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トップセールスマンは「地味な印象」、そうでないセールスマンは「高級ブランド」を身にまとう…作り過ぎた第一印象は逆効果になりうるワケ【元JAL国際線チーフパーサーが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月31日 7時15分

トップセールスマンは「地味な印象」、そうでないセールスマンは「高級ブランド」を身にまとう…作り過ぎた第一印象は逆効果になりうるワケ【元JAL国際線チーフパーサーが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

一回きりしか会わない相手以外は、初対面のあとも相手のなかで印象は変わり続けていきます。そのため、作り込みすぎた第一印象はかえって不利な結果を招くこともあるといいます。今回は山本洋子氏の著書『なぜあの人は初対面で信用されるのか 元JAL国際線チーフパーサーだけが知っている、人の心をつかむ極意』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、その理由を詳しくご紹介します。

作り過ぎた第一印象は失敗のもと

第一印象を作り過ぎると失敗することがあります。必要以上に自分をよく見せようとすると、いつか必ずボロが出るからです。

私は航空会社を退職後、7年間外資系保険会社で保険営業に携わっておりました。営業スタッフは第一印象に気を配る人も多く、お客様にお会いするときは身だしなみや立ち居振る舞いに注意を払います。保険営業はとても厳しい世界ですが、トップセールスマンになると年収も普通の会社の役員並みになるほど営業成績がものを言う世界です。

当然、トップセールスマンとそうでない営業マンでは、着ているスーツや持ち物までもが違うのですが、本当のトップのセールスマンは意外と質素です。普通の白のYシャツに濃紺のスーツ、鞄も靴もブランド品で飾り立てることはありません。どちらかといえば、地味な印象の装いですが、常に清潔に、着崩すことなくきちんと身なりを整えています。

ここで、トップセールスマンとそうでない人との違いが出ます。トップセールスマンでない人は、第一印象を整えるというと、洋服や鞄などの持ち物だけを高級ブランドで固めようとするのです。カラーシャツを着て、派手なスーツにブランドバッグ、フェイスの大きい目立つ時計を身につける人もいるほどです。ブランド品で身を固めていると、いかにも成功者のように見えますが、実は営業成績が振るわず、苦心している営業マンも多いのです。

身の丈以上の高価なものを身にまとい、それで第一印象をよくしようと思っているのであれば、それは大きな勘違いです。外見を飾り立てても、中身が伴わなければ、相手にはすぐに見破られてしまいます。

IT長者と言われるような創業者は、TシャツにGパンです。社長なのに、そんなカジュアルでいいの? と思う人もいるでしょうが、クリエイティブな業界特有の常識があります。アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、自分の美学にこだわり、それを社会に認知させた例と言えるでしょう。人はそこまで突き抜けると、誰も異議を唱えません。しかし、その基準をあらゆる業界で適用させるにはまだ時間がかかるのが現状です。

ビジネス上の身だしなみも、カジュアル傾向にあるものの、まだまだ一般的な企業では、服装は普段着のように自由にはできないものです。そして、作り過ぎた印象でもう一つ多いのが、年齢より若く見せ過ぎることです。

いつまでも若くありたいと思う気持ちは十分理解できますが、痛々しく見えるまでの若作りは逆効果です。特に服装で若く見せようとする人は、若く見えるというより幼稚な印象を与えかねません。いつまでも若さを売りにすることはできません。歳を重ねての過度な若作りは、中身のなさを自らさらけ出しているようなもの。「若くある」ことと「若作り」はまったく異なるものです。

ビジネスシーンでは、作り過ぎた奇抜さや斬新さは必要ありません。装飾だけの外見にこだわった第一印象は、実際との違いにマイナスなギャップが生じて、かえって逆効果になることを肝に銘じなければいけないのです。

印象は毎日の積み重ねで決まる

初対面でお会いした人で、その後再びお会いすることなく関係が途切れてしまう人には、第一印象がそのままあなたの印象として相手に残ります。割り切って考えると、二度とお会いすることがないような場合は、多少第一印象が悪かったとしても、ご縁がなかったとしてあきらめもつくのですが、今後関係性を続けなければいけないような場合は、相手にどう思われるかでビジネスの展開も変わってくるものです。

しかし、最初に持った印象は、時間と共に変わっていくことがあります。ここまで、初対面で信頼されるには、第一印象とその後の印象が大きく変わらないことが一番だとお伝えしてきましたが、そうではない場合も実は多くあるのです。

第一印象が多少悪くても、共にする時間が長くなることによって印象が好転していく場合、それを「第二印象」と呼びます。第一印象が、会話をする前のパッと見た印象だとするならば、第二印象は言葉を交わした後の印象です。「実際話をしてみると、見た目と違って誠実だった」というようなケースです。

さらに、人間関係が続いていくと、第三者の評価が加わってきます。ビジネスシーンでよく見られる、「第三印象」と呼ばれるものです。これは、初対面の印象はあまりよくなくて、話をしてみてもやっぱりどこか合わないんだけど、部長が「あいつは感じはよくないんだけど、仕事ができるから困ったことがあったらあいつに相談すればいいよ」と言っているようなケースです。第三者の評価が高い場合、それに影響されてよい印象に変わるのです。

私が客室乗務員として乗務を始めた頃のことです。まだ新人で仕事の要領もつかめず、毎回緊張してあたふたとフライトしていたのですが、今でも強烈に印象に残っている上司に、ある男性チーフパーサーがいます。客室乗務員は、基本的に1年間は同じメンバーでフライトをするというグループ制なのですが、配属されたグループでそのチーフパーサーに初めてご挨拶をしたとき、その方はニコリともせず、交わす言葉も少なく、初対面の印象は最悪なものでした。

このチーフと1年間一緒にフライトしなければいけないのかと思うだけで憂鬱な気持ちになったものです。数か月経っても、仕事上の最低限の会話は交わしますが、それ以外はあまり話しかけることができないほど、悪い第一印象は変わらないまま。

第一印象は最悪、話す機会が増えた状況での第二印象も悪いままでしたが、そのチーフパーサーはお客様の評判がとてもよいのです。そして客室業務に必要な知識が豊富で、業務以外のさまざまな情報や知識にも精通している博学なチーフでした。同じグループの先輩たちの評判も決して悪いものではありませんでした。

「チーフは自分からはあまり話しかけたりしないからとっつきにくいところがあるけど、なんでもよくご存じで、学ぶところが多いのよ」と口をそろえて言うのです。これが、第三印象です。第一印象、第二印象と印象が積み重なり、そこに周囲の評価が加わって第三印象になることで、親近効果と言われる最後の印象になっていきます。

あなたの印象は、あくまでも相手が判断することです。常に誠実に、真摯に相手と向き合っていると、相手のあなたに対する印象も変わってきます。あなたの印象は日々の振る舞いの積み重ねで成り立っているのです。

山本 洋子

株式会社CCI 代表取締役

人財育成コンサルタント・キャリアコンサルタント・元JAL国際線チーフパーサー・客室マネージャー

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