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家を守るのは嫁の務めなのに…義父の葬儀より自分の仕事を優先した〈バリキャリ嫁〉に〈63歳義母〉が怒り心頭。密かに計画している「嫁への制裁」の中身とは?【相続の専門家が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月10日 10時15分

家を守るのは嫁の務めなのに…義父の葬儀より自分の仕事を優先した〈バリキャリ嫁〉に〈63歳義母〉が怒り心頭。密かに計画している「嫁への制裁」の中身とは?【相続の専門家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

自分の財産を息子の嫁に渡したくない場合には、どうすればいいでしょうか。民事信託契約をすれば、財産の流れを変えることができます。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、民事信託について詳しく解説します。

夫が亡くなった

絵里子さん(63歳・女性)の夫は商社に勤務し、営業の第一線として活躍してこられました。海外勤務も長く、都度、絵里子さんも同行して夫を支えてきました。

夫は定年を目前にして体調を崩し、病院で検査したところ、がんを告知されて入院し治療をしてきました。

幸い、抗がん剤治療が功を奏し、退院後は仕事の現場に復帰して、また海外出張をこなすなど以前と変わらぬ仕事ぶりで夫も絵里子さんも本当に安堵したといいますが、やはり、1年後に再発。結果、告知されてから3年目に亡くなってしまったのです。

夫の相続手続きは一人息子と絵里子さんの2人ですので、全財産を絵里子さんが相続するという形ですることができ、ようやく落ち着いたというのですが、これからのことで絵里子さんが一人で相談に来られました。

息子夫婦に頼れない

一人息子は現在30歳。すでに結婚しており、結婚式は夫の病気が発覚する前に済ませていましたので、夫も喜んでいて、よかったということです。ところが問題が発覚したのは夫の葬儀のときだといいます。

絵里子さんが喪主、次に一人息子、その次は息子の妻が親族に近いところですので、一番近いところで絵里子さんや息子に寄り添って、協力することは当たり前のように思えるのですが、息子の妻は通夜も告別式もギリギリまで仕事をしていて、絵里子さんの神経を逆なでるような態度だったのです。息子は自分の妻に強く言う性格ではないため、結果、義父の葬儀よりも自分の仕事を優先する結果となりました。このことが絵里子さんにとって許しがたい出来事だったのです。

思い返せば、絵里子さんは義父が亡くなった際は夫の赴任先のイギリスからいち早くすっ飛んで帰国し、義母を支えました。それが嫁の務めだと思ったからです。

しかし、息子の妻は「さすが昭和の女ですね!」と笑い飛ばし、「いやー、お義母さんのことは尊敬しますけれど、私にはできないですね。そもそもうちは私も働かないとやっていけないので。まあ、仕事は大好きなのでいいんですけれどね。駐妻っていってただ海外で呑気に暮らしていたお義母さんが羨ましいです」と絵里子さんのことをどこかバカにした態度をとるのです。

というわけで、夫の葬儀の一件で絵里子さんはこれまでたまっていた不満が爆発。直接嫁に言ったところ、「葬儀のサポートなんて私じゃなくてもいいじゃないですか。でも仕事は私しかできないんです」と突っぱね、その後の納骨や一周忌も顔を見せることはなく、息子だけが実家に帰ってきたのです。

絵里子さんは「この家を守ってきたのは私よ。私だって結婚で仕事を辞めたけれど本当は辞めたくなかった。元・駐在員の妻の意地を見せてやるわ!」と息巻いています。

民事信託であればできる

民事信託とは、財産を持っている人【委託者】が、財産を管理してくれる人【受託者】に財産を預け、その財産から得られる利益を受ける人【受益者】を設定する契約です。

民事信託を利用して、一人息子の妻に財産を渡さないようにすることは、一定の条件下では可能です。ただし、信託設計の際に慎重に考慮すべき点がいくつかあります。具体的な方法や留意すべき点について、以下に説明します。

1. 信託契約における受益者の指定 民事信託では、信託契約の中で財産を管理・運用・分配する「受益者」を指定することができます。もし息子に財産を渡したいが、その妻に渡したくない場合、以下のような方法で対策を講じることができます。

a. 受益者として息子のみを指定する 信託財産を受け取る受益者として、息子だけを指定し、妻を受益者に含めないようにします。この場合、息子が信託財産の利益を受け取ることになりますが、妻が受益者に含まれない限り、妻に直接的に財産を渡すことはありません。

b. 息子が受益者であり、妻が受益者に含まれないようにする 信託の内容を工夫して、例えば「息子が生存している間のみ受益者で、息子の死亡後は受益権が終了する」などの条項を設け、息子が亡くなった場合には財産が別の相続人に移るようにすることもできます。これにより、息子の妻が財産を受け取らないようにすることが可能です。

2. 信託の設計と制約条件 信託契約において、特定の条件を付けて、息子の妻に財産を渡さないようにする方法もあります。

a. 「妻に渡さない」明確な指示を加える 信託契約において、「息子の妻には財産を渡さない」という具体的な指示を含めることができます。例えば、息子が亡くなった場合、妻に直接的に財産が渡ることを避けるために、財産が次の世代(例えば、息子の子ども)に引き継がれるように設定することができます。

b. 息子の妻を受益者から除外する 信託契約において、息子の妻を受益者として指定せず、息子のみが受益者として指定されている場合、妻には直接財産が渡りません。また、息子が亡くなった際に、財産が他の相続人(例えば息子の子どもなど)に渡るように設計することも可能です。

3. 信託財産の「条件付き」受益 信託契約において、受益者が特定の条件を満たさない限り財産を受け取れないように設定することも可能です。例えば、「息子が亡くなった場合、妻が再婚しないことを条件に受益者として財産を受け取る」といった条件を設けることもできます。

4. 財産の運用と管理の監視 信託契約を通じて、信託財産がどのように管理・運用されるか、また最終的にどのように分配されるかを詳細に指定できます。例えば、受託者に対して、息子の妻に財産を渡さないように監視する義務を与えることができます。この方法では、信託の設計次第で柔軟な対応が可能となります。

5. 遺留分の問題 ただし、民事信託を利用しても、**遺留分(法律上の最低限の相続分)**については注意が必要です。遺留分とは、法定相続人(特に配偶者や子ども)が最低限受け取るべき遺産の割合であり、これを完全に無視することはできません。たとえば、息子の妻が遺留分権者となる場合、信託契約で財産を全て除外してしまうと、妻が遺留分を主張する可能性があります。

遺留分に関する具体的な対策は、遺留分放棄を含めた法的手段が必要ですので、専門家と相談しながら信託契約を設計することをお勧めします。

6. 民事信託における注意点 民事信託を設計する際には、以下の点にも注意が必要です:

法律に基づいた信託契約: 民事信託の契約が有効であり、法的に適切な形で作成されることが重要です。

受託者の選定: 信託契約においては、信託の内容を適切に遂行するために信頼できる受託者(個人または法人)を選定することが必要です。

結論 民事信託を利用することで、息子の妻に財産を渡さないようにすることは可能です。具体的には、信託の受益者を息子に限定したり、息子の妻を受益者から除外する形で設計することができます。ただし、遺留分に関する問題や信託契約の適切な設計が重要となるため、信託を設定する際には法律の専門家に相談することを強くお勧めします。

◆相続実務士のアドバイス

●できる対策

民事信託契約をすれば、息子に相続、その後、その配偶者へという流れは変えられる。自分の考えが実現できる。

●注意ポイント

不動産や金融資産の名義が受託者に変わり、自分ではなく受託者が実務を担当することを理解する必要がある。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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