離婚した〈年金月6万円〉70歳の父が死去…42歳の長女、海外から緊急帰国。30年ぶりの「生まれ育った実家」で目撃する「衝撃光景」に号泣
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月16日 7時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
両親が離婚。子どもには「いつまでも、お父さん、お母さんだよ」などということでしょう。しかしその後、コミュニケーションの濃淡により、実の親とはいえ疎遠になってしまうことも多く、久々の再会が「親の死」ということも珍しくありません。
離婚した父親が孤独死…長女、相続手続きのために帰国
清水由美さん(仮名・42歳)。両親が離婚して以来、会っていない70歳になる父親が亡くなったとの連絡を受け、移住先のオーストラリアから一時帰国したといいます。
清水さんの両親が離婚したのは、清水さんが小学校6年生のとき。清水さんは母親とともに母の実家へ。父とは半年に1度程度のペースで会っていましたが、オーストラリアに移住してからは10年以上も顔をみていないといいます。今回、日本で暮らす母親から連絡を受け、相続の話もあるから一度帰るようにと促され、帰国しました。
裁判所『令和5年司法統計年報』によると、調停や審判で決定した面会交流の回数は最多が「月1回以上」で4割。半年に1度のペースは少数派。お互いが住んでいるところが遠いなどの事情もあるでしょう。ちなみに宿泊込みの面会は、全体の8.6%でした。
【面会交流の取り決め有りの件数】
週1回以上…2.4%
月2回以上…7.5%
月1回以上…40.1%
2~3ヵ月に1回以上…6.1%
4~6ヵ月に1回以上…1.8%
長期休暇中…0.4%
別途協議…29.0%
※離婚の調停成立または調停に代わる審判事件における数値
一度、清水さんが20歳を過ぎたころ、父親から「再婚するかもしれない」という話があったとか。しかしその後、再婚話は破談となったようで、清水さんが生まれ育った自宅でずっとひとり暮らしだったといいます。そのため、今回、相続人となるのは、祖父母はすでに亡くなっているため、清水さんとその妹の2人のみという状況だったのです。
帰国後、まずは母が暮らす母方の実家へ。そこである程度、父がどのようにして亡くなったのかがわかってきました。父親はいわゆる孤独死。新聞受けに収まらないくらい新聞がたまってしまっていることを不審に思った配達人が警察に連絡。その後、父親の親族によって鍵が開けられ、亡くなっている父親が発見されました。すでに葬儀、火葬は終わり、父の遺骨は親戚の家にあるといいます。
かつて住んでいた自宅から感じられる「父親の孤独」
警察庁によると、令和6年1~3月に自宅において死亡したひとり暮らしの人は2万1,716人。これは警察の取り扱いの35.9%にあたります。年齢別にみていくと高齢者が圧倒的に多く、65歳以上が全体の78.4%。75歳以上が54.1%を占めます(関連記事:『【ランキング】47都道府県「孤独死率」…令和6年上半期分暫定値』)。単身の高齢世帯が増加の一途を辿るなか、孤独死とされるケースも増加傾向にあるのです。
父方の親戚から、「自宅はそのままにしてあるから、遺品整理などをお願いしたい」という話がありました。相続人は清水さんと妹だけだから、勝手に自分たちでやるのはトラブルの元だろうと思ったのでしょう。清水さんと妹は、実に30年ぶりに生まれ育った家を訪れることになったといいます。
家を出てからに30年経っているので、記憶のなかよりもずいぶんとボロボロになっていましたが、それでも当時の面影を残していることにテンションが上がったとか。しかし、そんな気持ちは家のなかに入ってすぐに引いてしまったといいます。
築50年近い家のなかは、外観以上に荒れ果て、朽ちていました。父親は基本的にリビングとその横の和室だけ使っていたのでしょう、不要なものであふれていて物置のよう。「よく、こんなにモノであふれているなか暮らしていたね……」とため息をついてしまうほどのありさまです。一方で、2階にあった清水さんの部屋、妹の部屋、そして両親の寝室は、当時のまま。ただ荷物だけがなくなっている状態。ここで父親は何を思っていたのでしょうか。
また衝撃的だったのは水回り。周囲にはカビが広がり、思わずゾワッとするような状態。取れずに固まった汚れがそのままになっていて、思わず「ひー」と声をあげてしまうほどです。
自分たちでできることから……と、まずは、ゴミとそうではないモノとに分別していきます。その過程でみつけた一冊の銀行通帳。偶数付きの15日、年金の支給日に必ず記帳をしていたようです。2ヵ月で13万6,000円。1ヵ月6万8,000円。個人事業主だった父親が受け取れる年金は基礎年金だけ。親戚の話では父親はそれだけのお金で毎月暮らしていたといいます。「ローンは返し終わってるし。節約した生活なら、何ら不自由はない」といっていたとか。それでも月7万円弱……老後を満喫するには少なすぎます。
そして散らかったテーブルの上でみつけたのは、懐かしい家族写真。家族4人での思い出です。
――いつの時代の写真を飾っているのよ、お父さん
もう亡くなっていて、心情を記したものも特にみつからず、実際に何を考えていたのかはわかりません。しかし、何の手入れもせず、荒れ果て、散らかり放題のかつての生まれ育った家からは、どれほど父親が孤独に生きていたのか、痛いくらいに感じるものでした。
両親が離婚し、母親と暮らしていたので、その絆はさらに深まりましたが、父親とはどんどん疎遠になっていったという清水さん。一方で、父親はいつまでも娘たちを思っていたのでしょう。すぐに見えるところにあった家族写真から、父親の想いがはっきりと感じ取ることができました。1人、孤独に暮らしていただろう父親に何かしてあげられなかったのか……そう考えると、後悔の念で涙が止まらなかったといいます。
[参考資料]
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