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義両親の壮絶介護で「このままではあなたが倒れる」…「親不孝と言われても」老人ホーム入居を決めたワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月20日 19時15分

義両親の壮絶介護で「このままではあなたが倒れる」…「親不孝と言われても」老人ホーム入居を決めたワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

超少子高齢社会となって久しい日本で、深刻化する「親の介護」問題。『高齢社会白書』(令和5年版)や事例とともに解説していきます。

認知症の義母に続き義父も…壮絶な介護生活

10年前、義母が認知症を発症し、介護生活が始まった坂本さん(仮名/60歳・女性)。最初は軽度の物忘れや混乱といった初期症状だった義母の認知症も、次第に進行し、「食事をとったことを忘れる」「夜中に徘徊する」「家族や場所を認識できなくなる」といった状態に。坂本さんは当時を振り返り、次のように語ります。

「夜中に起き出して家中を徘徊する義母への対応で、ほとんど眠れない日々が続きました。体力的にも精神的にも限界を感じていました」

さらにその5年後、義父が脳梗塞を発症し、要介護状態に。リハビリや日常生活全般のサポートが必要になり、坂本さんの負担は倍増しました。

「義父の介護が加わったことで、休む時間がほとんどなくなりました。自分の健康もどんどん悪くなり、このままでは持たないと感じました」

介護には体力や精神力だけでなく、多額の費用がかかります。坂本さんは、介護保険を利用しながらも自己負担分が家計に重くのしかかり、将来への不安を抱えていました。

「毎月の介護費用が家計を圧迫しました。介護保険の自己負担分だけでもかなりの額で、老後の生活費が足りなくなるのではと不安でした」

介護疲れがピークに達した坂本さんは体調を崩し、医師から「このままではあなたが倒れる」と警告を受けます。家族とも相談し、ついに義両親を老人ホームに入居させる決断をしました。

坂本さん家族は、事前にある程度の資金計画を立てていたため、適切なタイミングで決断することができました。老人ホームへの入居には費用がかかるものの、介護保険や高額介護サービス費の支給を活用し、経済的負担を軽減できたと語ります。

「親不孝だと言われることも覚悟しましたが、自分が倒れたら誰も義両親の面倒を見られなくなる。それを避けるための最善の選択だったと思います」

特別養護老人ホーム(特養)は比較的費用が抑えられるものの、入居待ちが多く、利用できるまでの間は短期入所施設を活用しました。また、民間の老人ホームでは入居一時金として数百万円、月額費用として数十万円が必要なケースもあり、事前の資金計画が重要です。

老人ホーム入居後の変化

老人ホーム入居後、義両親は専門の介護スタッフのもとで適切なケアを受け、坂本さん自身も健康を取り戻しました。心に余裕が生まれたことで、義両親との関係も改善し、面会時には笑顔が増えたといいます。

「義両親が安心して過ごしている様子を見て、私もほっとしました。家族全員が以前よりも前向きな気持ちで暮らせるようにもなりました」

義両親は、施設で他の入居者やスタッフと交流し、趣味活動を楽しむなど充実した時間を過ごしています。坂本さんも趣味を再開でき、家族との時間を楽しむ余裕を取り戻しました。

厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査の概況』によると、介護が必要となった主な原因は「認知症」が23.6%で最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」が19.0%を占めています。また、『高齢社会白書』(令和5年版)では、75歳以上の被保険者の23.1%が要介護認定を受けていることが報告されています。これらのデータからも、高齢化社会において介護が多くの家族にとって避けられない課題であることがわかります。

坂本さんは、今回の経験を通じて介護への考え方が大きく変わったと語ります。

「介護は愛情だけで乗り越えられるものではありません。適切なサポートを受けることは、家族全員の幸福を守るために必要な選択だと思います」

老人ホームへの入居を検討する際は、家族間での話し合いと早めの資金計画が重要です。坂本さんのように、プロの力を借りることを選択肢に入れることで、介護の負担を軽減し、家族全員がより良い生活を送ることが可能です。

現代の介護問題において、「自分たちでなんとかする」だけでなく、適切な制度や施設を活用することが、すべての家族にとっての希望となるでしょう。

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