1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

年金15万円・75歳の母「子に迷惑をかけたくない」と老人ホーム入居、5年目の悲劇。娘への深夜の電話で「もう限界」と大号泣したワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月4日 5時15分

年金15万円・75歳の母「子に迷惑をかけたくない」と老人ホーム入居、5年目の悲劇。娘への深夜の電話で「もう限界」と大号泣したワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

介護を必要とする親。以前であれば、家族が面倒をみるというのが一般的でしたが、昨今は「家族には迷惑をかけたくない」という人も多いようです。そんな親心から健康なうちに老人ホームに入居する人も。しかしそんな親に対して子どもは、180度違う感情をもっていることもあるようです。

子どもに負担をかけたくない…元気なうちに介護施設へ

バブル崩壊前の1990年。家族構成としては「三世代世帯」が最も多く、全体の45.9%を占めていました。その後、核家族化が進み、2022年では全世帯のわずか7.1%。最も多いのが「夫婦のみの世帯」で全体の32.1%、次に「単身世帯」が31.8%。家族構成の変化は、親の介護に対する考え方も変えました。

以前は、「親に介護が必要になったら、家族で面倒をみる」というのが一般的でした。核家族化の進行に伴い、そのような考え方は薄れ、「子どもや家族に迷惑をかけたくない」と考える親世代が増えていったのです。

株式会社ダスキンが行った『「親のいま」に関する親子2世代の意識調査』によると、「子どもの負担になりたくないと思いますか?」と親世代に投げかけたところ、97.8%が「負担になりたくない」と回答しています。

岩崎幸子さん(仮名・75歳)も、「子どもの負担になりたくない」と、老人ホームへの入居を決めたひとり。岩崎さんの家族は、夫、義理の両親、そして三人の娘たちの7人家族。しかし、夫は定年を迎える前に心筋梗塞で急逝してしまいました。幸子さんが60代になるころには、子どもたちはそれぞれ家庭を持ち、自宅では岩崎さんと義理の両親と3人での生活。義理の両親は穏やかで優しい人たちでしたが、2人とも軽度の認知症を患うように。真面目な性格の岩崎さんは「自分が面倒を見なければ」と他人の助けを拒み、10年以上にわたって自宅で介護を続けました。

介護が終わったとき、岩崎さんは70歳になっていました。ようやく自分の時間を持てると思っていましたが、長い介護生活によって腰を痛め、思い描いたような悠々自適な老後生活を実現するのは難しい……そう諦める気持ちもあったといいます。

自分が子どもたちの世話になる日も、そう遠くない……しかし、義理の両親の介護の経験から、同じような思いを子どもたちにさせたくない、という強い気持ちが芽生えたといいます。そんなときに目にしたのが老人ホームの新聞広告でした。

理想の「老人ホーム」を見つけた70歳母、5年後のまさかの顛末

老人ホームは介護を必要とする人が入る施設。そういうイメージでしたが、広告を見る限り、介護を必要としない健康な人でも入ることができそう――いろいろ調べてみると、ひと口に老人ホームといっても様々な種類があり、なかには健康な人でないと入れないホームもあることを知りました。

――老人ホームであれば、健康な今でも入居できるし、介護が必要になっても子どもたちに迷惑をかけないのではないか

そう考え、老人ホームを探し始め、「ここっ!」という施設を見つけました。入居一時金は800万円、月額費用は18万円。月々の年金の受取額は15万円ほどだという岩崎さん。予算的にもぴったりだったといいます。立地は自宅から車で30分ほど。子どもや孫が訪れた際、宿泊できるゲストルームがあることもポイントでした。またホームでは基本的に要介護2まで対応。それ以上になった場合は、系列の施設や病院に転居・転院できるという点も、今後を考えると安心の材料だったといいます。

入居から5年。途中コロナ禍があり、家族とも会えない寂しい日々もありましたが、ホームのスタッフが全力でフォローしてくれたと岩崎さん。あの未曽有の危機を乗り越えられたのは、この老人ホームに入居したからというほど、ホームのスタッフには感謝の気持ちでいっぱいだといいます。

ところが、事態は急変。ある夜、長女の携帯電話に電話を掛けた岩崎さん。電話に出た長女は真夜中の電話にドキッとしたようで、「どうしたの、お母さん?」と心配したような雰囲気。一方、岩崎さんは長女の声を聞いて何かがプツンと切れたのか、とめどなく涙が出てきたといいます。言葉を発しようとしても、なかなか言葉になりません。このときは「なんでもないよ、ごめんね」といって電話を切ったといいます。

翌朝、昨夜の電話で心配になった長女が、岩崎さんが入居する老人ホームへ。長女はホームに着くなり唖然とした様子でした。以前、面会に来たときとは180度違う雰囲気で、長女いわく「廃墟かと思った」といいます。

実はホームは経営難に陥り、さらに待遇への不満から多くの職員が退職。岩崎さんが感謝を口にしていた職員も、みんな辞めてしまったといいます。そしてこの1ヵ月でサービスは著しく低下し、さらに清掃も行き届かず荒れ放題に。昨今の物価高などにより経営難に陥る介護施設が増加。また恒常的な人材不足も、業界の大きな課題となっています。

もうここにいるのは限界……そんな思いから、昨夜は電話をしてしまったのです。

――なんでこんなになるまで我慢するのよ!

「子どもたちには心配をかけたくなかったから」という親心。しかし娘たちとして「家族なんだから頼ってほしい」というのが本音だったようです。長女はそのまま岩崎さんを連れ出し、そのまま老人ホームを退去。しばらくは自宅にも戻らず、長女の家で暮らすといいます。

[参考資料]

内閣府『令和6年版高齢社会白書』

株式会社ダスキン『「親のいま」に関する親子2世代の意識調査』

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください