親を「老人ホーム」に入れたい。でも…親の年金では無理→お金にゆとりがなくても入居可能な唯一!?の施設【安藤なつが介護ジャーナリストに聞く】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月2日 9時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
高齢になった親の介護を、子ども1人で担うのはたいへんな負担です。そこで「高齢者施設」に入れようと考えたとき、その高額な入居一時金や月々の利用料に驚き、躊躇してしまう人も少なくありません。そこで、芸人の安藤なつ氏と介護ジャーナリストの太田差惠子氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より、経済的なゆとりがなくても入居可能な施設を紹介します。
〈登場人物紹介〉
●安藤なつ…介護歴約20年。現場のことはある程度わかるけれど、制度やお金のことについて詳しく知りたい。
●太田差惠子…取材歴30年以上の「介護とお金」に詳しい介護ジャーナリスト。費用を抑えるための介護制度や、プロの手の借り方について解説。
親に金銭的なゆとりがないなら「特別養護老人ホーム」一択
CHECK!
□公的介護施設だから費用が安い
□原則として、要介護3以上でないと入居できない
安藤:経済的なゆとりがなければ、有料老人ホームは難しいですよね?
太田:親の年金も資産もわずかだけれど施設入居を希望するという場合は、特別養護老人ホーム(特養)の一択と考えたほうがいいでしょう。
人気だからって諦めないで…“意外にスンナリ”入れるケースも
安藤:でも入居待ちをしている人が多くて、なかなか入れないと聞きます。
太田:費用が安いこともあって、要介護3以上でないと申し込めないなどの要件があるにもかかわらず人気は高いです。ただ、混み方は地域によってずいぶん差がありますし、入居できるのは申し込み順というわけでもないので、意外にスンナリ入れることもあります。
安藤:申し込み順じゃないんですか!
太田:そうなんです。自治体によって異なりますが、保育園の入園方法に似たポイント制を採用しているところが多く、必要度合いの高い人が優先されます。また、複数の特養に同時に申し込むことができるため待機者は実数よりも多いので、思ったより早く入居可の連絡が来ることもあります。
安藤:必要度合いが高い人ってどんな人ですか?
太田:これも自治体によって違いますが一般的には、要介護度が高い、介護サービスをたくさん利用している、主たる介護者が高齢・遠方に住んでいるといった点を見ているようです。
安藤:なるほど~。ただ特養なら費用はかなり安いだろうと思ってましたが、月15万円くらいかかりそうですね。
太田:特養の場合は同じサービスを受けても、住民税が課税なのか非課税なのかや、本人または夫婦の預貯金の額などによって料金は異なるんです。年金が少なく、預貯金もほとんどないというケースでは、軽減制度の適用を受けることができます。入居させたいと思ったら、年金額などがわかる資料を持って、親の住所地の役所の高齢者支援を担当する窓口へ相談に行くといいですよ。
安藤:何も行動しないで、あきらめちゃダメってことですね。
太田:住民票のある人が優先される傾向はありますが、特養は日本全国どこでも申し込めます。子どもの住所地への呼び寄せも考えているのならば、さらに候補を広げて申し込むという手もあります。
任せっぱなしはNG…施設入居後も、親への「マネジメント」を
CHECK!
□施設入居は介護の終わりではない
□目を光らせつつ、施設と円滑な関係を築く
安藤:施設へ入居したら、子どもの役目はあまりなくなりますか?
太田:そんなことはありませんよ。介護は「ひとつのプロジェクト」。施設への入居はプロジェクトのミッションのひとつであって完了ではありません。施設へ入居しても、子どものマネジメントは続きます。
安藤:そうでした。施設へ入ったら、どうマネジメントすればいいですか?
太田:まず1つ目は「精神的なケア」。特に施設に慣れるまでの間はできるだけ訪問し、足りないものはないか、施設の暮らしになじめているかなど要望やグチを丁寧に聞きましょう。
2つ目は「施設との窓口」です。親から聞き取った話の中で、必要だと思うことは施設に伝えます。逆に施設から連絡が入り、対応しなくてはいけないこともあるでしょう。
いずれにしても、入居したからといって施設に任せっぱなしにしないことが、提供される介護の質を担保することにつながります。
安藤:お金は子どもが管理したほうがいいですか。
太田:入居時の親の状況にもよりますが、親本人が管理することが難しければ、子どもが代行したほうがいいですね。
安藤:施設に入居するときは身元保証人が必要と聞きました。
太田:身元保証人になる家族がいない場合を除くと、一般的には子どものうち1人が身元保証人になります。施設入居後の子どもの役割と重なる部分もありますが、費用の支払い保証、病気の際などの意思決定の代行、逝去手続きや荷物の引き取りなどについて責任を持つ必要があります。
安藤:確かに、入居してからもいろいろやることはありますね。
太田:入居者の家族で構成する「家族会」や、家族を招待する行事がある施設も多いです。そうした機会には積極的に参加してスタッフと良好な関係を築くことが、親がよいケアを受けられることにつながります。
「民間」の介護付き有料老人ホーム、1ヵ月あたりの費用の目安は…
高齢者施設は、さまざまなタイプがあるので、かかる費用も施設の設備や受けるサービスの内容によって大きく変わってきます。ここでは、施設に入居すると毎月どのくらい費用がかかるのかをざっくり説明していきます。
[図表3]は、要介護3の人が介護付き有料老人ホームに入居した場合の例。注目すべき点は、介護保険適用外の費用です。
居住費が家賃にあたる費用となり、施設設備や部屋のタイプによって変わります(入居一時金を支払うことで月額の費用を抑えることができます)。日常生活費は、シャンプーやティッシュ、オムツなどの身の回りの消耗品費、イベント費などは利用するごとにかかります。
上乗せ介護費・サービス加算は、24時間の看護体制や職員配置が手厚いなどのルールに即して費用が上がっていきます。
身の回りの消耗品は、持ち込めるところと、施設支給のもの限定というところがあります(ちなみに、特養ではおむつ代なども介護費に含まれているのでリーズナブルです)。
安藤 なつ メイプル超合金 ヘルパー2級(介護職員初任者研修)
太田 差惠子 介護・暮らしジャーナリスト
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