天才イーロン・マスクの「常軌を逸した二面性」…世界のトップに上り詰める人が持つ共通点
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月3日 14時15分
テスラのCEO、X社の執行会長兼CTOとして誰もが知るイーロン・マスクには「先見の明」を持つ天才的な側面がある一方で、リスクを恐れない無謀な一面があるといいます。本記事では、モーガン・ハウセル氏の著書『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方』(三笠書房)より一部を抜粋・編集し、著しく成功した人が持つ二面性についてご紹介します。
イーロン・マスクの常軌を逸した二面性
私が長らく真実だと思ってきたこと、そして、誰もがよく考えれば必ず思い至ることだが、ある一つのことに異常なまでに優れた人は、ほかのことが異常なまでに苦手な場合が多い。あたかも、脳が許容できる知識と感情の量は限られており、異常なスキルがその人の脳から容量を奪ってしまっているかのように。
イーロン・マスクを例に取ろう。
いったいどこの32歳が、GM(ゼネラル・モーターズ)、フォード、NASAを一挙に敵に回そうと思うだろうか? それは完全に常軌を逸した人間だ。一般常識など自分には当てはまらないと考える人。自己中心的だからではなく、純粋に、骨の髄までそう信じている人。たとえば、ツイッター【訳注:現在はX】のマナーなど気にしないような人だ。
火星へ移住するために平気で私財をなげうつような人物は、「大口を叩いたせいで炎上するのではないか」と気にしたりしない。火星の大気中に核爆弾を落としつづけることで火星に人間が住めるようにしようと提案するような人は、「現実離れしたことを言っているかもしれない」と不安になったりしない。
人類はコンピュータのシミュレーションである可能性が99.9999パーセントだと言うような人は、株主に守れもしない約束をして心配したりしない。
仮設テントにテスラ・モデル3の組み立てラインを再構築して数日のうちに、洞窟に閉じ込められたタイの少年サッカーチームを救おうとし、さらにその数日後にミシガン州フリントの水汚染問題の解決を約束するような人は、弁護士の署名を重要な手続きと考えたりはしない。
人々はマスクの「先見の明」のある天才的な側面を愛する一方で、常識にとらわれない独自の考え方で行動する側面は受け入れがたいと思っている。しかし思うに、この2つの側面は切り離せない。この2つは、一人の人間における性格特性の一得一失なのだ。
戦闘機パイロットのジョン・ボイドもそうだった。天才であると同時に、鬼のような社長にもなれたスティーブ・ジョブズもそうだった。ウォルト・ディズニーもそうだった。彼の野望によって、関わったすべての会社は倒産の危機に追い込まれた。
元国家安全保障問題担当大統領補佐官のマクジョージ・バンディは、月に行くなど常軌を逸した目標だと、かつてジョン・F・ケネディ大統領に言った。ケネディはこう答えた。
「不屈の精神がなければ、40代で大統領選に出馬などしないよ」
その人物を本当に「自分の目標」にしてよいか?
以上から、信じられないようなことを成し遂げられる人はたいてい、同じくらい強烈に裏目に出る可能性のあるリスクを取っていることを理解する必要がある。
成功した企業や大国のトップに上り詰めるのは、どんな人だろうか? 決断力があり、楽観的で、ノーと言われても引き下がらず、自分の能力にどこまでも自信があるような人だ。
やりすぎたり、無謀なことに手を出したり、どう見ても明らかなリスクを無視したりするのは、どんな人だろうか? 決断力があり、楽観的で、ノーと言われても引き下がらず、自分の能力にどこまでも自信があるような人だ。
平均回帰【訳注:平均とかけ離れた事象が起こったあとに、かなりの確率で平均に近い事象が起こること】は、歴史上、何度も繰り返し起こっており、経済、市場、国、企業、キャリアなど、あらゆるものを大きく特徴づけている。平均回帰が起こるのは、ある人をトップに押し上げる性格特性が、同時にその人を崖っぷちに追い込む確率を高めるからだ。
このことは、国、とりわけ帝国についてもいえる。さらなる土地を手に入れて勢力を拡大しようとする国が、「よし、もう充分だ。今あるものに感謝し、これ以上他国を侵略するのはやめよう」と言えるような人によって統治されていることは、まずないだろう。彼らは行き詰まるまで進みつづける。小説家のシュテファン・ツヴァイクはこう述べている。
「征服者が征服に飽き飽きした例は、歴史を見てもない」
望みのものを手に入れたからといって、撤退する征服者などいないということだ。
このトピックで最も重要なのは、誰を尊敬すべきか、特に、誰のようになりたいか、誰の真似をしたいか、きちんと見きわめられるようになることだと思う。エンジェル投資家であり、自身も起業家であるナヴァル・ラヴィカントはかつて次のように書いた。
ある日、ふと気づいたのだ。他人の人生のほんの一部だけを切り取って、羨うらやましがることはできないと。この人の体格になりたい、あの人のお金が欲しい、あの人の性格になりたいと言うのは不可能なのだと。丸ごとその人になるしかないのだ。その人の反応、欲望、家族、幸福度、人生観、セルフイメージなど全部ひっくるめて、本当にその人になりたいか? もし、その人と24時間365日、100パーセント入れ替わってもかまわないと思えないなら、嫉妬しても意味がない。誰かの人生を望むか、望まないか。どちらを選択しても大きな力になる。目標とする人を探すときは、その人になりたいかどうか、自分でわかっていればいい。
「あらゆる前提を疑わなければならない。さもなくば、当初は正しい主義だったものが、永遠に独りよがりな思い込みになってしまう」とジョン・ボイドは言った。これこそ、よくも悪くも、常に思い出される哲学だ。
著者:モーガン・ハウセル 翻訳:伊藤みさと
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