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年金15万円・71歳ひとり暮らしの母「年寄り扱いするな!」と威勢がよかったが…半年ぶりの帰省で目の当たりにした「変わり果てた姿」に43歳息子、絶句

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月27日 8時15分

年金15万円・71歳ひとり暮らしの母「年寄り扱いするな!」と威勢がよかったが…半年ぶりの帰省で目の当たりにした「変わり果てた姿」に43歳息子、絶句

※写真はイメージです/PIXTA

少子化が進む一方で、大学への進学率は過去最高の記録を更新。これからは大学全入時代といわれています。しかし大学に進学するにはタダとはいきません。経済的に苦しいのであれば奨学金を利用して、という考えもありますが、そこまでして大学に行く必要があるのでしょうか。

父を看取った母、実家で1人暮らしを心配する息子

昨今、世間を震撼させている、いわゆる「闇バイト」。高齢者が被害にあっているニュースを目にするたびに、実家で暮らす親のことが心配になった人も多いのではないでしょうか。東京在住の小林健さん(仮名・43歳)もそのひとり。九州の実家には、71歳になる母親・悦子さん(仮名)がひとり暮らしをしています。

悦子さんがひとり暮らしになったのは、5年前のこと。小林さんの父親が介護施設に入居し、自宅には悦子さんだけが残りました。しかし父親が存命だったため、悦子さんがひとり暮らしをしているという感覚が薄かったといいます。父親が亡くなったのは昨年末のこと。以来、「母親が実家でひとり暮らしをしている」という意識が強くなったといいます。

そこにきて、闇バイトによる事件の報道。毎日のように繰り返し耳にすると、さらに不安になります。反射的に「ひとりで大丈夫か?」と尋ねてしまうことも。もしここで「不安だ」といわれても、解決策があるわけではないのに。そんなことを見透かしてか、悦子さんは「年寄り扱いするんじゃないよ!」と威勢よく返すのだとか。

また年金生活できちんと暮らしていけるか、というお金の心配も小林さんにはありました。確か悦子さんは月15万円ほどの年金を受け取っているはず。しかしそれで十分なのだろうか……「お金は大丈夫か?」と尋ねると、悦子さんは同じように「年寄り扱いするんじゃないよ!」と威勢よく返します。小林さんも「そんなに元気なら大丈夫か」と、気にしすぎないよう心がけたといいます。

もともと悦子さんには週に1回、多いときには2回、3回と電話をしていました。たいてい悦子さんが「そんなに心配するな」と少し怒り口調でいい、小林さんが「そんなに元気なら心配ないね」と電話を切る、というのがお決まりのパターン。本当はLINEで済ませたいところですが、「そんなハイテク機器、年寄りには必要ない」(こういうときは、急に自分を年寄りというそうです)と、スマートフォンに変えてくれません。「いっそ、ガラケー型のスマフォに変えてやろうか」と、画策しているところ、ある日、ちょっとした異変を感じたといいます。

――なんでしょう……今年の春くらいから、あの威勢のよい感じがなくなって。疲れているのかなと思ったのですが、連絡するごとに元気がなくなっていく感じで、私の問いかけに「あー」くらいしか返さなくなったんです

半年ぶりの帰省…チャイムを鳴らすも返事はなく

母親・悦子さんの異変を感じ取った小林さんですが、実家は九州。飛んで帰って確かめる、ということはできません。しばらく歯がゆい思いをしながらも、お盆前に休みを取ることができ、急遽、帰省。父親の葬儀以来、半年ぶりの実家でした。しかし、そこで衝撃的な光景を目の当たりにします。

「ただいま」と呼び掛けても反応はなく、万一のために持っている合鍵で鍵を開け家のなかへ。すると、モノが腐ったような臭いが漂い、思わず鼻を押さえます。とりあえず、臭いの元をたどり台所・ダイニングへ。そこにはいつのものかわからない腐った食べ物が並んでいます。夏の高温で、モノが腐るのも早いのでしょう。ただほんの1日、2日、放置しただけとは思えない状況です。

そんな臭いが充満するなか、悦子さんは、リビングのソファにポツンと座っています。ラジオの音声が流れていますが、それを聞いているわけではなさそうです。何とも奇妙な光景に、一瞬、言葉を失ったといいます。何とか声を絞り出し、

――お母さん!

大きな声で呼びかけると、やっと人の気配に気づいたのか、小林さんのほうに振り返ります。しかし、

――あぁ……

といったきり、また元の姿勢に戻り、ただソファに座っているのです。

反応はほとんどありませんが、見る限り、体調を崩しているわけではなさそうです。そこで母親をまずは置いておいて、家のなかを掃除し、臭いの元をシャットアウト。その間、何度も問いかけても悦子さんはほとんど無反応だったといいます。どうしたものかと思いましたが、とりあえずお腹が空いたと、近所のスーパーで食材を買い、ご飯を作ります。ご飯とみそ汁と簡単なおかず。母親にご飯を作ってあげるなんて、いつ以来ぶりでしょうか。

――お母さん、ご飯作ったけど、一緒に食べないか?

そう問いかけても、やはり無反応……かと思ったら、ソファに座ったまま、悦子さん、さめざめと泣いています。このあと悦子さんと何とか話を聞くことができ、ぼんやりですが状況が見えてきました。

半年の間に母親を襲った不幸…孤独感に押しつぶされ

父親が亡くなったあと、悦子さんは気丈に振る舞っていましたが、そのあと、近所の幼馴染と親友が相次いで亡くなったのだとか。以前から交友関係が広いとはいえない悦子さん。身近な人が相次いで亡くなったことで、大きな孤独感に襲われたといいます。そしてだんだんと生きるのがツラくなったり、何もやる気が起きなくなったりして、今に至る、ということでした。

内閣府『令和6年版高齢社会白書』では、65歳以上の高齢者の孤独感に関して言及しています。調査によると、65歳以上の高齢者のうち、親しい友人や仲間が「たくさんいる」と答えた人の割合は7.8%で、2018年の24.7%から大幅に減少しています。このことは、特に一人暮らしの高齢者において顕著です。また人と話をする頻度が「毎日」と答えた人の割合は、前回調査の90.2%から17.7ポイント減り、72.5%となりました。ひとり暮らしの高齢者が増えるなかでのコロナ禍。私たちはすでに日常を取り戻したと思っていますが、人付き合いが制限されたまま、元に戻ることができていない高齢者も多いようです。

そもそも高齢者は、「家族との死別」や「心身の重大なトラブル」によって、孤独感を持ちやすいもの。そこにひとり暮らしという状況が重なると、より大きな孤独感となり、押しつぶされてしまうことも。

このあと、悦子さんを病院に連れていった小林さん。うつ傾向にあると診断されたといいます。このまま母親をひとりにはできない。かといって東京に連れていくのはどうか。知らない土地で、余計にストレスを感じてしまわないか……。いろいろと悩んだ末、施設に入居を決めた悦子さん。夫や友人たちの穴を埋めることはできませんが、毎日話をするような友人もできたといいます。

――近くに住んでいれば、こんなことにはならなかったのかもしれませんが……難しいですね

[参考資料]

内閣府『令和6年版高齢社会白書』

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