月収50万円「エリート国家公務員」60歳・役職定年後に手にする「給与額」に絶句するも、「大企業・元部長の大学同期の惨状」に二度目の絶句
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月22日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
高年齢者雇用安定法の改正により、企業は従業員の定年を60歳以上に設定することが求められています。さらに2025年4月からは希望するすべての従業員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられます。定年後の働き方が変わるサラリーマン。では国家公務員の場合は?
国家公務員定年延長…管理職は60歳で役降りも
2023年度から、国家公務員の定年以降の働き方に大きな変化が生じています。
定年年齢は2年に1歳ずつ引き上げ。2031年度、定年は65歳になります。また60歳に達した管理監督職の職員は非管理監督職ポストに降格となる役職定年制がスタート。本府省においては、事務次官級、局長級、部長・審議官級、課長級、室長・企画官級は課長補佐級以下に、地方機関等においては、機関の長等、部長級、課長級が課長補佐級以下に役降りとなります。
さらに給与においては、「当分の間」と前置きしつつ、61歳に達する年度以後の俸給月額(基本給)は、俸給月額の7割水準に。つまり3割減となります。
例として、非管理監督職(本府省課長補佐級*1)の場合、41万1,300円の基本給が、60歳に達した日後の最初の4月1日以降、28万7,900円と30%減。
*1:行政職(一)6級85号俸(本府省課長補佐級)
役職定年による役降り(本府省課長級*2)の場合、51万1,500円だった基本給は、60歳誕生日以降に役職定年による降任に伴う降格で41万1,300円に。そして60歳に達した日後の最初の4月1日以降、35万8,100円となり、合わせて30%減となります。
*2:行政職(一)9級22号俸
7割水準となる諸手当としては、地域手当や賞与にあたる期末・勤勉手当など。一方で、住居手当や扶養手当、通勤手当などは、7割水準とはなりません。
一方で、60歳以後定年前に退職した職員が不利にならないよう、退職手当の基本額は、当分の間、退職事由を「定年退職」として算定するといいます。
今回の定年延長により、定年退職前の職員と同様の本来的な職務に従事できる「再任用制度」は廃止。65歳延長完了になるまでは、定年退職した職員を再任用職員(フルタイム、または短時間勤務)として採用することができる「暫定再任用制度」が設けられました。
60歳の崖…民間企業の場合、給与7割減も
制度変更に伴い、早速給与が3割減となった国家公務員からは、「厳しい」という声が聞こえてきます。
61歳・霞ヶ関で働く加藤浩一さん(仮名)。月収50万強だった給与は、役職定年で2割減。そしてさらに春にはさらに1割減。
――これまでのキャリアで基本給が下がるということはありませんでした。実際に目の当たりにすると結構なインパクトですね
最初に3割減となった給与額を目にしたとき、わかっていたこととはいえ、言葉を失ったといいます。一方で「民間企業にいった大学の同期から話を聞くと、国家公務員はまだましだなと実感しました」とも。
話に挙がった大学の同期は、新卒で大手メーカーに就職。片や国家公務員で管理職までのぼりつめ、片や誰もが知る有名企業で本部長までのぼりつめた……どちらもエリートコースを歩んできた、という点では共通しています。
大学卒業してからも、年に2、3度は顔を合わせて昔を懐かしむ仲。先日会ったときは、自ずと加藤さんの役降り&給与減の話になったといいます。
わかっていたこととはいえ、給与減を目の当たりにするとモチベーションが下がるという愚痴をいったところ、「国家公務員なんてまだまし」と諭されたといいます。
国家公務員の給与は民間準拠なので、民間企業においても定年を境に、給与は平均3割減となっています。しかし企業によって事情はまちまち。同期の会社では、まず58歳で役職定年を迎え、給与は月収で4~5割減。さらに60歳定年でいったん退職となり、嘱託社員として再契約。その際、給与は3割減。同期の場合、役職定年前の月収は120万円。契約社員となった今は月収35万円。30代前半くらいの給与水準に逆戻りだそうです
もちろん、民間企業でトップ層までのぼりつめた同期のほうが、エリート国家公務員の加藤さんよりも多くの給与を得てきました。ただ基本給が低く、役職手当が厚いという給与体系のため、役職がなくなったときのインパクトがとてつもなく大きいのです。
――インパクトでいったら、俺の勝ちだ
と自虐的に笑う大学同期。この2年ほどで給与が7割減という現状に、かける言葉も見つからなかったといいます。
公務員もサラリーマンも、60歳定年で多くが退職していた時代は終わり、65歳、さらには70歳まで働ける環境が整いつつあります。しかし、減額率はさまざまですが、60歳を境に誰もが「60歳の崖」と呼ばれる給与減を経験します。
この崖を見据えず、現役時代と同じ生活水準でいると収入減に対応できず、年金生活が始まるころには家計運営が行き詰まり、最悪、老後破綻が現実のものになります。
崖から落ちて大怪我をしないよう、50代に入ってからは少しずつ生活の見直しを進めることが、安心の老後を迎えるためのポイントです。
[参考資料]
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