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悔やんでいます…終活で自宅売却の〈年金18万円・75歳男性〉看取り対応可の「老人ホーム」に入居するも、半年後に退去の大誤算

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月19日 5時15分

悔やんでいます…終活で自宅売却の〈年金18万円・75歳男性〉看取り対応可の「老人ホーム」に入居するも、半年後に退去の大誤算

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢となり、住みにくくなった自宅。建て替えか、それとも住み替えかと悩む人は多いもの。家族のことを考えると「家じまい」をしてしまい、老人ホームに入居するのも選択肢。しかし、家じまいのタイミングをしっかりと考えておかないと、何とも困った状況に直面することもあるようです。

家じまい…8割が生前整理の必要性を感じている

斉藤和夫さん(仮名・75歳)。5年前に妻を亡くし、40年近く前に建てた戸建てでひとり暮らしを続けていました。この先を見据えて建て直すか、それとも処分してしまうか。斉藤さんが選んだのは、自宅の売却でした。

――建て替えても、住めて10年ちょっとくらい。子どもたちが相続したところで、それぞれ持ち家だから誰も住むわけじゃない。それであれば処分してしまったほうが、みんな幸せだと考えました

株式会社すむたすが行った『家じまいの意向調査』によると、今後の住まいの希望として、戸建て所有者の14%が移住や転居を検討。そのうち47%が高齢者施設・住宅への入居を希望しました。

また「現在の住まいが空室になった際の希望する処分方法」について、戸建て所有者で最も多かったのが「売却してほしい」で38%。「子どもなど親族に住んでほしい」が29%、「賃貸に出してほしい」が3%でした。

さらに自身が亡くなったあとのことを考え、元気なうちに所有している家財や資産を整理・処分する生前整理の状況について、戸建て所有者の65%が「必要だと感じているが、まだ始めていない」と回答、さらに14%が「必要だと感じており、始めている」、4%が「必要性を感じており、ほぼ完了している」と、進捗はそれぞれですが、全体の8割強が生前整理について必要性を感じています。

斉藤さんも生前整理を完璧に行い、終の棲家として入居を決めたのが「住宅型有料老人ホーム」。生活支援等のサービスがついた高齢者向けの老人ホームで、介護は外部のサービスを利用するなど、一人ひとりの事情に合わせて組み合わせることができます。そのため、ベースとなる費用は介護型有料老人ホームと比較してリーズナブル。斉藤さんが入居を決めたホームは、入居金が300万円、月額費用が15万円。斉藤さんの毎月の年金は18万円で、手取りにすると15万円ほど。ベースとなる費用は年金だけで賄うことができました。

また斉藤さんが選んだホームは看取り対応も可能という触れ込み。この先、万一のときでも家族に迷惑をかけることはない、というのがポイントで、最終的に入居を決めたといいます。

看取り可能=医師・看護師常駐とは限らない

自宅をきれいに処分し、終の棲家も見つかった。もう何も心配することはない……そう思っていた矢先、斉藤さんに思いもよらないことが起こります。老人ホームから退去せざるを得なくなったのです。

きっかけは、ホームに入居してから半年ほど経ったころ。誤嚥性肺炎により入院し、その後、たん吸引が必要な状態になったことをホームに伝えると、「たん吸引に対応できないから退去してほしい」といわれたといいます。

――えっ、最期まで暮らせると聞いたのに

まさか、退去勧告を受けると思わなかったという斉藤さん。退去しろといわれても、もう自宅は処分してしまったので自宅に戻ることはできません。90日間の猶予の期間中に、受け入れてくれるホームを探すしかないといいます。

厚生労働省の資料によると、住宅型有料老人ホームにおける看取りの受け入れについては、「積極的に推進している」が16.4%、「希望があれば」が59.6%、「原則的に対応していない」が21.0%でした。ただ看取りが可能といっても、退去要件に当てはまっていれば、退去勧告を受けることがあります。

具体的には「利用料を滞納したとき」「暴力・暴言で他の入居者に迷惑をかけるとき」「長期入院」「施設では対応できない医療行為が必要になったとき」といった状況になると、退去勧告を受けることが多いようです。

たん吸引は医療行為であり、看護師などの医療従事者か研修を受けた一部の介護職員しか処置ができません。昼は看護師等が在中していても夜は不在というホームでは、看取り可能とうたっていても退去勧告を受けることがあるでしょう。

そもそも看取りとは、清潔の保持や床ずれ防止などの身体的ケア、スタッフの訪室回数を増やすなどの精神的なケアといった、最期を迎えるまでの身の回りのケアのこと。医療行為とは異なるものです。また医療行為に対応できるホームであっても、急変時にしっかりと対応できるよう、医療施設への転院を勧められることもあります。

終の棲家だと思っていても、そこで最期を迎えられるかは難しい場合も。思わぬことで退去しなければならない場合もあるので、老人ホームに入居する際、自宅の売却のタイミングは熟考に熟考を重ねておきたいものです。

[参考資料]

株式会社すむたす『家じまいの意向調査』

厚生労働省『第4回新たな地域医療構想等に関する検討会』 関係団体ヒアリング資料』

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