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年金なんて増えても意味なかったな…年金「月36万円」を受け取る71歳・男性、「年金の繰下げ受給」を大後悔しているワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月23日 8時15分

年金なんて増えても意味なかったな…年金「月36万円」を受け取る71歳・男性、「年金の繰下げ受給」を大後悔しているワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

年金だけでは暮らせない……多くの人が知っている事実ではありますが、「年金の繰下げ受給」を利用したら受給額は増え、年金だけで暮らせるようになるのも夢ではありません。しかし、世の中メリットだけ、ということはないようです。

統計に見る老後の収支…「支出>収入」となる現実

高齢者夫婦の1ヵ月の支出は、平均25万円ほど。それに対して年金は、基礎年金と厚生年金を受給する人で平均14万3,973円。65歳以上の男性に限ると平均16万7,388円、女性で平均10万9,165円です。

【65歳以上・ともに無職、夫婦のみの世帯の1ヵ月の支出】

■消費支出…25万0,959円

(内訳)

食料…7万2,930円

住居…1万6,827円

光熱・水道…2万2,422円

家具・家事用品…1万0,477円

被服及び履物…5,159円

保健医療…1万6,879円

交通・通信…3万0,729円

教育…5円

教養娯楽…2万4,690円

その他の消費支出…5万0,839円

出所:総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』

夫婦共働きだとしても、月27.6万円。年金の手取り額は額面の85~90%といわれているので、23.4万~24.8万円となり、平均的な支出は年金だけでは賄えないというのが現状です。

生活費として足りない分はどうすればいいのか――。いくつかの選択肢がありますが、そのひとつが「年金の繰下げ受給」。原則65歳で受け取り開始となる老齢年金を66~75歳(昭和27年4月1日以前生まれの人は上限年齢は70歳)の希望するタイミングに遅らせることで、年金の受取額を増やすことのできる制度です。年金の受取額は、1ヵ月遅らせるごとに0.7%ずつ増えていき、最大10年遅らせたら84パパーセント増。ほぼ2倍になります。

毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」にも繰下げ受給に言及。つまり国としても、大いにおすすめしたい制度といえるでしょう。実際に繰下げ受給を利用している人は、厚生年金受給者で37万4,481万人。全体の1.3%であるものの、この5年間の割合をみていくと、2018年0.7%→2019年0.8%→2020年1.0%→2021年1.2%→2021年1.3%と、着実に増えています。

年金17.5万円が5年で42%アップでも「早く年金をもらっておけば」の後悔

佐藤和夫さん(仮名・71歳)も年金を繰下げたひとり。65歳から受け取れる年金は月17.5万円、妻の年金は月12万円(ともに併給の国民年金との合算)。妻は65歳から年金を受け取り、家計を補填。65歳以降も仕事を続け、月15万円ほど得られる予定だったので、佐藤さんは年金の繰下げ受給を選択。仕事を完全に辞めるタイミングで年金の受け取りを始めようと決めたといいます。

そんな選択をしてから5年。70歳となった佐藤さんは、年金の受け取りを開始。年金は42%アップの24.8万円。夫婦合わせて36.8万円となり、「年金だけで余裕の老後の生活」が実現できるように。

誰もが歓喜するシーンではありますが、大喜びする佐藤さんの姿はありません。実は70歳になり、仕事を辞め、年金を受け取り始めたのには理由がありました。

――週に3回、月・水・金に透析を受けているんですよ

透析は1回4~4.5時間。仕事を続けるには負担が大きいものでした。

――透析が必要となり、一番気になったのはどれほど費用がかかるか、ですが、そこは心配するところではありませんでした

透析治療の1ヵ月の費用は、外来血液透析では約40万円。高額ではありますが、特定疾病療養受療制度を利用することで、自己負担額は月1万円(高所得者は2万円)に抑えられます。それよりも後悔しているのは、年金を増やしたい一心で、65歳以上も働き続ける選択をしたことだといいます。

――こんな体じゃ、年金が増えても意味がありません。早く年金を受け取って、老後の生活を楽しめばよかった

厚生労働省『令和5年簡易生命表』によると、65歳時点の平均余命は男性19.52歳、女性24.38歳。70歳時点では男性15.65歳、女性19.96歳。これだけの年月の生活を楽しむことができれば、繰下げ受給で年金が増額となるのはありがたいこと。ただ使う機会がないとなると、「早めに受け取っていればよかった……」と後悔に変わるでしょう。

一見、メリットしかないように思える繰下げ受給ですが、配偶者が年下の場合、繰下げ受給を選ぶことで加給年金が受け取れない、繰下げによって年金額が増える一方で、税金や社会保険料が増加するなど、デメリットといえるようなことも。このようなポイントもおさえつつ、検討のうえ、受給開始時期を決めることが重要です。

[参考資料]

総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

厚生労働省『令和5年簡易生命表』

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