【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…12月第3週の「米国経済」の動き
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月22日 20時15分
(※画像はイメージです/PIXTA)
トランプ次期政権の政策が注目されるなか、「米ドル円」に対する世の中の関心もかつてないほどに高まっている今日。来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな、先週の米国経済の動きについて東京海上アセットマネジメントが解説します。
FOMCでは2025年の政策⾦利⾒通しを上⽅修正
⽶商務省が公表した2024年11⽉の⼩売売上⾼は前⽉⽐+0.7%と、市場予想(同+0.6%)を上回りました(図表1)。
物価上昇率を上回る賃⾦上昇に⽀えられ、個⼈消費は底堅さを維持しているとみられます(図表2)。
業種別では、ハリケーン襲来後の⼀時的な需要の⾼まりが⾃動⾞同部品(前⽉⽐+2.6%)を押し上げたほか、感謝祭(11/28)翌⽇のブラックマンデーにおける値引きが奏功した無店舗⼩売(同+1.8%)などが全体をけん引する格好となりました(図表3)。
⼀⽅で、⾷料・飲料(前⽉⽐▲0.2%)などの⽣活必需品が減少するなど、⼀部で消費を抑制する動きも⾒られます。
12⽉についても、感謝祭明けのサイバーマンデー(12/2)や年末商戦における販売促進策が節約志向の強い消費者の購買意欲を⾼めることで、個⼈消費は底堅さを保つことが予想されます。
2025年1-3⽉期は2024年初にみられた反動による落ち込みに注意する必要があるものの、FRBによる利下げの効果が徐々に発現する可能性を踏まえれば、個⼈消費の腰折れは回避することが予想されます。
GDPのうち、個⼈消費の推計に⽤いられるコア⼩売売上⾼は11⽉に前⽉⽐+0.4%(10⽉︓同▲0.1%)とプラスに転じたことで、10、11⽉平均は7-9⽉期平均対⽐で+0.9%と底堅さを維持しています。11⽉の⼩売売上⾼などを反映したGDPNow※の試算(12/18時点)によると、10-12⽉期の実質GDPは前期⽐年率+3.2%(7-9⽉期︓同+2.8%)と⾼い成⻑率が実現することが予想されています。 ※アトランタ連邦準備銀行が、リアルタイムに米国の経済成⻑率を予測することを目的に公表している指標
FRBは利下げを決定、FFレートの引き下げも
FRBは12⽉17〜18⽇に開催したFOMCで事前の予想通り2015年1⽉〜2024年12⽉、⽉次0.25%の利下げを決定し、政策⾦利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導⽬標レンジが従来の4.75%〜4.50%から4.50%〜4.25%へ引き下げられました(図表4)。
もっとも、声明⽂ではハマック・クリーブランド連銀総裁が政策⾦利の据え置きを求め、反対票を投じたほか、ドットチャート(FOMCメンバーの政策⾦利⾒通し)ではFOMCメンバー19⼈のうち4⼈が政策⾦利の据え置きが妥当としている様⼦がうかがえるなど、今回の利上げは僅差の決定だったとみられます。
声明⽂では、先⾏きの政策⾦利について「追加調整の程度と時期を検討する際、FOMCは今後得られる情報、今後の⾒通し、リスクバランスを慎重に評価する」と⽰され、今後の利下げペースの鈍化を⽰唆した格好となりました(図表5)。
実際、ドットチャートが⽰す政策⾦利⾒通しは2025年末が3.875%(9⽉︓3.375%)、2026年末が3.375%(9⽉︓2.875%)、2027年末が3.125%(9⽉︓2.875%)と、9⽉時点に⽐べると利下げペースが減速し、2025年の利下げ回数が9⽉時点の4回から2回へと減少する⾒込みとなっています(図表6)。
また、「Longerrun」(景気を熱しも冷やしもしない中⽴⾦利を意味する⻑期のFF⾦利⽔準)についても3.00%と、9⽉の2.875%から上⽅修正されています。利下げの最終局⾯の⽔準が切り上がっている点もタカ派的と考えられます。
パウエルFRB議⻑は、追加利下げには「インフレ鈍化の更なる進展と、労働市場の継続的な強さ」が必要だと指摘し、今後の利下げを「慎重に判断できる」とも述べ、利下げペースの鈍化を⽰唆しました。
また、トランプ次期政権が掲げる減税や追加関税などの影響については、⼀部のメンバーが先⾏して⾒通しに反映させたことを⽰唆したうえで、関税引き上げの影響について「物価にどの程度影響を与えるかは多くの要因が関係している。また、その影響がどの程度持続するかも分からない。実際の政策については、本当にまったく分からない」との⾒解を⽰しました。
2025年の政策⾦利⾒通しが上⽅修正された背景には、⼀部のメンバーがトランプ次期政権の政策を⾒通しに織り込んだことが影響している可能性があります。今後、トランプ次期政権の政策が明らかとなり、タカ派的なメンバーが増えてくることで、政策⾦利の⾒通しが更に上⽅修正される可能性には留意が必要です。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…12月第3週の「米国経済」の動き』を参照)。
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