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教育費の日米比較、アメリカでは所得控除の対象なのに…これでは日本脱出もやむを得ない?

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月12日 11時15分

教育費の日米比較、アメリカでは所得控除の対象なのに…これでは日本脱出もやむを得ない?

(画像はイメージです/PIXTA)

アメリカは日本に比べて教育費の非課税措置制度が充実しています。若者の将来を守る教育費からは税金を取らないというのがアメリカのスタンスです。わずかしかない控除枠から積みあがる相続財産。日本にも教育費を控除する制度が生まれ、一時は生前贈与の新たなプロセスと注目が集まりましたが…税金国際税務のプロフェッショナルが教育費の観点から日本の富裕層課税の実態を解説します。

毎年増加する「相続財産」

日本では毎年100兆円の個人金融資産が積み上げられ、相続財産も年々増加しています。

そのため年々厳しくなる相続税対策として、控除枠を活用した生前贈与の手法が取られます。

日本の贈与税の制度は複雑です。暦年課税贈与(110万円の基礎控除)と相続時精算課税(2,500万円の特別控除)があり、さらに暦年課税贈与には、直系尊属の場合「特別税率」それ以外の場合、特別税率よりも税率の高い「一般税率」が適用されます。

そんななか、華々しい登場を飾ったのが、祖父母などからの教育資金の一括贈与を受けた場合に1,500万円まで贈与税が非課税となる制度です。

非課税措置が欧米より少ない

日本は教育費についての非課税措置が欧米に比べて極端に少ないです。

アメリカは「教育費」に関する所得税控除制度が豊富です。一方、日本はどうでしょうか。

この制度は安倍内閣時代に期限付きで実施され、改正と延長を繰り返しています。

令和5年度の税制改正では、この租税特別措置法70条の2の2の「父母・祖父母等の直系尊属が30歳未満の子・孫へ教育資金を信託党等により贈与した場合の1,500万円までの非課税措置」について、受贈者である子・孫が30歳に達した場合、1,500万円の贈与を教育資金に使い切っていない場合、残額に対して贈与税が課されるとされています。このとき適用される税率は「一般税率」です。

また、贈与者である父母・祖父母が亡くなった時点で、教育資金贈与を子・孫が使いきっていない場合は、その時点で子・孫に「相続税」がかかり、孫などが法定相続人でなく、23歳未満の学生などでない場合には、相続税の2割加算が行われます。

しかも令和5年度の税制改正で、同年4月1日から相続財産が5億円以上である場合には、学生であったとしても2割加算が行われるとされています。

所得のない学生の孫にどこからそのお金を払えと言うのでしょうか。おそらく親が払え、ということなのでしょう。

年々、厳しくなる相続税と富裕層課税。華々しい登場を飾った教育資金贈与の非課税制度もやはり欧米に比べると厳しいように思えてしまいます。

日本脱出を考える富裕層が増えるのは間違いないと思います。

税理士法人奥村会計事務所 代表

奥村眞吾

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