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せっかくいい大学に行かせたのに…〈年金月7万円〉67歳・毒母、慶大卒・商社勤務の娘からの仕送り〈月15万円〉で謳歌していた“羽振りのいい老後”が突如終焉。発端は年の瀬に届いた「戦慄のLINE」【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月30日 11時15分

せっかくいい大学に行かせたのに…〈年金月7万円〉67歳・毒母、慶大卒・商社勤務の娘からの仕送り〈月15万円〉で謳歌していた“羽振りのいい老後”が突如終焉。発端は年の瀬に届いた「戦慄のLINE」【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

「いい子に育ってほしい」というのは、子を持つ親皆の願いです。しかし、自身のコンプレックスや過去の悔しい思いから「理想」を押しつけ、「理想でない状態はダメな子だ」と子どもをコントロールするようになると、「虐待」や「毒親」の危険がはらんできます。友里さん(仮名)が毒親になった理由も、自身のコンプレックスにありました……。ファイナンシャルプランナーの辻本剛士氏が、そんな友里さんが「破産危機」に陥った原因と解決策について解説します。

自身の“学歴コンプ”から「毒親」になってしまった友里さん

石川県金沢市で生まれ育った矢沢友里さん(仮名)は、高校を卒業後に東京へ上京。大手住宅メーカーの事務職として就職し、20代で同じ職場の男性と結婚しました。一男一女(悠太さん・美希さん。ともに仮名)を授かり、その後は専業主婦として家庭を築きました。

友里さんは懸命に子育てをする一方で、子どもたちに対して、特に教育において厳しいしつけをする一面がありました。

「あの大学以下は許さない」「一流の大学に入ることが親孝行」……こうして厳しい言葉をかける背景には、自身が大学に進学できなかったことに対する強いコンプレックスがありました。

子どもたちは小学生のうちから週4日も塾に通わされ、家でも勉強する姿を見せないと機嫌を損ねます。休憩中にテレビを見ているだけで「勉強しなさい」と怒鳴られることも珍しくありませんでした。

どれだけいい成績を残しても、「Aさん家はいつもこれぐらいの点数らしいわ。もっと頑張りなさい」と周囲の優秀な生徒と比較されるばかりで、決して褒められることはありません。

友里さんの夫は、このような厳しい教育方針に反発。「いいすぎだろう。のびのび遊ぶことも子どもの役目じゃないのか」というと、友里さんは「なんにもわかってないのね。あなたは努力もしないで行きたい大学に行けたからそんなこと言えるんでしょうけど」と言い返します。

子どもを叱るどころか、夫婦で激しい口論になることも増え、やがて夫は家に帰る日が少なくなりました。

そして、長女の美希さんが高校を卒業するタイミングで、夫は別の女性を作って家を出ていってしまいました。ただし幸いにも、銀行口座は友里さんが管理していたため、当面の教育資金は確保されていました。

長女が「自慢の大学」に進学するも…

離婚後、女手ひとつで2人の子どもを育てることになった友里さん。教育に対する厳しい姿勢は変わらず、父がいなくなったことで子どもたちにとってはさらに強いプレッシャーがかかるようになりました。

悠太さんは、関東圏の中堅国公立大に合格しましたが、友里さんの「レベル」には到達しなかったことから、仮面浪人を強いられます。大学進学後も、自由時間なく勉強させられるストレスに耐えられなくなった悠太さんは、結局大学を中退。一般企業に就職しました。

その後息子は結婚して子ども3人をもうけましたが、就職を機に実家を出てから現在に至るまで、友里さんとはほとんど連絡を取っていないようです。

一方、長女の美希さんは友里さんの期待を一身に背負い、見事慶應大学への入学を果たしました。しかし、名門私立大学であるゆえ、入学金や授業料、通学費といった多額の教育費がかかります。

離婚後も教育費に糸目をつけず子どもたちを支えてきた友里さんの家計は、すでに“火の車”。友里さんは貯金をかき集め、美希さんの学費を捻出しました。

それでもすべての費用を賄うことは難しく、足りない授業料や教科書代、通学費は奨学金を活用し、なお不足する部分は美希さん自身がアルバイトをして補填しました。

「いい大学」に入ったのに…友里さんがなおも「執着」する理由

友里さんは、長女が周囲に自慢できるような有名大に入ったことが誇らしい一方で、なんとしてでも娘を無事に大学から卒業させ、有名企業に就職させることに執着しています。「子どもをいい大学に入れる」という目的は果たされたはずですが、一体なぜなのでしょう。

