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銀行「申し訳ありませんが、お手続きできません」…〈年金16万円・80歳母〉と同居する〈62歳長男〉、母の口座凍結に悲鳴「この先、どう生きていけと?」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月8日 5時15分

銀行「申し訳ありませんが、お手続きできません」…〈年金16万円・80歳母〉と同居する〈62歳長男〉、母の口座凍結に悲鳴「この先、どう生きていけと?」

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化とともに「親の介護問題」に直面する人は年々増加傾向にあります。なかには親が認知症を患い、「目が離せない!」と介護離職を選択するケースも。ときには思いもしないトラブルに直面するケースもあるようです。

認知症の母を介護する長男…生活費は母の年金を充てにしていたが

実家で80歳になる母と暮らす、小林和彦さん(仮名・62歳・未婚)。仕事を辞めたのは2年前。60歳の定年後も引き続き働くつもりでしたが断念しました。

――当時、母は実家でひとり暮らしをしていたのですが、モノをなくして「どこにやったか知らないか?」などと連絡が来るようになったのです。様子がおかしいので病院に連れて行ったら認知症と診断されました

大きなショックを受けた小林さん。それ以上に、母・本人がショックを受けていたといいます。そばにいてあげたい、しかし、年金受給が始まる5年の間、収入がなくなるのは怖い……いろいろと考えた結果、母に寄り添うことを選びました。

――母は亡くなった父の遺族年金を含め、月16万円ほどの年金をもらっていました。私も多少は貯金もありましたし、親子2人くらいであれば、母の年金だけでも暮らせるだろうと考えたんです

同居を始めた当初は、直前の出来事を忘れたり、同じことを何度も聞き返したり、そのような程度でしたが、診断から2年ほど経った現在では、住所や電話番号が言えなくなったり、場所や日付がわからなくなったり。外を出たまま帰ってこられなくなり、警察に保護されることもあるといいます。

認知症の症状が進行するなか、事件は起きます。聞いたことのない法律事務所から1通の手紙が届いたのです。その内容は「母親の成年後見人に選任されたため、通帳等を引き渡してほしい」というもの。新手の詐欺か……と思い、放っておいたという小林さん。しかし、次の年金受給日に思いもしない事態に直面します。

――母の口座が凍結されていたんです。銀行員に聞いても「申し訳ありませんが、お手続きできません」の一点張りで、思わず「年金なしにどう生きていけというんだ!」と怒鳴ってしまいました。完全に冷静さを失っていましたね

実は仲の悪い姉がいるという小林さん。実家とも疎遠で、ほとんど顔を合わせることがないといいます。

――私には後見のことは知らせないようにといろいろ理由を並べて、裁判所も丸め込んだのでしょう。母の世話もしないのに、なぜこんな嫌がらせを……

重要性高まる「成年後見人制度」だが、問題点もいろいろ

判断能力が不十分な人々を支援するための成年後見制度。家庭裁判所によって選任された後見人が、本人の代わりに法律行為や財産管理を行うことを目的としています。具体的には以下のような役割を果たします。

財産管理:後見人は本人の預貯金や不動産などの財産を管理し、必要に応じて契約を締結します

生活支援:後見人は本人の生活状況を考慮し、必要な医療や福祉サービスを受けられるように手配します

権利擁護:判断能力が低下した本人が詐欺や不正行為の被害に遭わないように保護します

成年後見制度の利用は、「①必要な書類を整え、家庭裁判所に申立てを行う」「②裁判所が後見人の選任を決定する」「③選任された後見人は、本人の財産や生活状況を確認し、必要な手続きを行う」というプロセスを踏みます。

裁判所『成年後見関係事件の概況―令和5年1月~12月―』によると、成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始および任意後見監督人任事件)の申立件数は合計で40,951件。そのうち終局事件合計40,665件で、95.3%が認容となっています。また申立人については、市区町村長が最も多く全体の約23.6%を占め、次いで本人(約22.2%)、本人の子(約20.0%)の順。また本人は80歳以上が多く、男性の35.5%、女性の63.7%を占めます。

超高齢社会に突入し、認知症患者の増加に伴い、成年後見制度の重要性が高まっています。しかし、制度には横領リスクや費用の問題、後見人の選任に関する不透明さなどの課題も存在します。特に後見人が家族でない場合、信頼性や適切な管理が求められます。

裁判所『後見人等による不正事例』によると、2023年、後見人等による不正事例は184件発生。被害額は約7億円。1件あたり380万円もの被害となっています。

今回、裁判所は同居する小林さんに事前照会を行いませんでした。裁判所にそう思わせた(虚偽の)理由があったはずです。申立以外の人が一度出た審判を覆すことは非常に困難なので、まずは後見人に就任した法律事務所の誤解を解くことが第一歩となりそうです。

[参考資料]

厚生労働省『成年後見制度とは』

裁判所『成年後見関係事件の概況―令和5年1月~12月―』

裁判所『後見人等による不正事例』

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