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「手取り27万円」…ますます拡大する「経済格差」に戦慄。知らぬうちに中流から脱落する「平均的サラリーマン」の悲惨

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月8日 17時15分

「手取り27万円」…ますます拡大する「経済格差」に戦慄。知らぬうちに中流から脱落する「平均的サラリーマン」の悲惨

(※写真はイメージです/PIXTA)

円高に30年以上にも及ぶ経済の停滞。日本の地位低下が叫ばれているなか、私たちの給与もあがる気配はありません。このまま日本全体が沈んでいく……多くの人がそんなイメージを抱いている一方で、180度異なる景色をみている人たちも。本当の日本の姿は?

日本の存在感の減退が止まらない

昨年12月、内閣府は2023年の「日本のドル建て1人当たりの名目GDP」が3万3,849ドルという試算を公表しました。これはOECD(経済協力開発機構)加盟38ヵ国中22番目。2022年の順位が日韓で入れ替わっており、2年連続でお隣の韓国を下回っています。

日本の「ドル建て1人当たりの名目GDP」の順位低下については、いくつかの要因があげられています。

まず「円安の影響」。円安が進行したことで、ドル換算のGDPが圧迫され、国際的な比較において日本の経済力が低下したとされています。

次に「経済成長の鈍化」。日本経済は高齢化や労働生産性の低下といった構造的な問題に直面しています。これにより、経済成長が鈍化し、名目GDPの増加が抑制されています。特に2023年の名目GDPは前年比で約0.8%減少しました。これに対し、韓国はGDPの基準を改定し、過去のデータを上方修正したため、相対的に日本を上回る結果となりました。

さらに「国際競争力の低下」。日本の名目GDPは国際的な競争力の低下を反映しています。2023年の日本の名目GDPは4兆2137億ドルで、世界のGDPに占める割合は4.0%にとどまり、過去の水準から大幅に縮小しています。特に労働生産性がOECD加盟国のなかで29位と低く、これが経済成長を制約しているとの指摘もあります。

IMF(国際通貨基金)の統計に基づく「ドル建て1人当たりの名目GDP」についてみていくと、日本は世界の34位。さらにその推移をみていくと、30年ほど前の1995年、日本のドル建て1人当たりの名目GDPは4万4,210米ドルで世界3位。2000年には3万9,173米ドルで世界2位となりました。そこから世界順位は転げ落ちるように下がり続けています。

【2023年「ドル建て1人当たりの名目GDP」世界上位10】

1位「ルクセンブルク」129,810

2位「アイルランド」103,466

3位「スイス」101,510

4位「ノルウェー」87,703

5位「シンガポール」84,734

6位「アイスランド」83,485

7位「米国」82,715

8位「カタール」69,541

9位「マカオ」69,080

10位「デンマーク」68,619

※出所:IMF 資料:GLOBAL NOTE

※単位はすべてUS$

上流意識が高まる…「日本人の本当の姿」

2023年の名目GDPは、日本が4.23兆ドル、ドイツが4.43兆ドルと日本を上回り、世界3位の経済大国の座を明け渡し、大きな話題になりました。名目GDPはドル建て換算して比較すると為替レートの影響を大きく受けますが、「失われた30年」といわれるように、日本経済自体が停滞を続けているのは事実です。

さらに私たちの給与も悲惨なことになっています。厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、最新となる昨年10月の月間現金給与額は29万2,430円で前年比2.2%増。一般労働者では37万4,161円で2.5%増、パートタイプ労働者では10万9,925円で3.4%増でした。しかし実質賃金は前年比マイナス0.4%減。インフレ率が賃金増を上回り、実質給与減となっています。

実質賃金は昨年6月に27ヵ月ぶりに前年を上回り、さらにその翌月も前年比プラスを記録。2年以上に及ぶ賃金減の悪夢から抜け出せるかと思いきや、8月には再び実質賃金はマイナスを記録しています。春闘で「賃金アップ!」と叫ばれていましたが、ベースアップには至らず。一時的に賞与で還元したため、賃金増に見えただけだったわけです。肌感覚としては賃金減は続いており、その状態がいよいよ3年に及びそうです。

このようにみていくと、まるで日本全体が沈みかけているように思えてきますが、現実は違うようです。内閣府による「国民生活に関する世論調査(令和6年8月調査)」によると、「あなたのご家庭の生活の程度は、世間一般から見て、どうですか」の問いに対して、「上」と回答したのが1.7%、「中の上」が14.2%、「中の中」が46.7%、「中の下」が28.1%、「下」が8.7%。89.0%が「中」と回答し、まさに日本人の大多数が「自分は中流」と自覚しています。

しかし経年でみていくと、昨今は変化がみられます。1964年の調査開始以来、50%台(調査年によっては60%台)だった「中の中」は2020年代に入り40%台に。一方、近年増えているのが「上」と「中の上」。20年前と比較すると、2004年、「上」は0.7%、「中の上」は9.6%だったのが、それぞれ1ポイント、4.6ポイント上昇。一方、「中の中」は6ポイントほど減少しています。つまり少数派ではあるものの、中流から上流へとランクを上げている人がいる一方で、中流から脱落している人も……昨今、経済格差が拡大しています。

野村総合研究所によると、日本の富裕層(純金融資産保有額が1億円以上)は148.5万世帯。2005年は86.5万世帯だったので、この20年で「お金持ち」は1.7倍に。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員)の平均給与は月収で36.3万円、賞与も含めた年収が596.9万円。手取りにすると月27万円、年460万円ほど。お金持ちが増加している一方で、「給与、上がらないなぁ」とボヤキが止まらない平均的なサラリーマンは中流からも脱落……それが日本の本当の姿なのかもしれません。

[参考資料]

厚生労働省『毎月勤労統計調査』

内閣府『国民生活に関する世論調査(令和6年8月調査)』

株式会社野村総合研究所『野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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