47都道府県「教員の給与」ランキング…会社員より「月収が10万円」高くても悲鳴。戦線離脱者が激増の「キツすぎる学校現場」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月31日 7時15分
※写真はイメージです/PIXTA
どこまでが仕事で、どこまでがプライベートか……線引きが難しい教員は、残業代として一律給与に上乗せされていますが、待遇改善として引き上げらえることがきまりました。ただ教員を取り巻く諸問題を給与の引き上げで解決とならないか……現場からは不安の声もちらほら。
教員の「残業代に代わる上乗せ額」引き上げへ
公立学校の教員は勤務時間の線引きができないため、残業代に代わり「教職調整額」として月給の4%を上乗せすることになっています。今回、処遇改善を目指し、政府は2026年1月から、現行から1%増の5%とし、2030年度までに段階的に10%にする方針を固めました。
引き上げ額については、一度に13%まで引き上げたいという文部科学省と、時間外勤務の削減などに応じて段階的に10%への引き上げを目指すという財務省との間で意見が対立していました。
どちらにせよ、過重労働により下降の一途を辿っていた教員人気に歯止めがかかると期待されています。ただ、現場の教員からはこんな声も。
――上乗せ額を増やせば教員人気が復活するなんて、あまりに浅はか。教員は給与はもらっているほうだと思いますよ。問題はそこじゃない。お金では、どうにもならないところまで来ているという危機感が上にはない
40代・東京都の男性教員、いらだちを隠せません。発言にもあったとおり、教員の給与は決して安くはありません。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、正社員の平均給与は月収で33万6,300円、年収で544万8,800円。一方、職種別に平均給与をみていくと、高校教員は月収で42万5,200円、年収で681万3,200円、小・中学校教員は月収で40万8,100円、年収で645万2,500円。145職種中、高校教員は10位、小・中学校教員は14位です。正社員の平均給与よりもだいぶ高く、職種別でも「稼げる職業」といえるでしょう。そのようななか、多少残業代が上乗せされたからといって教員になりたいという人が増えるとは思えないという現場の声は、至極真っ当な意見です。
都道府県別「教員の平均給与」&「教員の退職金」
せっかくなので、教員の給与をさらに深堀り。続いて、都道府県別にみていきましょう。47の都道府県のうち、最も平均給与が高いのは「東京都」。平均月収44万0,614円。「鹿児島県」「岩手県」「福島県」「兵庫県」と続きます。一方、最も給与が安いのは「石川県」で39万0,306円。「富山県」「佐賀県」「奈良県」「岐阜県」と続きます(関連記事:『【ランキング】47都道府県「教員の給与」…〈令和5年地方公務員給与実態調査〉』)。
【都道府県「教員の平均給与」上位5、下位5】
1位:東京都…44万0,614円
2位:鹿児島県…43万2,594円
3位:岩手県…42万6,554円
4位:福島県…42万6,462円
5位:兵庫県…42万6,193円
----------------------------------
43位:岐阜県…40万1,123円
44位:奈良県…39万8,211円
45位:佐賀県…39万5,119円
46位:富山県…39万2,112円
47位:石川県…39万0,306円
トップと47位では月に5万円、年間60万円ほどの給与差があります。地域によって物価などが異なるので一概に比べることはできませんが、同じ教員であっても地域によって給与差があるようです。
もうひとつ、退職金についてもみていきましょう。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、全体平均が約2,037万円(勤続35年以上の大卒者の場合)。大企業・大卒平均が約2,648万円、中小企業・大卒平均が約1,031万円です。「結構な金額をもらっていなぁ」と思うかもしれませんが、全員がもらえるわけではありません。退職金制度がある企業の割合は74.9%。つまり4人に1人は定年まで勤めても、退職金はゼロ円です。
そんななか、定年まで勤めあげた教員であれば、現行制度では必ず退職金を受け取れます。都道府県別にみていくと、全退職者の退職金平均額が最も高いのは「三重県」で2,050.7万円。「徳島県」「秋田県」「大分県」「島根県」と続きます(関連記事:『【ランキング】47都道府県「教員の定年退職金」…〈令和5年地方公務員給与実態調査〉』)。
一方、60歳定年退職者の平均退職金が最も高いのは「兵庫県」で2,312.8万円。「岡山県」「三重県」「静岡県」「京都府」と続きます。一方で最も安いのは「沖縄県」で2100.1万円。トップと47位で200万円ほどの差が生じています。
地域によって差はあるものの、教員は一般的なサラリーマンより「よい給与をもらっている」といえることがわかりました。そのようななか、冒頭にあるとおり、「残業代として基本給に一律上乗せしているけど、それでは足りないみたいだから、上乗せ額を引き上げよう」という動き。「上乗せされないよりもされたほうが嬉しいけれど」とどこか釈然としない顔の教員たちがいます。
文部科学省の調査によると、2023年度に精神疾患を理由に休職した公立学校の教員は7119人に達し、これは前年度から580人増加したことが明らかになりました。この数字は、1979年の統計開始以来、過去最多となります。精神疾患による休職者は全教員の0.77%を占めており、特に20代の教員ではその割合が2.11%に上ります。また休職の主な要因としては、「児童・生徒に対する指導」が26.5%、「職場の対人関係」23.6%、「学校運営や事務作業」が13.2%など。
給与の引き上げによって、過酷を極める学校現場の改革がおざなりになってしまうのではないか……教員たちの不安はさらに大きくなっています。
[参考資料]
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