77歳男性「年金月5万円」「家賃月2万5,000円」の極貧生活。年金機構から「年金月4,000円増」の知らせに思わず悪態「これでどうしろと?」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月10日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
国民年金の満額受給は月6万8,000円。会社員や公務員であれば、さらに厚生年金が上乗せとなります。しかし、誰もが十分な年金を受け取れるわけではなく、なかには思いもせず低年金の人も。そんな人を対象に「年金生活者支援給付金制度」もありますが、この物価高の世の中では、雀の涙程度にしかならないようです。
77歳男性、人生の誤算…年金保険料10年近く未納
家賃2万5,000円の公営団地で暮らす金子隆さん(仮名・77歳)。高校を卒業後に就職した会社はバブル後、金子さんが50代になる前に突然倒産。その後は就職先が見つからず、職を転々としてきました。これまでを振り返ると「ろくな人生じゃない」と吐き捨てます。
――人生の一番の誤算は、30年近く勤めていた会社がろくでもなかったことかな
と金子さん。会社が倒産してから、実は年金保険料がしっかりと払われていなかったことが発覚したといいます。
――自分もろくでもない人間だから、働いていた会社もろくでもなかったということかな。きちんと給与明細を見ていたらわかっていたのかもしれないけど、老後のことなんて気にしているような人も少なかったからな
今ほど老後に対しての不安がなかった時代。年金保険料の未払いについても、今ほど厳格ではありませんでした。また50代前ということで、老後に対する意識も薄かったことも、年金保険料未払いに気づかなかった要因かもしれません。
【老後生活に対して不安感を覚えている人の割合】
1981年…20.3%
1985年…27.4%
1990年…32.8%
1995年…37.1%
2001年…47.1%
2005年…48.3%
2010年…52.4%
2015年…55.7%
2021年…58.5%
2022年…63.5%
2023年…63.6%
2024年…62.8%
※出所:内閣府『国民生活に関する世論調査』より
結局、10年近くあった保険料滞納分は埋めることができず、現在の年金受給額は月5万1,000円ほど。もちろん月5万円では生活することはできず、年金を受け取り始めてからも働き続けていたといいます。
――直近、工場で働いていたときは、手取りで月15万円くらいになっていたかな。ひとりで暮らしていくのなら十分だよね
年金に上乗せとなる「年金生活者支援給付金」ではとても…
高齢者になっても生活のために働く。しかし、いずれは限界が来るもの。金子さんも足腰が悪くなり、工場での仕事に限界を感じるようになり、昨年退職。給与収入は途絶え、生活費は年金月5万円ほどだけ。
――やっぱり、70を超えると、病院が友だちになってさ。食費に光熱費に家賃に、さらに薬代だろ。とてもじゃないけど生きていけないよ
【受療率(人口10万対)】
60~64歳…7,157
65~69歳…9,225
70~74歳…10,897
75~79歳…13,231
80~84歳…14,962
85~89歳…15,896
90歳以上…16,296
※出所:厚生労働省『令和5年患者調査』
さらに、昨今の物価高が金子さんの生活をさらに苦しめます。
――米だけ食っておけば、と思うけど、米だって最近はすごく高い。こんなに貧乏なのに、何を食べて生きていけというのか……
総務省『小売物価統計調査』によると、最新2024年11月、お米5kgの価格は全国平均3,627円。前年同月比168%。金子さんが怒るのも無理はありません。
金子さんのように低年金等の収入が一定基準額以下の高齢者には「年金生活者支援給付金」が年金に上乗せして支給されます。これは消費税率引き上げ分を活用し、生活の支援を図ることを目的としたもので、「①65歳以上の老齢基礎年金の受給者」「②同一世帯の全員が市町村民税非課税」「③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれは88万9,300円以下、昭和31年4月1日以前生まれは88万7,700円以下」と、3つの条件をクリアした人が対象となります。
対象となる人には日本年金機構から緑色の封筒に入った「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届くので、必要事項を記入のうえ、返送するのみ。その後、審査結果の通知が届き、2ヵ月に1回の年金振込日に、いつもの年金に上乗せされ支給されます。金子さんの場合、その額、4,000円。
――月4,000円だよ、それで何が変わるってんだい。もらえるもんはもらっておくけど、こんな金額じゃ生活はどうにもならないよ
年金にプラスαされる給付金。少額でもありがたいものではあるものの、思わず悪態をついてしまうほど、年金生活者の生活は困窮。内閣府の調査では、高齢者の3割が「家計にゆとりがなく心配」と回答。さらに7.5%の人は「家計が苦しく非常に心配」と回答しています。
――明日、どう生きるかも心配になる老後になるとは夢にも思わなかったよ
[参考資料]
この記事に関連するニュース
-
〈年金月29万円〉〈アルバイト月10万円〉だったが、夫急逝で年金生活崩壊「もう家賃は払えない…」65歳妻、号泣と苦悩の果てに決断した最終手段
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月29日 5時15分
-
あれっ、あの人辞めたんじゃないの?…月収60万円・貯金3,500万円だった58歳元サラリーマン「喜んで早期退職」も、1年後に“半ベソで出戻り”のワケ【CFPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月27日 11時15分
-
老後は田舎暮らしを決め込んでいたが…夫を亡くし「年金は国民年金だけ」と悲観に暮れる66歳妻、年金機構から届いた「緑色の封筒」に涙したワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月18日 5時15分
-
「子どもにお金で世話になりたくない」という60歳の父。貯金は300万円ですが、援助なしで老後の生活ができるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月14日 23時0分
-
年金は「平均受給額くらいもらえればいいや」と思っている30代男性です。平均額をもらうには年収がいくらであるべきですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月14日 4時0分
ランキング
-
1太陽光パネル大量廃棄2030年問題に挑む 強力接着剤を分離、再利用可能にする装置開発
産経ニュース / 2025年1月10日 11時0分
-
2「GINZA SIX」が新規13店舗をオープン、どう変わる?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月10日 7時10分
-
32025年、世界を揺るがすトランプ関税。日本の投資家が備えるべきリスクシナリオとは…第一生命経済研究所・永濱利廣氏に聞く
Finasee / 2025年1月10日 12時0分
-
4「上司の指示を聞かない」「失敗を隠す」など、ほとんどの企業に存在する「やらかし社員」...経営層の6割以上が採用段階で、「やらかし社員」を見極めることが難しいと吐露
@Press / 2025年1月10日 11時0分
-
5AI売上高「30%」に引き上げへ、「取り組まなければパナソニックが化石になる」…楠見雄規社長に危機感
読売新聞 / 2025年1月10日 13時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください