47都道府県「年金受給額」最新ランキング…1位と最下位に生じる「衝撃の年金格差」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月2日 5時15分
※写真はイメージです/PIXTA
厚生労働省『令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』が発表され、最新の年金受給の実態が明らかになりました。今どきの年金受給者の現況を紐解いていきましょう。
統計データが示す最新「年金」の受給状況
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員が対象となる「厚生年金保険」の二層構造で成り立っています。
国民年金は職業によって第1号被保険者(農業者、自営業者、学生、無職など)、第2号被保険者(会社員、公務員など)、第3号被保険者(第2号被保険者に扶養される配偶者)に分類されます。
第1号と第3号被保険者は国民年金に加入し、第2号被保険者は国民年金と厚生年金の両方に加入します。第1号被保険者は自ら保険料を支払いますが、第2号被保険者は勤務先を通じて給与から天引きされます。第3号被保険者は第2号被保険者の制度により、保険料の負担がなくなります。
2023年末時点の被保険者は6,745万人。国民年金第1号被保険者は1,387万人、国民年金2号被保険者は4,672万人、国民年金第3号被保険者は686万人でした。過去5年の推移をみていくと、第1号被保険者は4.5%減。第3号被保険者は16.3%減。そのぶん、厚生年金保険加入者が増加しました。
公的年金受給者は、延べ人数で7,747万人。重複のない受給権者数は3,978万人。厚生年金保険(第1号) 受給者数は3,622万人で、そのうち老齢年金受給者は1,572万人。平均年金月額は併給の国民年金と合わせて平均14万7,360円。前年から2,300円ほど増えました。また厚生年金保険(第1号) 老齢年金受給権者の平均年金月額は65歳以上男性で16万9,484円、女性で11万1,479円。ともに昨年より増えています。
国民年金受給者数は3,626万人。平均年金月額は5万7,700円。前年から1,200円ほど増えました。また2023年度、国民年金の受給額は満額で月6万6,050円。平均受取額は満額の87%程度です。
都道府県別にみる、最新「年金」の受給状況
続いて47の都道府県別に年金の受取額をみていきましょう(関連記事:『【ランキング】47都道府県「年金受給額」…〈令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況〉』)。
老齢厚生年金受給者の平均受給月額が最も多いのは「神奈川県」で、併給の国民年金も合わせて16万6,578円。2位以下は「千葉県」「東京都」「奈良県」「埼玉県」と続きます。一方で最も平均受給月額が少ないのは「青森県」で12万4,383円でした。その差月4万2,195円。1年で50万円もの差が生じています。老後の生活を支える公的年金。地域によって物価に差はありますが、年間50万円の差はかなりの大きさです。
【都道府県「厚生年金受給額」上位5、下位5】
1位:神奈川県…16万6,578円
2位:千葉県…16万1,368円
3位:東京都…15万9,921円
4位:奈良県…15万8,862円
5位:埼玉県…15万8,003円
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43位:山形県…12万7,133円
44位:宮崎県…12万5,499円
45位:秋田県…12万5,476円
46位:沖縄県…12万5,435円
47位:青森県…12万4,383円
また、老齢基礎年金受給者の平均受給月額が最も多いのは「富山県」で6万1,220円。最も少ないのは「沖縄県」で5万2,837円。「富山県」は満額の92%の受給額、「沖縄県」は86%の受給額でした。
【都道府県「国民年金受給額」上位5、下位5】
1位:富山県:6万1,220円
2位:福井県:6万0,532円
3位:島根県:6万0,497円
4位:長野県:6万0,262円
5位:石川県:6万0,170円
-------------------------------
43位:高知県:56,268円
44位:和歌山県:56,067円
45位:大阪府:55,463円
46位:青森県:55,369円
47位:沖縄県:52,837円
多様化する老後の生活…年金の受取り開始時期にも変化
老後の生活を支える公的年金。理想は年金だけで生活できることですが、元会社員・公務員で、月14万円ほどの年金だと心許ない。そこで昨今おススメされているのが、「繰下げ受給」です。原則、65歳から受け取り開始となる老齢年金ですが、66~75歳の希望のタイミングまで受取り開始時期を遅らせることができます(昭和27年4月1日以前生まれの場合は上限70歳)。1ヵ月遅らせるごとに65歳時点の年金から0.7%アップ。最大84%受取額を増やすことができます。
そんな年金の繰下げ受給を選択している人は、厚生年金受給権者で44万5,178人。これは全体の1.6%にあたります。過去5年間の推移をみていくと、0.8%→1.0%→1.2%→1.3%→1.6%と着実に増えています。
また、年金を早く受け取る代わりに0.4%減額(昭和37年4月1日以前生まれの場合は0.5%)となる繰上げ受給を選択している人は25万9,815人。これは全体の0.9%にあたります。また過去5年の推移をみていくと、0.4%→0.5%→0.6%→0.7%→0.9%と、こちらも着実に増えています。
月年金受給額を増やしたいと繰下げ受給を選ぶ人。一方で、月受取額が減ってもいいから早く年金をもらいたいと年金の繰上げ受給を選ぶ人。どちらも増加傾向。働ける年齢が引き上げとなり、老後の生活は多様化しています。それに伴い、いつから年金を受け取るかという選択も人それぞれ、多様化しているようです。
年金を元に、どのような老後を描くか……しっかりとイメージしておくことが肝心です。
[参考資料]
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