1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

終わりなき価格競争から「地獄のスパイラル」に陥るケースも…戦略的に経営課題を解決するための「3C分析」とは【経営コンサルタントが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月28日 9時45分

終わりなき価格競争から「地獄のスパイラル」に陥るケースも…戦略的に経営課題を解決するための「3C分析」とは【経営コンサルタントが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

需要が伸びない現代において、売上を確保するのは簡単なことではありません。類似品があふれる業界であれば、終わりの見えない価格競争に巻き込まれる可能性もあるでしょう。そこで本記事では、経営コンサルタントの石原尚幸氏が、持続的な組織の成長・発展を目指した経営戦略を立てるのに役立つ「3C分析」について、具体例とともに詳しく解説します。

経営者が陥ってしまう「終わりなき価格競争」

親族経営において、最も切実な問題は「明日の売上をどう確保するか」です。明日の売上がなければ、仕入れ先への支払いどころか、社員の給与も銀行への返済もできなくなります。そのために日々考えることは、短期的な売上確保策です。

需要が右肩上がりで増えている時代なら「短期的な売上確保策」だけでもやっていけたのですが、市場の需要が伸びない今の時代、やがて行き止まりが訪れます。ネット社会となり、あなたが売っているものと同じような商品はネットを探せばいくらでも出てきます。

すると、お客さんはあなたの商品とネットで検索された商品を一番わかりやすい「価格」で比べ始めます。すると、相見積もりとなり、やがては価格競争となっていきます。この結果、売上が伸びないどころか粗利率まで下がり、収益は悪化の一途をたどります。

収益が上がらないので経営者としてはさらなる売り上げアップを求め、不毛な終わりなき価格競争へ突入していくことになります。

事実、私がガソリンスタンド業界で経験したのは、この「需要減➡価格競争➡粗利率の低下➡収益の悪化➡終わりなき価格競争」という地獄のスパイラルでした。

価格競争から抜け出すカギ!「3C分析」とは

このスパイラルに終止符を打つために、たどり着いた答えが「戦略思考」でした。戦略とは古代から使われている思考法です。「孫氏の兵法」では「敵を知り己を知らば100戦危うからず(敵のことと自分のことがわかっていれば100回戦っても負けることはない)」と説かれています。

つまり「戦略思考」とは自分が持てる資源を有効に使い、いかに自分の傷を最小限にして戦に勝つか」を考える思考法です。紀元前に書かれた書物ですが、現在の経営にも十分使える考え方です。

ただ、「敵を知れ」とか「己を知れ」とか言われても、いったい何を知ればよいのか、つかみどころがありません。このときに有効な戦略思考の1つが「3C分析」です。

3C分析とは、「Customer(カスタマー=顧客)」、「Competitor(コンペティター=競合)」、「Company(カンパニー=自社)」の3つの要素を分析し、最適な経営戦略を導き出す方法です。

この手法は、大前研一氏の世界的ベストセラー『企業参謀』で広まり、多くの企業で用いられるようになりました。具体的に分析内容を見てみますので、自社だったらどうするかを考えてみてください。

「顧客」「競合」「自社」…経営改善につながる分析のコツとは

◆カスタマー(顧客)分析

まず、カスタマー分析。カスタマー分析では、理想のお客さんを考えることがポイントです。理想のお客さんというのは、あなたが商売をしていて「この人に使ってほしい」と思える顧客像です。この理想のお客さんを設定することで、売るべき商品やサービスが明確になり、商売がしやすくなります。

  • 理想の顧客のニーズや望み:その人がどのような商品やサービスを必要としているのか。
  • 理想の顧客の行動パターン:どのようなときに購買行動を起こすのか。
  • 理想の顧客の価値観やライフスタイル:どのような価値観を持っており、どのようなライフスタイルを送っているのか。

このように理想のお客さんが見えてくると、そこから逆算して自社の商品やサービスをどのように改善すればよいかが見えてきます。

◆コンペティター(競合)分析

次に、コンペティターの分析です。競合について話を聞くと、多くの人が同業他社(例:近隣のSS)の名前を挙げますが、これは表面的な分析に過ぎません。

本当の競合は、業界を越えて存在することがあります。たとえば、ガソリンスタンドの競合はすでに隣のガソリンスタンドではなく、業界の垣根を越えた異業種(ディーラー、車検専門店、板金工場、保険代理店等)になっています。

テレビ局の競合は、他のテレビ局だけでなく、YouTube、Netflix、さらにはスマートフォンやゲームなど、視聴者の時間を奪うすべてのものが競合となり得ます。このように、顧客の行動を広い視野で観察し、本当の競合を見つけることが重要です。

競合を分析する際には、次の視点を持つと効果的です。

  • 顧客の動向を観察する:理想の顧客が自社以外にどこへ行くかを観察する。
  • 業界のトレンドを把握する:新しい競合がどのような戦略を取っているかを分析する。
  • 異業種の影響を考慮する:異業種からの参入が自社にどのような影響を与えるかを見極める。

◆カンパニー(自社)分析

最後にカンパニーの分析です。自社の強みと弱みを分析することは、多くの人が行っていますが、ここでも注意が必要です。強みと弱みを単にリストアップするだけでは不十分です。それを経営戦略にどう活かすかが重要です。

具体的には自社の強みと弱みを外部環境のチャンス(自社にとって都合のよいこと)とピンチ(自社にとって都合の悪いこと)に分けて掛け合わせると4つの方向性が見えてきます。

「4つの戦略」の具体例

私の顧問先(ガソリンスタンド特約店)の事例を見てみましょう。

① 強みとチャンスの掛け合わせ(強化戦略):強みを活かしてチャンスを最大限に利用する戦略。整備力の強みがあるスタンドが、競合である整備工場の減少をチャンスと捉え、車検や鈑金を強化していく。

② 弱みとチャンスの掛け合わせ(克服戦略):弱みを克服してチャンスを利用する戦略。営業力が弱いが、研修を通じて営業力を強化していくことでシェアアップを図る。

③ 強みと脅威の掛け合わせ(防御戦略):強みを活かして脅威に対抗する戦略。ガソリン需要が減少するピンチを、強みである立地と店舗網を生かしレンタカー事業に参入する。

④ 弱みと脅威の掛け合わせ(撤退戦略):弱みがある分野から撤退し、リソースを他の分野に集中する戦略。売れない拠点を閉鎖し、既存店舗や新規事業に人と金を再分配する。

このように、自社の強みと弱みを理解し、①~④の戦略を立てることで、成功確率の高い戦略を練ることが可能となります。

3C分析で戦略的に経営を考えよう

3C分析は、顧客、競合、自社の3つの要素を正しく組み合わせて経営戦略を立てることができる有効な戦略思考の1つの手法です。

戦略なき価格競争は組織を疲弊させます。持続的に組織を成長発展させるために、一度、戦略的に経営を考えてみるとよいでしょう。

石原 尚幸

株式会社プレジデンツビジョン 代表取締役

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください