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そんな、ウチの子に限ってまさか…年収1,000万円の59歳・定年直前サラリーマン、溺愛する21歳ひとり娘の“久々の帰省”に大喜び→目の前が真っ暗になった、娘からの「衝撃告白」【CFPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月17日 11時15分

そんな、ウチの子に限ってまさか…年収1,000万円の59歳・定年直前サラリーマン、溺愛する21歳ひとり娘の“久々の帰省”に大喜び→目の前が真っ暗になった、娘からの「衝撃告白」【CFPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

人生100年時代のいま、長い老後生活を見据えてライフプランを立てている人も少なくないでしょう。しかし、収入も退職金も十分にあり「老後は安泰だろう」と思っていても、“予想外の事態”は起きるもの。とある家庭の事例をもとに、家計の破綻危機を回避する方法についてみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

学校行事は常に最前列…ひとり娘を溺愛していたAさん

会社員のAさんは、現在59歳です。3歳年下で専業主婦の妻Bさんと、都内近郊にある戸建て住宅に暮らしています。

2人にはAさんが38歳、Bさんが35歳のころに生まれたひとり娘のCさんがいます。2人はなかなか子宝に恵まれなかったこともあり、特に父AさんのCさんに対する溺愛ぶりは近所でも有名でした。

Cさんが中学を卒業するまでは、運動会や文化祭などの学校行事に必ず出席していたAさん。常に保護者席の最前列を確保し、持参したビデオカメラで愛娘の姿を余すことなく撮影します。思春期になったCさんは何度も「パパ、うざい! ストーカーみたいだからやめて!」と懇願しましたが、Aさんの“行事皆勤賞”はCさんが高校に入学するまで続きました。

また、Aさんは「娘にはさまざまな経験をしてほしい」と、幼いころからピアノや水泳、学習塾といったさまざまな習いごとをさせてきました。

反抗期のCさんは、こうしたAさんの“愛情”を嫌がり「一刻も早く家を出たい」と猛勉強。都内の大学に合格し、1人暮らしをスタートさせました。

「年末年始、帰るよ~」…愛娘の“久々の帰省”に大喜び

娘が実家から出てしまい寂しくなったAさんは、大学に入った娘に「1人暮らしは大変だろうから、週末はなるべく帰ってきなさい」と要求。

入学当初は、ホームシックもあり、Aさんの言うとおり電車で片道1時間以上かけて毎週のように帰省していたCさんでしたが、徐々に大学生活にも慣れ、帰省する頻度は減少。前年の正月に顔を出したきり、直近の夏休みも帰っていませんでした。

そんなCさんから、久しぶりにAさんに連絡が入りました。

「年末年始、帰るよ~」

1年ぶりに愛娘が帰ってくる! Aさんは大喜びです。

当日、Aさんは仕事のため、妻のBさんが車で最寄り駅まで迎えに行くことになりました。

Aさんは会社を定時ぴったりに退社し、自宅でわが子の帰りを待ちます。しかし、BさんとCさんはなかなか帰ってきません。

「2人で買い物でもしているんだろうか。それにしても遅いな……」

Aさんが待ちくたびれていると、ようやく玄関のドアが開きました。2人が帰ってきたようです。

パパ、あのね…?娘からの「衝撃告白」に失神寸前

「パパ、久しぶり……」

久しぶりに会う娘はどこか浮かない表情で、少しふっくらしたように見えます。

なにはともあれ、待ちに待った家族3人そろっての夕食です。

「C、大学生活はどうだ? 次は4年生だもんなあ、インターンには行ったのか?」

Aさんが矢継ぎ早に近況を尋ねますが、Cさんは生返事です。

会話が途絶えたところで、Cさんは意を決したように口を開きました。

「パパ? あのね、怒らないで聞いてほしいんだけど……。実は、子どもができたの」

娘からの突然の告白に衝撃を受け、唖然とするAさん。ただ、頭ごなしに怒鳴ってはいけないと、なんとか笑顔を崩さずに返します。

「……えっ!? ちょ、ちょっと待って、どういうこと。うちの可愛い娘の旦那になる幸せ者は、いったいどこのどいつだ!?」

すると、Cさんは、涙を流しながら次のように言いました。

「SNSでね、趣味のアカウントがあって、すっごく気の合う人がいたの。会ってみたいって言われて会ったら、けっこう年上の男性でびっくりしたんだけど。でも優しいし、何回か会ってたら、そういう感じになって……。でも、まさか妊娠するとは思ってなくて、だけどうれしい気持ちもあったから『妊娠した』ってLINEしたら、そこから連絡が返ってこなくなって……。あたしは付き合ってるって思ってたから、結婚とかまではいかなくても、守ってくれると思ってたんだけど……」

「そんな、ウチの子に限ってまさか……」

ショックで目の前が真っ暗になったAさんは、言葉が出てきません。

するとBさんが、Cさんに「ほら、Cが思ってること、ちゃんとパパに言いなさい」と促しました。

「シングルマザーでも、この子を産んで育てたい」

Cさんはうつむきながらも、はっきりとそう言いました。

まだ21歳のCさんが、たった1人で思い悩んでいたのかと思うと、AさんはCさんが不憫でなりません。3人の長い沈黙が続いたあと、Aさんは娘に自分の部屋で休むように言い、Bさんが付き添っていきました。

Cさんが眠りについたあと、リビングに戻ったBさんに、Aさんは本音をこぼします。

「許せない……どうにかして相手と連絡をとることはできないのか? 責任はとってもらわないと。娘はああ言っているが、どうにか説得しておろしてもらうことはできないだろうか?」

「そうね……。私も初めて聞いたときはめまいがして倒れそうになったわ。でも、あの子がよく考えて出した結論だから、尊重してあげてほしい」

「う~ん、そうか……」

身勝手な行動をとった相手への怒りが止まらず、事実をなかなか受け止められないAさんでした。

これからどうしよう…AさんとBさんの老後計画は“白紙”に

翌日、3人は今後のことについて、長い時間をかけて話し合い、次のような結論を出しました。

・出産~出産後1年が経つまではCさんは実家で暮らし、生まれてくる子の育児に専念する

・その後は徐々に自立する

・大学について、休学も考えたが現実的ではないので退学する

・生まれてくる子の父親は探さないし会わない

ところで、59歳のAさんは、あと1年で定年を迎えます。もともと、65歳まではいまの会社に再雇用され、その後は夫婦でゆっくり暮らすプランを立てていました。

しかし、娘が出産するとなると、徐々に自立を目指すとはいえその後も一緒に暮らすかもしれませんし、Cさんと孫に対して金銭的な援助も必要になるでしょう。夫婦の老後計画が大きく狂う可能性は否めません。

ひとまず金銭面だけでも今後の見通しを立てて安心したいと考えた夫婦は、以前Aさんの勤務先でセミナーを行ったFPのもとを訪れました。

Cさんが“働かないまま”だと、80歳前後で「老後破産」危機に

A夫婦から今後の家計収支について聞き取りを行い、下記のようにまとめました。

<現在>

Aさん:59歳、Bさん:56歳

<貯蓄>

約500万円

<収入>

■Aさんが60歳になるまで

 →年収1,000万円(月額74万円+ボーナス)

■60歳(定年退職)

 →退職金(退職一時金)1,500万円+企業年金月額5万円   ※企業年金は80歳まで。

■60歳~65歳まで

 →年収500万円(いまの会社に5年間再雇用。月額41.6万円)

■65歳~67歳まで

 →Aさんの老齢厚生年金(月27万円)+企業年金(月5万円)=月32万円

■68歳~80歳まで

 →Bさんが65歳になり、夫婦の老齢厚生年金(月31万円)+Aさんの企業年金(月5万円)=月36万円

■80歳以降~

 →企業年金が終了。夫婦の老齢厚生年金月31万円

<支出>

■消費支出

 →月約35万円(60歳以降、急激な増減は発生しないと仮定)

■税金・社会保険料

 →現在、約20万円が毎月給与から天引きされている。

  ・60歳~65歳まで:約9万円が毎月給与から天引き。

  ・65歳以降:月約4万円から3万5,000円に減少の見込み。

夫婦は自宅の住宅ローンをすでに完済しています。また、大学3年生のCさんのため、もともとは残り1年分の学費・仕送り分として約250万円を想定していました。これはそのまま孫の出産と育児費用にあてます。

ただし、Cさんが自立せず、娘と孫の生活費や孫の教育費もA夫婦が負担するということになると、Aさんが80歳前後、孫が大学に入学するころに夫婦の家計は破綻しかねません。

しかし、言い換えれば、Cさんが生活費と子どもの教育費分働くことができれば、Cさんと孫が実家を出ていかず同居することになっても、夫婦の家計は成立します。

とはいえ、当面A家は出費が重なるため、固定費を見直すなど無駄な支出を減らすことは必須といえます。また、退職後予定していた車の買い替えや旅行、家のリフォームといった一連の計画は、Cさんの生活が落ち着くまでは、最小限に留める必要がありそうです。

Cさん自身は、都度母子自立支援員への相談などを行いながら、ひとり親家庭の就業支援制度の利用をしながら、自立を目指していく必要があります。

AさんとBさんができること

Cさんはまずは無事に出産を終えることが大事です。そして、その子を育てながら、これからの生き方を徐々に決めていくことになるでしょう。

家計の見直しももちろん重要ですが、A夫婦と同様、Cさん自身も大きなショックを受けていると推察されます。今後は、愛するCさんを“愛娘”としてではなく、生まれてくる孫の“母”として、適切にサポートすることが必要になってくるでしょう。

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員

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