみにくい可能性があります。早めに入居するなら、自分でできることが多い間は住宅型、要介護度が重くなったら介護型へ移ることを検討するというのが現実的かもしれません。多くはありませんが、1つの施設に両方を備えているところもあります。

「施設に入居できれば安心」ではない

安藤:でも施設に入居してくれれば、その後は安心ですよね。

太田:そんなことは、ありません。住宅型の施設は要介護度が進むと退去を言い渡されることもあります。

安藤:え! 追い出されちゃうんですか。

太田:フルプランの介護型は、看とりまで行う施設が多いので「終の棲家」となりえるケースが多いです。しかしオプションプランの住宅型は、重い介護が必要な人には対応できない場合もありますから、将来的に住み替えの必要が生じる可能性も考えておいたほうがいいですね。

安藤:住宅型は介護サービスがオプションプランということは、たくさん使うようになったらお金がかかるってことですか?

太田:いいところに気がつきましたね。住宅型の場合、入居した当初は介護サービスの利用料が少ないので費用を抑えられます。でも、要介護度の進行に合わせてサービスを増やしていくと、フルプランの介護型施設と変わらないか、それ以上の費用がかかる可能性もあります。

安藤:ええ~っ! それは落とし穴ですね

介護型のフルプランだと思ったら…

認知症の母親を有料老人ホームへ入居させ、これで安心と思っていたXさん。ところが1年もたたないうちに施設から「出ていってほしい」と退去を勧告されてしまいました。母親の認知症が進行し対応できないというのです。

改めて入居時の書類を確認したところ、その施設は「住宅型」の有料老人ホーム。母親の状態は、書かれている退去の要件に当てはまるのです。

有料老人ホームは介護付きだと思い込んでいたXさんは、再度、施設探しをすることになりました。

■「退去」と言われる主な理由

1.日常的に医療行為が必要となったとき

2.他の入居者とのトラブルが増えたとき

3.体の変化によって施設での対応が難しくなったとき

最も人気が高い高齢者施設とは?

安藤:フルプラン=介護型と、オプションプラン=住宅型の施設があることはわかりましたが、具体的にはどんな施設があるんですか。

太田:主な施設をまとめたのが[図表3]です。人気が高いのは、フルプランの介護型で公的施設特別養護老人ホームです。

安藤:いわゆる「特養」ですね。でも、人気が高くてどこの施設も何百人も待っている人がいると聞いたことがあります。

太田:かつては、そんな時代もありましたが、最近はそれほどではありません。ただ、要介護3以上という入居の要件があります。

安藤:介護型の民間施設の場合は、やっぱり費用が高くなりますか?

太田:都市部では入居一時金が高額な豪華施設もありますが、費用が高いからといって介護が手厚いとは限りません。民間の介護付き有料老人ホームの費用は立地条件や設備しだいなので、施設の特徴と希望する条件、予算を総合的に考えることがポイントです。

安藤:もう1つのグループホームってどういう施設ですか?

太田:認知症の高齢者が5~9人の少人数で共同生活を送りながら、介護を受ける施設です。家庭的な雰囲気の中で穏やかに過ごせるようにと考えられた施設で、NPO法人や医療法人、社会福祉法人などが運営している施設も多く、費用も比較的抑えられています。ただし入居には、施設と同じ市区町村に住民票があることなどの条件があります。

安藤:「サ高住」へ入居しているという話も、よく聞きます。

太田:正式名称は「サービス付き高齢者向け住宅」。必ず付いているサービスは安否確認と生活相談のみで、本来は施設ではなく住宅なんです。夜間はスタッフが常駐しないところもあります。

安藤:サ高住も住宅型有料老人ホームも、オプションタイプの住宅型だから介護サービスは別契約なんですよね、何が違うんですか?

太田:いい質問です! 確かに、この違いはわかりにくいです。結局は、それぞれの施設ごとに行うケアの内容は異なります。ですから、見学が欠かせないんです

安藤:それに、サ高住にも「特定施設」指定があるところもあります。指定を取っている施設なら、フルプランの介護型と同様のサービスを受けられるので、施設ごとに確認してください。

安藤 なつ メイプル超合金 ヘルパー2級(介護職員初任者研修)

太田 差惠子 介護・暮らしジャーナリスト

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