跡継ぎに男児を…祖父母・両親の期待が弟に集中した代々続く造り酒屋の三女、大人になって起きた「大問題」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月6日 15時15分
![跡継ぎに男児を…祖父母・両親の期待が弟に集中した代々続く造り酒屋の三女、大人になって起きた「大問題」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_65877_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
「愛着障害」とは正確には小児に限られた病名です。大人の場合、愛着障害とはいえないため、精神科医・村上伸治氏は広く「愛着の問題」と呼んでいます。現代社会の病「大人の愛着障害」とは? 本記事では、同氏監修の書籍『大人の愛着障害: 「安心感」と「自己肯定感」を育む方法』(大和出版)より一部を抜粋・再編集し、愛着の問題を抱える原因を解説します。
親が別のことにかかりきり
親が子育て以外のことで忙しく、他のことに気をとられて、子どもに関わる時間がじゅうぶんもてないと、結果的にネグレクトと似た状況が生まれます。
たとえば、経済的な問題から仕事に多くの時間を割かなければならない家庭もあるでしょう。また親自身になんらかの精神的・身体的疾患があるケースや、病気や障害をもつきょうだいがいて、親がそちらにかかりきりになっているケースもあります。きょうだいの受験や習いごとが忙しく、じゅうぶんかまってもらえないということも考えられます。
親が自分の趣味や活動に没頭し、家庭をかえりみないこともあります。なかには、親に自閉スペクトラム症などの神経発達の問題があり、子に関心を示せないということも。親自身は普通に子育てしているつもりでも、子どもは関わり不足により、愛着の問題を抱えることになります。
跡継ぎに男児を…三女の孤独
代々続く造り酒屋の三女。「跡継ぎは男児」という意識が強く、3人目の女の子はあまり関心をもたれませんでした。しかもすぐ下に男の子が生まれたので、祖父母や両親の期待や注目は弟に集中し、彼女はいつも孤独だったそうです。「世話はしてもらったけど愛してはもらえなかった」という感覚は、大人になっても拭うことはできません。
養育者側にこんなことはなかっただろうか?
・親にアルコールや薬物などの依存症があった。
・親が精神的・身体的疾患を抱えていた。
・趣味や学業、宗教活動、政治活動などに没頭し、あなたにかまう時間がとれなかった。
・仕事が忙しく、あなたとともに過ごす時間がほとんどとれなかった。
・親が自閉スペクトラム症など神経発達の問題を抱えていた。
・手のかかるきょうだいや、介護が必要な祖父母などがいた。
・離婚調停中など、家庭の問題を抱えていた。
・きょうだいの受験や習いごとなどかかりきりだった。
・新しい恋愛に没頭していて、あなたにかまわなかった。
条件つきの愛情
成績や試合の結果について親が子どもをほめるとき、成果に注目してほめる場合とがんばりに注目してほめる場合とでは、子どもに与える影響は異なります。成果ばかりに注目してほめると、本人は「素の自分」ではなく「出した結果」だけがほめられたように感じてしまいます。本人にとって、成果はあくまで自分の外側。成果が出たことだけをほめられると、まるで「きれいなコスメだね」と言われているように感じ、素の自分がほめられているとは感じられません。
親の側は一生懸命愛情を注いだつもりでも、子の側は「愛情をかけてもらってはいたが、条件つきの愛情だった」「素の自分を愛してはもらえなかった」という思いを抱き続けることになるのです。成績がよくてもわるくても、試合で勝っても負けても、親がつねに「がんばったね」とプロセスを見てくれていたら、無条件の愛情を感じられ、素のままの自分に生きる価値があると思えたのかもしれません。
「がんばれないときもほめるんですか?」
「がんばらなくてもほめてあげてください」と伝えたら「がんばらなくてもほめるんですか」と聞き返したお母さんがいました。人にはがんばれないときもあります。そんなときは「生きているだけでじゅうぶん」と、ほめてあげてください。がんばれないときも「それでいいのよ」とハグすることで、子どもは親との絆を深めて安心できるのです。
養育者側にこんなことはなかっただろうか?
・学業成績やスポーツ競技の結果が良いときだけはほめるが、あなたの努力のプロセスや個性は見なかった。
・髪型やファッションなどは親が決め、そこからずれると怒られた。
・あなたの進路や職業はすべて親が選んできた。
・習いごとはすべて親が決め、成果が出たときしかほめなかった。
・礼儀正しいふるまいをしたときだけ、あなたをかわいがった。
・家事をしないと、無視された。
・親が気に入った子と遊ぶように勧め、あなたがそれ以外の子と遊ぶと不機嫌になった。
・あなたの絵や書、作文など、クオリティが高いときだけ評価し、創造すること自体はほめなかった。
子どもが自ら察してがまん
子どものほうから愛着形成のサイクルを止めてしまう場合があります。親が忙しかったり大変そうだったりすると、子どもがそれを察して、自分から愛情要求を止めてしまうのです。こうした傾向は、生まれつきの性質によるものでしょう。幼くても周囲の状況や他人の表情を敏感に感じとれる子や、その場の状況に対して、適切なふるまいができる子がいます。親が忙しそう、つらそうだとわかると、自分の要求を控え、親が望むように行動してしまいます。
子どもをかまえないほど忙しい親と、このタイプの子のくみ合わせになると、愛着形成は双方からストップしてしまいます。親からすると、子どもが早熟で自立したように見えるため、「もうあなたは大丈夫ね」と安心して子どもから離れてしまいます。手がかからないしっかりした子ども時代を過ごしたように見えますが、本当はもっと甘えたかったという思いを抱えている人が多いのです。
2〜3歳でも人の様子を観察し、顔色を見て行動する子がいます。親御さんのタイプとのくみ合わせで愛着の問題を起こしやすくなります。
子ども側にこんなことはなかっただろうか?
・親の家事を手伝うと、機嫌がよくなるので、嬉しくて率先してやっていた。
・親の疲れた表情を察知し、甘えたい気持ちをおさえ、ひとりで遊んだことがあった。
・家計の苦しさを感じとり、ほしいものをねだらなかった。
・親の仕事の忙しさを理解し、悩みを相談せず、自分で解決しようとした。
・小さい頃から親には悩みを打ち明けたことがなかった。
・自分の喜怒哀楽の感情を表現することにいつもためらいがあった。
・両親が不仲で、板挟みになり、双方に気をつかい甘えなかった。
・親からいつも「あなたのために〜しているんだから」と言われていた。
・「いやだ」「さみしい」「助けて」「早く来て」といった要求を伝えるのが苦手だった。
村上伸治
精神科医
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