年金月20万円・75歳母の「大丈夫」を信じた48歳のひとり息子だったが…ある夜の緊急電話に仰天、駆けつけた病院でみた「母の変貌ぶり」に衝撃
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月13日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
父(母)が亡くなり、実家では母(父)がひとり暮らし……子どもとしては心配でたまらないでしょう。そんな子どもに対して親は「大丈夫」というもの。また「本当に大丈夫」かは子どもにはわからない、というのもお決まりのパターンのようです。
実家でひとり暮らしの母を心配し過ぎるひとり息子
松本健一さん(仮名・48歳)。3年前からがんで闘病を続けてきました78歳の父親が逝去しました。葬儀は本人の意向で身内だけのこぢんまりとしたものでしたが、しっかりと送ることができたといいます。ただ心配なのは、ひとり残された母・順子(仮名・75歳)さんのこと。東京で暮らす健一さん。実家には飛行機を使い、片道6時間以上かかります。そこで高齢の母がひとり暮らし……不安だけが募ります。
健一さんの家族にも相談のうえ、同居を提案しましたが、「東京なんかで暮らせない」と拒否。健一さんには他に兄弟はいないので、どうすることもできません。高齢ですから健康のことが一番心配ですが、昨今は物騒な事件も多いですから、防犯のことも気がかりです。
法務省『令和5年版犯罪白書』によると、高齢者が被害者となる犯罪件数は、全体の刑法犯認知件数が減少するなかで、特に高齢者の被害割合は増加傾向にあります。2019年には、高齢者の被害件数は約9万2,000件で、全体の12.3%。たとえば窃盗被害に関しては被害者の56.3%、また詐欺事件は被害者の19.0%を高齢者が占めています。特に特殊詐欺の被害者に占める高齢者の割合は83.7%に達しており、70歳以上の女性が多く被害に遭っています
――大丈夫。ホームセキュリティだっけ!? 家にはあれをいれているし。鍵もきちんとかけてるし。詐欺にも気を付けてるよ
心配ご無用といった返事。それでも不安なので、見守り家電をいくつか購入し、実家に設置し(葬儀から)帰ってきたといいます。まだまだ心配はつきません。健一さんの家でも昨今の物価高にはうんざりしているところ。まして年金で暮らす高齢者の暮らしは、厳しいものがあります。
――大丈夫。お父さんの遺族年金もあるし。年金、20万円にもなるんだよ
確かに月18万円の年金があれば、高齢者のひとり暮らし(家は持ち家)、経済的な問題はないでしょうか。「何かあったら、遠慮なくいいなよ」というと、「心配し過ぎなんだよ、健一は」と、これまた心配ご無用といった感じだったといいます。
「お母さんが倒れた!」…朝一の飛行機で病院に駆けつけると
父親が亡くなってからしばらく経ったある夜のこと。健一さんは、近所に住む親戚から、「かあちゃん(順子さん)が倒れた」という連絡を受けました。翌朝、朝一の飛行機に乗り、順子さんが入院したという病院へ。そこには痩せ細った順子さんの姿がありました。
――なんでこんなに痩せ細って……
あまりの変貌ぶりに衝撃を受けた健一さん。連絡をしてくれた親戚から話を聞くと、おかずを作りすぎたからとおすそ分けしに訪ねたら、リビングで倒れている順子さんを発見したとか。医師からは「栄養障害による貧血」と説明を受けました。そこで親戚が「お金がない、お金がないって……あまり食べられていなかったみたいだから」とひと言。
――えっ、お金がないってどういうこと?
母・順子さんの回復をまってから話を聞いた健一さん。そこで判明したのは「年金は月3万円ほどしかもらっておらず、月18万円というのはウソ」ということ。実は、亡くなった健一さんの父は、保険料納付済期間が25年未満だったため、順子さんは遺族年金を受け取ることができず、受け取れる年金は自身の基礎年金だけだったのです。
「いろいろあって、保険料、払ってないときがあったの」と順子さん。健一さんの父が元気だったころからふたりの年金はわずかで、貯金を取り崩し生活していたといいます。「貯金があればどうにかなる」と楽観的に考えていましたが、父の医療費がかさみ貯金は大きく減少。今では底を尽きそうだといいます。
――節約しなきゃっと思って。削れるところといえば、まずは食費だから……
母・順子さんは常に「大丈夫」と笑顔でいい、人に頼れず頑張りすぎてしまう人でした。しかしながら、そんなに困っていたとはまったく気づかなかった健一さん。「なんで言ってくれないの?」「なんで年金月20万円だなんて、嘘をついたの?」と厳しい口調でいうと、「住宅ローンの返済に、教育費に……健一だって大変だろう?」と順子さん。
――そんなに頼りがいがないのか、俺は
そう思うと情けなく、涙が出てきたといいます。
厚生労働省『令和4年 年金制度基礎調査』によると、老齢基礎年金だけもらっている人は約650万人、厚生年金ももらっている人は3,300万人。また同省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、年金月額3万円未満という人は、国民年金受給者の3.27%、厚生年金受給者の0.68%。割合にするとほんのわずかですが、数にすると全国に45万人ほどいる計算となりまります。
事実を知った以上、ほっておくわけにはいかない健一さん。順子さんの回復をまって、一度、東京の自宅に連れていきたいといいます。
[参考資料]
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