その理由は単純です。美希さんは自身の老後の蓄えを十分にしておらず、「娘が就職したら経済的に面倒を見てもらおう」と企んでいたからです。

友里さんにとって、これまで注ぎ込んできた多額の教育費は「投資」。はじめから、将来子どもたちから支援を受けることを見越して支払っていたのです。

「ここまでやったんだから、面倒を見てもらえるのは当然」……こうした思いが、彼女のなかで確固たるものとなっていました。

大手総合商社に就職した美希さんに、友里さんがした「驚きの要求」

美希さんは、大学生活の4年間、勉強とアルバイトに追われる日々を過ごしました。学費を少しでも補うために、週末や夜間もアルバイトに明け暮れ、勉強は深夜や早朝になります。友達と遊ぶ時間はほとんどありませんでした。どれだけ疲れていても、「ここで頑張らなければ未来がない」と自分に言い聞かせ、ひたすら努力を続けました。

そんな苦労を乗り越え、美希さんは大手総合商社への就職を決めました。この知らせを聞いた友里さんは大喜びです。「これで老後も安泰ね!」

美希さんの就職先は誰もが知る一流企業で、1年目の年収は500万円と、若手社員としてはかなりの高水準です。これを知った友里さんは、美希さんに給料が振り込まれるなり、こういいました。「毎月15万円、仕送りをお願いね」。

美希さんは内心、「まだこの人に貢がなくちゃいけないのか」と嫌悪感をもよおしましたが、反発してもムダだと思い、その提案を受け入れました。

すると、友里さんは驚くことに、長年続けてきた仕事を辞めてしまったのです。「これで、娘の仕送りだけで生きていけるわね」。

友里さんは美希さんからの「仕送り」を生活費に使うだけでなく、余った分は自身の趣味やちょっとした贅沢に使うようになりました。

もう、限界です…38歳になった長女から来た「戦慄のLINE」

月日が経ち、67歳を迎えた友里さんは、65歳から受給している毎月7万円の年金と、美希さんからの仕送り15万円で、なに不自由ない生活を送っていました。高級スーパーでの買い物や、趣味に時間を費やす日々も、もう慣れたものです。「あのとき苦労してお金をかけた甲斐があったわ」……羽振りのいい暮らしは、友里さんにとっては“幸せそのもの”でした。

しかし、その年の暮れ、友里さんが買い物袋を両手に提げて家に帰ると、リビングがやりすぎなほど綺麗に片付けられています。友里さんが驚いていると、ポケットからLINEの通知音が鳴りました。

メッセージの送り手は、娘の美希さんでした。

「このたび結婚することになりました。お相手は同僚の方で、アメリカ人です。今後は海外で生活することになるので、これ以上仕送りをすることはありません」。

「これまで勉強ばかり強いられ、褒められることもなく、いつも叱責されるばかり。あのころのことは忘れられないし、今も、これからも、許すことはないと思います。そして、社会人になったあとも当然のように仕送りを要求するあなたに、ずっとうんざりしていました。もう、限界です。この連絡をもって、親子の縁を切らせていただきます」。

ずっということを聞いてくれていた長女からの思わぬ「反撃」に、最後の一文を読み終えた友里さんは絶句。しばらく呆然と立ち尽くすしかありませんでした。

その後、美希さんからの連絡は途絶えました。毎月1日に振り込まれていた15万円の仕送りもなくなり、友里さんの生活は一変します。

「月7万円で生活なんてできない。家のことも全部彼女に任せていた。貯金もほとんどないし、どうすれば……」

今後の生活の見通しが立たず、途方に暮れる友里さんです。

窮地に陥った友里さんに、“金銭的”な解決策

今回の事例における問題点は、友里さんが美希さんからの仕送りに頼り切り、働くことも貯蓄もせずに生活を続けていた点です。

今回は美希さんが海外移住することをきっかけに仕送りが途絶えましたが、美希さん自身の病気やケガ、転職や退職、考え方の変化など、仕送りが途絶えるタイミングはいくらでもありました。

仕送りを受けているあいだにその一部を貯蓄に回すなど、将来のリスクに備えた対策を講じておけば、ここまで深刻な状況に陥ることは避けられたはずです。

現在の友里さんに対する金銭面の対策としては、FPや行政に相談することが賢明な選択でしょう。

特に行政が提供する「生活困窮者自立支援制度※1」では、無料で相談を受け付けており、以下のような支援を提供しています。

・ライフプランの作成や家計改善のアドバイス

・貸付制度や就業支援

この制度は平成27年に施行され、生活保護を受給していないものの困窮している人や、自立が見込まれる人を支援する目的で設けられたものです。

また、年金受給者であっても、年金額が最低生活費を下回る場合には、生活保護の対象となる可能性があります。生活保護※2は、国が定める最低生活費を下回る収入の方に支給される制度です。友里さんのように、年金だけでは生活が成り立たない場合には、生活保護の申請を検討することができます。

生活保護の申請については、お住まいの区の福祉事務所に連絡を取ることで手続きを進められるでしょう。生活が困難な状況に直面した場合、1人で抱え込まず、早めに専門家や行政のサポートを受けることが、生活を立て直すための第一歩となります。

<参考・出典> ※1 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html)

※2 厚生労働省「生活保護を申請したい方へ」 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsuhogopage.html)  

辻本 剛士 ファイナンシャルプランナー

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