母ちゃんの遺産7,000万円は俺のもの!ジャイアン化する50歳弟の暴走が止まらない。母の介護を引き受けてきた52歳姉がすすり泣き「どうしてこんな弟に」【相続の専門家が解説】<br />
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月25日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
母親の世話にはノータッチだったくせに母親の遺産を高圧的な態度で求める弟。きょうだい間で遺産の配分について話し合いが上手くいかない場合どのように進めればよいのでしょうか。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、できる対策について詳しく解説します。
父親の相続ができていない
先日、母親が亡くなったという美咲さん(52歳・女性)が相談に来られました。父親は3年前に他界しており、弟(50歳)と美咲さんの二人が相続人です。
父親の財産は評価が2,000万円の自宅と預金ですが、相続手続きはしないまま、今年になって母親が亡くなってしまったのです。
父親の預金は母親に移しているため、父親の名義が残っているものは自宅の不動産だけだと言います。
母親の財産は基礎控除を超えている
亡くなった母親の財産は金融資産のみですが、預金が3,000万円と証券4,000万円、合計7,000万円あるため、相続税の申告が必要です。預金や株は父親の収入から残してきたと思われますが、経緯ははっきりしないため、母親の財産として申告することが必要となります。
父親の財産が不動産だけとすれば、基礎控除の範囲内となり、相続税の申告は不要です。
話し合いができない
母親が亡くなって3ヵ月になりますが、その間、弟は美咲さんや美咲さんの夫に対して責め立てるような言葉ばかりを言うようになりました。「不動産はいらないから、預金を全部相続する」「母ちゃんの遺産は俺のモノ」と毎日のように電話をかけてきます。そして美咲さんのことは「お前」呼ばわりで姉に対する尊敬の念はありません。
母親が亡くなるまで、82歳の母親の面倒をみてきたのは美咲さんでした。日常の買い物やちょっとした手伝いはもちろん、母親が病気で入院してから足しげく病院に通って世話をしていました。
父親、母親ともに遺言書はないため、2人で話し合いをしないといけないのですが、とても話し合いにはならず、どうすればいいかと相談に来られました。
バランスが悪い
弟の希望する分け方で、不動産を美咲さんが相続することなら異論はないのですが、金融資産を弟が全部とるとすると、2対7の割合になるので、等分にはなりません。美咲さんとすれば両親の老後の世話をしてきたのは自分なので、等分でもかなり譲歩しているという気持ちです。
しかし、そうした気持ちを伝えられる雰囲気ではなく、とにかく話し合いにならないので、ほとほと疲れ果ててしまったといいます。
弁護士に依頼して暴走を止める
美咲さんの弟は以前からモラハラ気質というか高圧的な態度でした。子供のときからのあだ名も「ジャイアン」だったほど。ある程度の覚悟はしていましたが、ここまでひどくなるとは思わなかったと。しかし、自分が我慢してなんとか、まとめられないかと試行錯誤してきたものの、自分や夫では弟は納得させられないことも感じていたようです。
そこで、これ以上のストレスを抱えないために、また、弟が暴走しないためにも弁護士に依頼して遺産分割の話し合いを始めるほうがよいとアドバイスしました。
姉だからと自分勝手なふるまいをしているのを、弁護士が入ることにより、止めさせることも必要な状況だと言えます。
美咲さんもすすり泣きしながら「そうですね」とうなずきました。そうして、弁護士相談に切り替えて早期解決をするように段取りをすることになりました。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策
姉弟で話し合いができないときは弁護士に依頼する。
弟の暴走を止めるにも専門家として弁護士に頼る。
●注意ポイント
姉弟間で決めていくことが原則だが、弟が姉を尊重していないままではいい結果は生まれない。
毅然とした決断が必要になる。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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