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老後は田舎暮らしを決め込んでいたが…夫を亡くし「年金は国民年金だけ」と悲観に暮れる66歳妻、年金機構から届いた「緑色の封筒」に涙したワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月18日 5時15分

老後は田舎暮らしを決め込んでいたが…夫を亡くし「年金は国民年金だけ」と悲観に暮れる66歳妻、年金機構から届いた「緑色の封筒」に涙したワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

老後を見据えた準備。会社員や公務員であれば、基礎年金に加えて厚生年金も受け取れるので、年金だけで生活するというのも視野に入れることができます。しかし自営業で基礎年金だけだと、なかなかそんな老後を見据えることはできません。6万円強の基礎年金だけで生きていく……あまりに過酷な現実です。

いつまで仕事を続けるか…区切りをつけにくい自営業

夫婦であれば、きっと一度はしたことがあるだろうこんな会話。

――老後は夫婦でゆっくりと過ごそう

結婚して以来、仕事に子育てにと忙しく、自分たちの時間なんてなかった。老後くらいは夫婦水入らず、ゆったりと過ごしたいと多くの人が思い描いているでしょう。

ベンチャーサポートグループ株式会社が昨年、全国50代の会社員を対象に実施した『老後資金と働き方調査』によると、約8割の50代会社員が老後の生活費に不安を感じており、約9割が定年後も生活資金を賄うために働き続ける予定または可能性があると回答しています。その不安の大きな要因が老後資金の準備。約半数が老後資金として準備しているのは「500万円未満」と回答しており、経済的な不安が大きいことがわかります。

そんな不安を抱える老後ですが、その生活で重視することとして最も多いのが「健康」で46.5%。「経済的安定」34.0%、「幸福感・充実感」12.3%と続きます。

【定年後に楽しみたいこととは?】

・物価の上昇が激しくて、老後資金の計算が大きく変わってきたと感じている(北海道/女性)

・老後資金がどのくらい必要なのか、わからないこと。もうすぐ定年になってしまうが、老後資金が貯められる期間が短く心配(東京都/女性)

・年金だけで賄えるか心配(愛知県/男性)

・現在の生活レベルを維持できるか(東京都/男性)

会社員世帯だと、そんな「定年後の生活」に対して夫婦で思いを馳せているケースも多いでしょうが、自営業となるとなかなかそうはならないといいます。

池田智子さん(仮名・66歳)。結婚と共に夫が脱サラ。夫婦で夢だった飲食店を始めたといいます。

――日替わりで定食を出す飲食店。料理が得意な主人がつくって私はホール担当、これで子どもたちを育てて、家も建てました。商売をやっていると定年なんてないから……ただずっと働き詰めだったので「いつか田舎にでも引っ越して、静かに暮らそう」と、これだけは夫婦で決めていました。ただいつかは決めてなかったので、夫が生きていたとしても叶えられたかどうか

自営業だと働けるうちは働くとなりがちで、なかなか区切りをつけにくいもの。そんななか、夫は急逝。いつも次の日の仕込みを終わらせてから帰る、というのが智子さんの夫のルーティン。一方、60歳を越えてから腰の持病が悪化し店に立つのも大変だった智子さんは、毎日ひと足先に家に帰り、夫が帰ってくるのは家族が就寝してからということも。その日も智子さんが先に帰り、すでに就寝。次の日、夫が帰ってきた形跡がないことに気づき、お店に行ってみると、キッチンで倒れている夫を発見。心筋梗塞だったといいます。

店主の夫の急逝で閉店…月6万円強の老後生活がスタート

突然の訃報で、智子さんの生活はガラリと変わりました。定食を作る人がもういないわけですから、お店を続けることはできません。創業40年の定食店は、閉店を余儀なくされました。

収入は智子さんの年金だけ。厚生年金の加入歴がないので、受け取れるのは基礎年金のみ。令和6年度だと満額で6万8,000円だけです。夫にも厚生年金の加入歴がなく、また要件を満たす子もいないので、遺族年金ももらえません。

昨今、店の経営が厳しかったこともあり、老後を見据えた貯金はほぼゼロ。共済に入っていましたが、死亡保障で手にできたのは200万円強だけ。夫の急死により突然始まった老後は、あまりにも「お金がない」という状態でスタートしました。

――持ち家だったのか、せめてもの救いでした

子育て中の子どもたちからはとても支援など期待できず、生活費は月6万円強の基礎年金だけ。それで何とかやりくりしようとするものの、光熱費のかかる夏場や冬場はどうしても足が出てしまい、保険金を少しずつ取り崩す。仕事に出ようと思っても、腰の持病から立ち仕事は難しい。しかし社会人になってから飲食店のホール&レジしかしてこなかった智子さん、自分にできる仕事が思いつきません。まったく余裕のない生活に、「この年になって、こんな惨めな生活が待っているとは……」と涙があふれたといいます。

夫が亡くなって以来、ふさぎ込むことが多くなった智子さんですが、少しだけ前向きになった出来事があったといいます。それが日本年金機構から送られてくる「緑色の封筒」。この封筒には、低所得者を対象とした「年金生活者支援給付金」の請求書が入っています。

給付要件は「65歳以上の老齢基礎年金受給者」「世帯全員が市町村民税非課税」「年金収入額とその他所得額の合計が889,300円以下」。給付額は保険料納付済期間に応じて変動しますが、最大月額5,310円。新規対象者には9月ごろに案内が届き、請求書を提出したら、通常の老齢年金に上乗せして支給されます。またすでに受給している場合は、新たな手続きは不要です。

年間6万円ほどの給付金。それで生活が好転できるわけではありませんが、少しだけ背中を押してくれる、そんな金額です。

――しばらくいいことがなかったので、ちょっとした金額でも嬉しい

と涙したという智子さん。少しずつだけど前を向こうと心に決め、腰の持病を抱えながらでもできそうな仕事がないかと、ハローワークに通っているといいます。

[参考資料]

ベンチャーサポートグループ株式会社『老後資金と働き方調査』

厚生労働省『年金生活者支援給付金制度について』

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