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よし、2,000万円貯まったぞ…「年金2人で月32万円」、余裕の老後を夢見た「65歳夫婦」の大誤算。SNSから始まった「老後崩壊の危機」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月20日 5時15分

よし、2,000万円貯まったぞ…「年金2人で月32万円」、余裕の老後を夢見た「65歳夫婦」の大誤算。SNSから始まった「老後崩壊の危機」

(※写真はイメージです/PIXTA)

年金だけではどうやら暮らしていけないらしい……そのような認識が広がり、早め早めの資産形成が当たり前になっているなか、貯蓄額が目標に達し、悠々自適な老後生活に突入する高齢者たち。しかし、一度手に入れた生活がずっと続くとは限らないようです。

60歳定年夫婦。貯蓄は目標の半分だったが…

――老後を生きていくためには、いくら必要なのか?

一人ひとりの異なるものですが、資産形成を進めるうえで、ある程度の指標はほしいもの。実際に年金世代がどれほど貯金があるのかというと、60代夫婦で平均2,588万円、中央値で1,200万円。70代夫婦だと平均2,188万円、中央値で1,100万円です。また貯金の目標残高は、60歳夫婦で平均3,397万円、中央値が2,000万円、70歳夫婦で平均2,723万円、中央値が2,000万円でした

*金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査2023年(二人以上世帯調査)』より。貯蓄額の数値は金融資産保有世帯のもの

目標額に達しているかどうかは別として、目標額としては2,000万円というのが、ちょうど真ん中の金額。さかのぼること5年前。老後は夫婦で2,000万円ほど足りないと物議を醸した、「老後資金2,000万円不足問題」による刷り込みでしょうか。老後資金の目標額を2,000万円と回答する人が多いようです。

吉田豊さん(仮名・65歳)、裕子さん(仮名・65歳)夫婦もあの騒動のインパクトが大きく、退職金を除いて「2,000万円」というのが貯蓄の目標だったといいます。

お互いが共働きで60歳が定年ではありましたが、その時点で預貯金は1,000万円を超える程度だったとか。

――住宅ローンの返済と教育費と……これから資産形成を本格化させるぞ、というタイミングで定年を迎えました

あらゆるライフイベントが後ろ倒しになっている昨今、定年年齢に達しても、老後資金の目標額に達していないことはよくあること。吉田さん夫婦は、ともに再雇用制度で会社に残り、資産形成を加速させていったといいます。そして5年間で1,000万円ほどの預貯金をプラス。

――よし、2,000万円貯まった!

目標としていた老後資金2,000万円に達し、65歳、年金を受け取り始めるタイミングで、気持ちよく仕事からも引退することができたといいます。

老後も資産形成が必要!? 高めの警戒心もなくなり…

日本年金機構によると、一般的なモデル夫婦の1ヵ月の年金受取額は23万0,483円。この場合、サラリーマンと専業主婦という夫婦ですが、吉田さん夫婦は共働き。さらに60歳定年で再雇用となり、プラス5年、お互いが厚生年金に加入していた夫婦です。モデル夫婦よりもはるかに多くの年金を受け取るであろうことは明らか。実際、年金額は月いくらくらいなのでしょうか?

*平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

――月にすると、2人で35万円ほど。私が20万円ほどで、妻が15万ほどですね

手取りにすると月30万円弱。十分すぎる年金に加え、将来に不安などないだけの貯蓄額。羨ましい限りです。そう思っていると、ポツリと話し出す吉田さん夫婦。

――あれは、明らかに詐欺でした。今となってはわかるのに、なぜ気づくことができなかったんだろう

詐欺とは、穏やかな話ではありません。一体何があったのか……

吉田さん夫婦が遭遇したのは投資詐欺。もともと用心深い性格という吉田さんですが、巧妙な手口でまんまと引っかかってしまったといいます。最初の接触はSNS。ともにお金の勉強をするサークル仲間、といった雰囲気から関係は始まったといいます。しばらくして、「老後資金は2,000万円で足りるのか」という話になったとか。そして次第に「老後資金は2,000万円では足りない」という確証に変わっていき、そこで「老後も資産形成を続けるべき」という展開になっていったのだとか。

どうやら、相手は相当お金に詳しいらしい。信じてついていけば、老後の不安は払拭できる。そう考えるようになると、初めはファンドへの少額投資を勧め、次第に大きな金額へと……このあとの展開はご想像の通り。これが詐欺だと気づいたときには、300万円程度を費やしていたといいます。

――全財産失うことになっていたかもしれない……そう考えると、数百前円損しただけでよかった

警戒心が強いという人ほど、一度、警戒心が解けると信じこむ傾向が強いため、実は詐欺に騙されやすいともいわれます。警視庁の資料によると、利殖勧誘事犯の相談件数は、65歳以上が17.7%と6人に1人の割合。さらに騙されていると気づいていない場合もあるので、実際に投資詐欺の被害にあっている高齢者さらに多いと考えられます。

そもそも株やファンド、FXや仮想通貨などを扱うには、金融庁への業者登録が必要で、金融庁のサイトでは登録業者一覧をチェックできます。まずはきちんと登録されているか、確認することが第一歩。また少しでも怪しいと感じたらネット検索。すでに被害が生じているのであれば、商品名や業者名がヒットするはずです。

[参考資料]

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査2023年(二人以上世帯調査)』

日本年金機構『令和6年4月分からの年金額等について』

警視庁 『令和5年における生活経済事犯の検挙状況等について』

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