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最高年収1,800万円だったが「惨めです」…58歳で役職定年、60歳を待たずに会社を去った元・エリートサラリーマン…「ちっぽけなプライドなんて捨てればよかった」と実感する「65歳の年金受取額」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月18日 5時15分

最高年収1,800万円だったが「惨めです」…58歳で役職定年、60歳を待たずに会社を去った元・エリートサラリーマン…「ちっぽけなプライドなんて捨てればよかった」と実感する「65歳の年金受取額」

(※写真はイメージです/PIXTA)

サラリーマンであれば自身で決めなければならない引き際。ポジションが変わり給与が減っても会社にしがみつくか、それとも潔く辞めるか……どのような選択をしようと、きちんと老後を見据えていないと後悔することになるようです。

定年前に役職定年…それでも会社にしがみつくか

役職定年が広がったのは1986年に施行された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」、通称高年齢者雇用安定法によるもので、それまで主流だった55歳定年から60歳定年への努力義務が導入されました。この変更により、企業は人件費の増加を降格という形で抑えようとしました。

人事院の『令和5年民間企業の勤務条件制度等調査』によると、役職定年制度を導入している企業は16.4%で、そのうち95.6%が今後も継続する意向を示しています。一方、従業員500人以上の企業では30.7%が役職定年制を採用しており、こちらも95.7%が継続を予定しています。しかし、役職定年による降格や給与の減少は、高齢社員の働く意欲を大きく損なう要因とされています。高齢社員の生産性低下を解決するために、役職定年制の廃止が進むと予想されています。

65歳の加藤孝也さん(仮名)は大手企業で本部長として活躍していましたが、58歳で役職定年。60歳で定年、再雇用で65歳まで働くことができましたが、役職定年とともに会社を去ることにしたといいます。

役職定年後に用意されていたのは、プロジェクトマネージャーという専門職。給与は年収1,800万円から大きく減少し、600万円ほどになるといいます。管理職の多くが役職がなくなったあと、一般職として年下上司のもと、やりにくそうに働いているのをみてきましたが、そのような立場からすると相談役としてお気楽なポジションではあります。

しかし、役職定年を迎えた一部の人のためだけに設けられた特別なポジションであることは明らかで、現場からは「アドバイザーなんて、いる!?」と陰口を叩かれていることを加藤さんも知っていました。

――陰口をいわれてまで会社にしがみつくほど惨めなことはありません。私にもプライドがあります。そんな思いまでして会社に残る必要は感じられませんでした

定年前に早期退職…充実した日々の先に広がる老後不安

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、従業員1,000人以上の大企業で働く大卒サラリーマンの定年退職金の平均は2,191万円。また、新卒以来、勤続38年で60歳定年を迎えた場合の平均退職金は2,686万円です。それに対し、役職定年前の月収は100万円を超えていたという加藤さんが手にした退職金は4,500万円ほど。早期退職で少し色が付いたといい、そのことも会社を去る決断を後押ししました。

――退職金と貯金と株式などの金融商品を合わせると、8,000万円くらいになる。それだけあれば仕事を辞めたって、妻との老後も何とかなると思い、役職定年と共に仕事を辞めることは、だいぶ前に決めていました

そのような思いで、定年前、58歳で早期退職した加藤さん。その時点で住宅ローンの返済はなく、子どもも社会人になり、出費は夫婦の生活費のみ。不安など1ミリもなかったといいます。少し早めにスタートしたリタイア生活。65歳となり、いよいよ年金生活に入った今、思うところは?

――厳しいですね、受け取れる年金ってこれだけなんだと改めて実感しているところです

加藤さんの年金は併給の基礎年金と合わせて月19.2万円。妻の年金と合わせて月26万円ほどだといいます。もし定年まで働いていたら。あくまでも試算ではありますが、月19.8万円と月6,000円ほど多くなる計算。さらに65歳まで再雇用で働いていたら、推定で21.7万円ほどになっていたといいます。月2.5万円、年30万円。これが早期退職した加藤さんと、プライドを捨てて65歳まで働いた加藤さんとの年金差です。

会社を辞めたあと始まったリタイア生活では、これまでできなかった長期旅行や趣味の自転車等を楽しむ生活を送りました。現役時代と変わらない生活水準であっても、ローン返済と教育費から解放された家計であれば十分対応できると踏んでいました。

しかし想定していなかった大きな支出により、65歳までに退職金はすべて使い果たし、貯金にも手を付ける始末。一気に老後不安が増したといいます。想定していなかったのは、子さらには孫への援助。2人いる息子たちに孫が誕生すると、ことあるごとに孫のために出費。さらにそれぞれが住宅を建てる際に500万円ずつ支援しました。そして年金生活がスタートする前にマイホームを建て替え。バリアフリー住宅で、通常の住宅より少々コストアップとなりましたが、生涯住むことを考えると仕方のない出費でした。

そして現在、預貯金は残り2,000万円を切る程度。年金夫婦で月26万円では、現役時代と同じ生活を維持するのは難しく、節制するしか方法はないと肩を落とします。

――こんなことなら、変なプライドは捨てて、会社にしがみついていればよかった。そうしたら、こんな老後が不安でたまらないということはなかったのに

[参考資料]

人事院『令和5年民間企業の勤務条件制度等調査』

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

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