貯金大好き日本人…「4人に1人」が直面する恐ろしい事態【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月19日 14時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
物価高のインフレ時代が到来しています。しかし、依然預貯金だけに頼っている日本人は非常に多いです。インフレは経済が発展している証拠です。経済成長は資産を増やす際の大きな後押しとなるでしょう。本稿では、山中伸枝氏が監修を務めた『いちからわかる!新NISA&iDeCo 2025年最新版』(インプレス)から一部を抜粋・再編集し、投資の重要性について詳しく解説します。
物価高のインフレ時代到来!預貯金だけではお金が目減りする
物価高はお金の価値を大幅に引き下げる
コロナ禍から脱し、欧米経済は2021年ごろから大きく成長を始めました。それを受け、日本経済も物価が上がらないデフレ時代からモノやサービスの値段が上がるインフレ時代へと大きく転換し始めています。物価高と聞くと生活が苦しくなるイメージがありますが、物価が上がる→企業の業績がアップ→給料アップという好景気の波がやってきたともいえます。
ただし、インフレ時代に気を付けなければいけないのは、物価が上がるということは、お金の価値が下がっていくということなのです。例えば1,000万円の貯蓄を持っていたとしても、物価が2%ずつ上昇していくと、10年後のお金の価値は約820万円と約180万円も目減りする計算となります。
つまり、「元本割れしない」といわれている預貯金をしたとしても、将来的に物価が大幅に上がっていくと結果的に元本割れするのと同じような価値の下がり方をしてしまうということになります。このようにインフレ時代には、預貯金だけではお金が目減りするリスクがあるということなのです。
経済の発展は投資商品で資産を増やすチャンス
さらに、寿命が延びたことで、人生100年時代が到来。定年した60歳以降も、30年以上老後が続くと想定する必要があります。30年後の物価は、さらに上がっていくことを考えると、貯蓄だけでは間に合わないことは確実です。
そこで考えたいのが、経済成長の果実を活かすための投資を積極的にしていくことです。投資信託や株式で資産を増やそうとした場合、経済が大きく発展していくことは資産増加の後押しになり得ます。このような観点からも、今後は貯蓄だけでなく、投資も組み合わせながら、将来の資産づくりをしていくことが、大前提となっていくでしょう。
新NISAとiDeCoの制度はその資産形成をサポートする強い味方なのです。
「インフレ」とは?
インフレとは、モノの値段が上がっていき、相対的にお金の価値が下がってしまう状態のことをいいます。例えば、250円で買えていたリンゴが、500円出さないと買えない状態のこと。つまりお金の価値が半分になってしまうことになります。
投資をしてこなかった日本人…家庭の窮状を救うのは投資
日本人の金融資産は預貯金に偏っている
物価高が続き家計に余裕のない状況が続いています。実際に、金融広報中央委員会の調査によれば、2人以上の世帯のうち25.3%が「金融資産0円」と回答。つまり、4人に1人が、預貯金・株式・投資信託・保険といった金融資産をまったく保有していません。
また、金融資産を保有していてもその多くが現金・預貯金に依存しています。金融庁のデータによれば、日本国内の家計が保有する金融資産のうち現金・預貯金が占める割合は、約54%。それに対し株式・投資信託の割合は約18%です。
一方で、米国の場合は、預貯金が約13%、株式・投資信託が約47%。英国の場合は、預貯金が約28%、株式・投資信託が約35%と、日本と比べて投資資産の比率が大きいのです。米国は、貯蓄と投資資産の比率が日本と真逆といっても差し支えありません。
こうした特徴は、金融資産をあまり増やせないことにもつながっています。過去20年間の金融資産の推移で比べると、米国では3.3倍、英国では2.3倍に対し、日本はわずか1.4倍しか増えておらず大幅に差が開いてしまっています。
つまり、貯蓄だけで資産を増やしていくことは難しく、物価高にも負けない資産形成を考えるなら、投資をしていくことは必然になってきたといえるでしょう。
税制優遇制度を上手に活用して投資を始めよう
預貯金の金利は、高いところでも0.2%程度です。これでは物価の上昇に負けてしまいます。それなら、投資信託や株式などの投資をして増やしていくほうが、効率的に資産を増やすことが期待できます。
新NISAやiDeCoの税制優遇を組み合わせることで、利益などが非課税になれば、その効率はさらによくなるはずです。とはいえ、投資にリスクはつきもの。そのリスクを回避する方法を活用しながら、上手に資産づくりをしていきましょう。
半数近くの人が十分な貯蓄ができていない
金融広報中央委員会が全国5,000世帯(世帯主が20歳以上でかつ2人以上の世帯)を対象に行った調査によると、金融資産保有額が300万円未満の世帯が約47%、そのうち25.3%が貯蓄0円という結果に。貯蓄をしている人としていない人の差が大きく開き二極化が進んでいます。
山中 伸枝
株式会社アセット・アドバンテージ
代表取締役
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