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身から出た錆ですが…元妻に養育費含めて「毎月7万円」支払い中の「年収600万」46歳会社員、どうしても減額してほしかった事情とは?【行政書士は見た!】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月19日 7時15分

身から出た錆ですが…元妻に養育費含めて「毎月7万円」支払い中の「年収600万」46歳会社員、どうしても減額してほしかった事情とは?【行政書士は見た!】

※写真はイメージです/PIXTA

元夫婦が「子どもの養育費」で揉めるケースが増えています。「再婚」によって経済状況が変わり、養育費を見直す人も。こうしたトラブルを回避するには、どうすればよいのでしょうか。本記事では、再婚後に元配偶者と養育費で揉めた場合の解決策について、行政書士の露木幸彦氏が事例を通して解説します。

「秘密」を抱えた46歳会社員…離婚の2年後に陥った窮地とは

今期、話題になったドラマのひとつ、松本若菜さんが主演する『わたしの宝物』(フジテレビ木曜午後10時)が12月19日に最終回を迎えます。ご存じの方も多いと思いますが、妻が夫以外の男性の子を妊娠、出産して育てる「托卵」がテーマです。

筆者は行政書士、FPとして夫婦の悩み相談に乗っていますが、今回の相談者・柴田理人さんも「秘密」を抱えた一人です。

今回のドラマの「托卵」とは反対のケースですが、理人さんには二人の子どもがいます。第一子の母親は元妻、第二子は不倫相手の子どもです。理人さんは「何も知られずに(元妻と)離婚できたのはよかったのですが」と嘆きます。よくよく話を聞いてみると、理人さんは離婚して2年とのこと。何があったのでしょうか?

不倫の罪を償わずに「離婚成立」

<登場人物(年齢は相談時点。名前は仮)>

夫:柴田理人(46歳。会社員。年収600万円)☆今回の相談者

現妻:柴田由衣(28歳。専業主婦)

現妻の子:柴田芽衣(4歳)

元妻:柴田菜摘(44歳。パートタイマー。年収180万円)

元妻の子:柴田隼人(9歳)

理人さん夫婦は「子連れ」で筆者の事務所へ相談に来たのですが、理人さんに抱かれていた子どもはどう見ても「2歳児」には見えません。筆者が「何歳ですか?」と尋ねると、現妻がうつむき加減で「5歳……なんです」と答えました。理人さんが離婚したのは2年前のはず……つまり、理人さんは元妻との結婚生活が続いている最中に今の妻と不倫関係に陥って、子どもを作ったということです。

理人さんによると、元妻とは「夫婦」として終わっていたといいます。家電など高額なものも理人さんに相談もせず買ってしまい、元妻の報告はいつも「事後」。理人さんが「まずは相談してくれないか?」と伝えても、元妻は「よかれと思ったのにひどい!」と開き直り。

そんなことが度重なり、夫婦の会話は減り、夫婦の仲は完全に冷え切っていたのです。そんな矢先、今の妻と出会ったということです。

いよいよ離婚ということになったのですが、元妻が子の親権を持ち、自宅に住み続け、固定資産税等を支払うことに。土地は理人さんの父名義、建物は理人さん名義のまま。一方、理人さんが毎月3万円の養育費に加え、4万円の住宅ローンを返済することを約束し、離婚が成立しました。理人さんは不倫の罪を償わずに終わったのですが、そうは問屋が卸しませんでした。

たちまち火の車になった家計

彼女と再婚したのは、ほとぼりが冷めた離婚後2年目のことだったのですが、いざ一緒に暮らし始めると家計はたちまち火の車に。

理人さんの手取りは毎月30万円(賞与なし)ですが、支出は約31万円なので赤字の状態。貯金がないので車検(8万円)のためにカードローンに頼る有り様でした。

<支出の内訳>

家賃 80,000円

水道光熱費 20,000円

下水道代 3,680円

食費、その他の日用品 60,000円

携帯代、Wi-Fi代、CATV代 16,000円

保険(生命保険等) 15,000円

自動車ローン 30,000円

交通費(ガソリン代等) 10,000円

カードローンの返済 9,000円

住宅ローン 40,000円

養育費 30,000円

計 313,680円

筆者は「このままでは支払を軽くできませんよ」と注意。なぜなら、裁判所によると「養育費の見直しが認められるのは離婚時、予見できない事情が発生した場合」です。(昭46年4月5日、福島家庭裁判所判決)。

しかし、今の妻との子どもを養うことは離婚時に予見できたはずなので、元妻が子の年齢を知ったらゲームオーバーです。

理人さんは元妻にLINEを送りました。「実は今、生活が苦しいんだ。再婚したし、子どもも産まれた。悪いけど来月から養育費だけにしてほしいんだ」と。しかし、元妻にとっては寝耳に水。「ローンも養育費も払うっていうから離婚してあげたのに……話が違うじゃない!」と門前払いされたのです。

ただ、離婚後、事情変更が発生した場合、養育費を見直すことは法律(民法880条)で認められています。

残念ながら、離婚時、決めた金額が最後まで保証されていませんが、元妻はまだ食い下がります。「本当に子どもがいるの? 養育費を払いたくないだけじゃ……嘘つかないで!」と。 ところで離婚時、妻は必ず、夫の戸籍から抜けますが、子が抜けるかどうかは任意です。今回の場合、子は理人さんの戸籍に入ったままでした。そのため、元妻が子の戸籍を閲覧すると理人さん、現妻、子の存在まで確認することができ、子の生年月日を知ることができます。そのため、筆者は前もって「住民票なら生年月日を省略することが可能ですよ」と助言。

理人さんは戸籍謄本ではなく、生年月日なしの住民票を用意。写真を撮り、「(現)妻と知り合ったのは離婚してからだよ」と書き添え、元妻へ送信したのですが、元妻はまだ納得せず、「急に言われても無理。どうしても3万しか払えないの?」と反論しました。

では、理人さんが再婚し子が産まれた現状で、元妻の子の養育費はいくらが妥当なのでしょうか? 元夫に子どもが産まれた場合、家庭裁判所の「新算定方式」(判例タイムズ1111号291頁)に家族構成や経済状況を当てはめて計算します。

  1. 算定方式における基礎年収(年収の0.4倍)を算出する。
  2. 大人は100、14歳以下の子どもは62、14歳以上の子どもは85とし、元妻の子÷元夫+彼女+元妻の子+現妻の子の係数を算出。元夫の年収に係数を掛けると「子どもの生活費」になります。
  3. 子どもの生活費×元夫の基礎年収÷元夫の基礎年収+元妻の基礎年収が妥当な養育費の金額です。

今回の場合、養育費は毎月3万円が妥当な金額です。そこで理人さんは「ちゃんと計算したんだ」と回答したのですが、元妻は「私にとっては隼人(元妻の子)が一番大事。正直言って、そっちの子がどうなろうと関係ないから!」とキッパリ拒否しました。

「子どもの養育費」で揉めるケースが急増中!トラブル回避のコツは

そこで、理人さんは「僕にとっては二人とも自分の子どもだからなるべく二人が平等になるようにしたい」と伝えました。その後も2ヵ月間にわたって言葉の応酬が続いたのですが、最終的には元妻が「わかりました。隼人を1人で留守番させて遅くまで働けばいいんでしょ!」と渋々、承諾してくれたのです。

元妻としては子どもを取り巻く環境をなるべく変えたくなかったということで、そのまま今の家に住み続けたいとのことでした。住宅ローンも元妻が払っていくしかありません。

なぜなら、銀行は自宅に抵当権を設定しており、長期間、返済が行われない場合、売却できるからです。元妻と子はすでに7年間、自宅に住んでおり、どうしても手放したくなかったのです。

(元)夫婦の間で「子どもの養育費」で揉めるケースが急増しています。家庭裁判所の「家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情」によると、養育費の調停や審判が行われたのは約2.4万件(2020年)。9年間で4割も増えています(2011年は1.5万件)。

一方、離婚件数は2割も減っているのに(2020年は19万組、2011年は23万組)なぜでしょうか? 今回のように「再婚」は一度決めた養育費を途中で見直すきっかけです。

厚生労働省の人口動態統計によると結婚全体に占める再婚の割合は26%に達しています(初婚38万組。再婚14万組)2000年は20%だったので(初婚63万組、再婚17万組)20年間で増加傾向を示しています。

理人さんの場合は自身に不貞の事実があるので、あまり同情はできませんが、それを差し引いても見通しの甘さが招いた結果と言わざるを得ません。本当は再婚前のタイミングで「本当にやっていけるか」を十二分に検討すべきです。

露木 幸彦 露木行政書士事務所 行政書士・ファイナンシャルプランナー

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