大事な一人息子なんです!〈いい嫁キャンペーン〉をやめて夫の実家と絶縁状態だった「56歳女性」、姑の葬式でかけられた親戚の〈悪気のない一言〉にゾッとしたワケ【CFPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月14日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
嫁と姑の問題はいつの時代でも続くものです。清美さん(56歳)もその1人。結婚当時から姑と仲が悪く、ここ数年は義実家に帰ることもなく絶縁状態でした。姑が亡くなり、親戚からかけられた何気ない言葉に「ゾッとした」清美さん。果たしてその内容とは?今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、嫁と姑の不仲がお墓の問題にまで発展した事例を紹介します。
「大切な一人息子に夫の家のお墓を守らせたくない」一体どうすれば?
清美さん(56歳)は地元で知り合った男性と結婚し、1人の息子がいます。清美さんの夫の地元は北陸にあり、数年前に訪れたきり一度も帰っていません。なぜなら姑との関係がとても悪かったからです。
姑からは「あんた」と呼ばれ、家事全てにケチをつけられ、義実家に帰省するたびに嫁いびりをされていた清美さんは、結婚から数年後、ついに「いい嫁キャンペーン」をやめて「もう絶対にあの家には行かない!」と言い切り、お盆や正月も帰ることはありませんでした。
このほど、姑が亡くなり姑の葬儀に参列するため数年ぶりに義実家を訪れました。清美さんと姑の関係を知っている親戚からから、「じゃあ将来家のお墓を守るのは清美さんの息子さんになるねぇ」と言われました。親戚にとっては悪気のない、何気ない一言だったかもしれませんが清美さんは「心底ゾッとしました」と振り返りました。
実は夫には兄がいますが結婚しておらず、今後も結婚する様子もありません。そんななか、大切な1人息子に夫の家の墓を守るなんて、絶対にさせたくないと強く思った清美さん。
そして、清美さんは息子に夫の家のお墓を守らせたくない一心で、どうすればいいか考え始めました。
姻族関係終了届の提出
姻族関係終了届とは夫もしくは妻が亡くなったときに、夫もしくは妻の両親や親戚との関係を終わらせるため書類です。清美さんは、夫が亡くなった後には、すぐに姻族関係終了届を提出し、夫の兄はもちろん、親戚との付き合いを断ち切るつもりです。
しかし、これは夫が先に亡くなった場合に成立する話で、もし清美さんが先に亡くなった場合、夫が建てたお墓に入るか、自分で埋葬方法を決め、それに従って埋葬してもらわなければなりません。
ちなみに姻族関係終了届を提出したとしても、姓が元に戻るわけではなく、夫の姓のままです。夫の姓のまま埋葬されることには抵抗はないと清美さんは考えています。
息子を妹の養子にする
清美さんには3歳年下の妹がいますが、独身のままです。そのため、夫が亡くなった後は、息子を妹の養子にすることを考えています。そうすれば息子は夫の親族とも関係がなくなり、お墓を守る必要もありません。
息子に夫の家のお墓を守らせたくない、その考えを実現させるには妹の養子にすることが一番だと考えたのです。
しかし、養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2つがあります。
普通養子縁組と特別養子縁組
普通養子縁組とは、養子縁組の後も実の親子関係が存続する方法です。そして特別養子縁組とは、子どもの利益を考えたうえで特に必要であると判断された場合に限り行えます。
そして、普通養子縁組を行った場合、息子の姓は妹の姓になり、妹の財産は将来息子に渡ります。
息子は成人しているものの、小さい頃から母(清美さん)が祖母の家に行くたびに嫁いびりされていたのを見ていたので夫である父の実家のことは全く気にしていません。
夫は、家のことは多少気になるものの、兄との折り合いも悪く、家のことは兄に全部背負ってもらいたいと考えているようです。
結婚してそれぞれの親族が新しい家族となるという考えは、もう薄れつつあるのでしょうか。もちろん、お墓の問題だけでなく、相手の両親の介護をしたくないという理由で姻族関係終了届を提出する人もいます。
ただ、結婚して関わる人が増える以上、自分の考えだけで決められるものではありません。結婚相手の夫には全く不満がなくても、親族に不満を持つ人は多少なりともいるでしょう。
特に清美さんの場合は、夫よりも自分が先に亡くなった場合、自分の考えが夫に理解されなかったら、息子はそのまま夫の家の墓を守ることになってしまうのです。
相談された専門家は、結婚当時はそんなことまで考えることはなかっただろうと思いつつ、結婚相手の家族との関係を絶つ方法としてそこまで考えることに恐ろしさを感じずにはいられないと言っていました。
現在は、親族はもちろん、家族同士の関係も薄れつつある時代です。夫婦別姓が問われているなか、今後の日本の戸籍制度や家族の考え方がどのように変わっていくのかについて考えさせられる事例の一つといえそうです。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
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