年収640万円・53歳会社員、「推し活」に全振りで貯金ゼロ。独身ライフを謳歌していたが…日本年金機構から届いたハガキに驚愕「手遅れになるところでした」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月13日 9時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
自分の稼ぎを好きなように使えるのは独身の特権です。しかし、ある程度の年齢になったら老後のことも視野に入れて計画性を持たないと、先々苦しむことになるかもしれません。今回は自由を謳歌してきた独身貴族の男性を通して、年金額のリアルをご紹介します。
推し活に惜しみなくお金を投入「生きがいだから」
生き方が多様化する現代。2020年国勢調査における男女の生涯未婚率(50歳時)は男性28.3%、女性17.8%になっています。未婚の理由はさまざまですが、行動や生き方が制限されずに自由でいられるというのは1つの利点でしょう。
実際、加藤和弘さん(仮名・53歳)が独身を貫く理由がこれでした。加藤さんは年収640万円、中小企業に勤めるサラリーマンです。
もともとハマりやすいタイプで若い時からさまざまな趣味を持っていた加藤さんですが、ここ十数年は次々出てくるアイドルの中から推しを見つけ応援する「推し活」に夢中でした。
加藤さんの推しは1人ではなく常に複数いて、それぞれのイベントに足しげく通います。全国ツアーがあれば仕事の調整ができる限り遠征し、旅費だけで年間100万円以上使うのは当たり前。写真を一緒に撮ったり、グッズを買ったり、「生きがいだから」と出費を惜しみません。
使った金額を加藤さん自身はいちいち計算していませんでしたが、銀行の残高はいつもギリギリ。給料やボーナスが入ったら、そのまま推し活に注ぎ込んでいました。誰にも遠慮をすることのない暮らしを加藤さんは謳歌していたのです。
老後が頭をよぎることもありましたが、「宵越しのカネはもたない」というのが若い時からの考え方。しかも、それなりに稼いできたので、年金も普通にもらえて生活苦になることはないだろうと心配はしていませんでした。
しかし、53歳の誕生月に届いた一通の知らせが加藤さんの意識を一転させることになります。
老後の暮らしを支える「年金」の現実
それは、日本年金機構から届いた「ねんきん定期便」のハガキでした。これまで届いても放置して捨ててしまっていたそのハガキを、初めてちゃんと見てみようという気になった加藤さん。
そこには、このまま働き続けた場合の年金見込み額は月あたり15万円程度と言った内容が記載されていました。
その金額をじっと見て、はじめて「これは相当厳しいぞ」と感じた加藤さん。月15万円では家賃と水道光熱費、食費だけで吹き飛んでしまいます。とても趣味どころではありません。
人と比べても低い年収ではないと考えていたので、無意識にもっともらえると思っていましたが、現実はそうではなかったのです。
それでも、この事実に今気づいてよかったと加藤さんは感じました。これに60歳を過ぎてから気づいたら、いったいどうなっていたのか……。
これまで使った金額を考えると「もしかしたら小さな家を買えたかも」とも思う加藤さんですが、後悔はしていません。しかし、これからは老後の事を考え、地道に貯金をしなくては気持ちを切り替えたといいます。
「手遅れにならなくてよかった」
もともと没頭しやすい加藤さんは、資産運用について猛勉強をはじめ、推し活もほどほどに楽しみながら老後資金を準備し始めたといいます。
会社員がもらえるのは老齢基礎年金6万8,000円+α
公的年金は2階建てで、自営業者がもらえるのは1階部分の老齢基礎年金のみ。会社員や公務員だった人は、それに加えて2階部分の老齢厚生年金を受け取れます。
2024年度の老齢基礎年金は満額の場合で月6万8,000円。一方、老齢厚生年金は現役時代の収入によって異なります。
下記は、厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」を基にして算出した年齢別の平均年収と、60歳までずっと平均年収を稼いだ仮定した場合の年金見込み額(老齢基礎年金+老齢厚生年金)です。
●年齢別の平均年収
20~24歳 344万8,500円 25~29歳 428万6,100円 30~34歳 484万2,700円 35~39歳 540万9,100円 40~44歳 581万円 45~49歳 613万800円 50~54歳 645万2,000円 55~59歳 660万9,700円
(厚生労働省『令和5年 賃金構造基本統計調査』より)
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●会社員だった人が受け取れる年金見込み額(一例)
月14万8,680円
※60歳定年まで上の平均年収を受け取った場合の老齢基礎年金(月6万8,000円) +老齢厚生年金(月8万680円)の合計額
いかがでしょうか? もちろんこれは一例ですが、「平均年収程度は稼いできた」と考える人にとって、十分満足できる金額とはいえないかもしれません。
金額が少ないと感じたら、年金生活に入る前に節約をしたり、資産運用をしたり、副業をしたりと手を打つことができます。そのためには、年金額の現実を知ることが必要で、そのきっかけになるのが「ねんきん定期便」なのです。
加藤さんほど趣味にのめり込んでいなくても、20代・30代と同じ感覚でお金を使い続けていたりすると、老後に苦しむことになるかもしれません。もし、ねんきん定期便なんて見たことない……という人がいたら、今年こそチェックしてみましょう。
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