「なにかの罰でしょうか」78歳・年金ゼロ円の女性…これから訪れる「無年金時代」の生き抜き方
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月14日 18時30分
(※写真はイメージです/PIXTA)
老後資金の不安は尽きないものですが、現在、高齢者の100人に1人は「年金収入なし」である事実をご存じでしょうか。20〜30代の方のなかには、「そもそも期待していない」「もらえるものと思っていない」という方もいらっしゃいますが…。厚生労働省『令和5年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』などとともにみていきましょう。
年金が全く受け取れない「無年金者」の存在
厚生年金の平均受給額は月14万円ほどですが、年金が全く受け取れない「無年金者」が存在します。
厚生労働省の調査によると、無年金者の数は49万人にのぼります。65歳以上の人口が約3,600万人ですから、「無年金率」は約1.3%。高齢者の100人に1人は、年金を1円ももらっていないのが現実です。
【年齢別「年金収入なし」の人数】
65~69歳:22,909人
70~74歳:24,596人
75~79歳:163,849人
80~84歳:116,531人
85~89歳:83,336人
90~94歳:49,489人
95~99歳:24,436人
100歳~:5,763人
出所:厚生労働省『令和5年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』より
【田中さんのケース:年金ゼロ円の悲惨】
田中さん(仮名/78歳・女性)は、地方の小さなアパートで一人暮らしをしています。若い頃から結婚や家庭の事情で働く機会が少なく、年金保険料を十分に納めることができませんでした。結果として、彼女は年金受給資格を満たさず、現在は年金ゼロ円の生活を送っています。
「なにかの罰が当たったんでしょうか」と田中さんは呟きます。収入のほとんどはわずかな貯金を取り崩すことで賄われており、生活費をやりくりするのが毎日の課題です。家賃や光熱費、食費を支払うだけで精一杯で、医療費や緊急の出費には対応できない状況です。
前述のとおり、田中さんのような無年金者は、実は少なくありません。特に昭和36年4月から昭和61年3月までの期間は、国民年金への加入が任意であったため、現在の高齢者には無年金の人が多いと言われています。
現在、日本国内に居住している20歳以上60歳未満は、国民年金に加入しなければなりません。しかし年金保険料の払込期間が短いと、国民年金を受給することはできません。その期間というのが10年(120ヵ月)です。
払込期間が短くなる理由としては、「困窮のため保険料が払えなかった」「そもそも保険料を払う意思がなかった」などのほかに、「海外生活が長く、保険料を払う機会がなかった」といったことも挙げられます。
60歳を超えた場合でも、60~70歳までは国民年金に任意加入することができます。もし払込期間が足りないことが分かったら、利用するというのもひとつの手段です。
これから訪れる「無年金時代」に備える方法
現状、無年金の人は徐々に減少傾向にあるとされていますが、現役世代には別の問題があるというのもまた事実です。
20〜30代の方からは、年金について「そもそも期待していない」「もらえるものと思っていない」といった声もちらほら。
これから訪れる「無年金リスクが増加する時代」に備えることは急務です。無年金リスクを軽減し、安心した老後を迎えるための対策としては、以下が挙げられます。
ライフプランの見直し:結婚や出産、介護などのライフイベントを見据えた計画を立てることが重要です。特に女性は、働く期間が短くなる傾向があるため、ライフプランの中で年金の確保を念頭に置く必要があります。
副収入を得る手段を確保する:年金だけに頼らず、副収入を得る手段を確保しておくことも重要です。フリーランスや在宅ワーク、副業など、複数の収入源を持つことで、リスクを分散することができます。
貯蓄と投資のバランス:年金だけでは老後の生活費を賄いきれない場合に備え、若い頃からの貯蓄や投資を検討することが重要です。積立投資やNISAを活用し、資産を増やす努力をしましょう。
福祉制度の利用:無年金状態に陥った場合でも、国や自治体の福祉制度を活用することで支援を受けることができます。生活保護や医療費助成など、自分が利用できる制度を把握し、適切に活用しましょう。
ただ、個人の努力だけでは限界があります。無年金者を減らすためには、社会全体での取り組みが必要です。政府や企業、地域社会が協力し合い、以下のような対策を講じることが求められます。
雇用の安定化:非正規雇用の増加に歯止めをかけ、安定した雇用を提供することが重要です。正社員としての雇用を促進し、年金保険料の納付を確実に行えるよう支援する必要があります。
年金制度の簡素化:年金制度を簡素化し、納付期間や受給資格についての理解を深めるための教育や情報提供を行うことが重要です。年金制度の複雑さを解消し、誰でも分かりやすく利用できる制度を目指す必要があります。
支援制度の充実:生活保護や医療費助成などの福祉制度を充実させ、安心して生活できる環境を整えることが必要です。
年金ゼロ円で苦しい生活を送る人々は、今後ますます増加する可能性があります。無年金者が増える背景には、非正規雇用の増加や制度の複雑さなど、さまざまな要因が存在します。しかし、個人の努力や社会全体での取り組みによって、無年金リスクを軽減し、安心した老後を迎えることは可能です。自分自身のライフプランを見直し、適切な対策を講じることで、「無年金時代」に備えましょう。
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