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16年前、元妻の宗教を理由に離婚した60歳男性…泣く泣く当時4歳の息子と別れるも、面会拒否で会えず。20歳になった息子から届いた「一通の手紙」に号泣【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月27日 10時45分

16年前、元妻の宗教を理由に離婚した60歳男性…泣く泣く当時4歳の息子と別れるも、面会拒否で会えず。20歳になった息子から届いた「一通の手紙」に号泣【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省の人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、2023(令和5)の離婚件数は18万3,808組。前年の17万9,099組より4,709組増加し、離婚率(人口千対)は1.52で、前年の1.47より上昇しています。また、未成年の子どもがいる離婚件数は、2020年では約11万1,000件で、全体の約6割となっています(内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」より)。本記事ではAさんの事例とともに、子のいる夫婦における離婚の実態について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。

調停離婚しても面会交流叶わず…

子どもが好きなAさんは結婚相談所で知り合った、同じく子ども好きの女性と36歳で結婚。40歳のときに念願叶って男の子を授かりました。しかしながら4年後、妻とは調停離婚することに。最も大きな原因は、妻の家族の宗教でした。

当時、Aさんの息子は4歳。不貞もなく、財布も妻に渡し、休日は家族で過ごすことを第一優先していましたが、義実家とのトラブルが絶えず、夫婦仲はだんだんと悪化。離婚が決まったとき、息子が幼かったこともあり、母親についていったほうがよいという考えに同意して親権は争いませんでした。その代わり、月に1回は必ず会うということを取り決めました。しかしそれが守られたのは最初の4回だけで、以降は会わせてもらえないまま、16年が経過してしまいました。

最初にきちんと決めたから、問題ないなどということはなく、Aさんのケースでは離婚調停が無意味となってしまったのです。面会調停も1年やりましたが、元妻から「子どもが会いたくないといっている」「子どもが風邪をひいた」そういった理由をつけて、会うことは叶わず、時間の無駄でした。調停員も自分には他人事のように仕方がないといわんばかりにみえました。そのため1年後には調停を取り下げ、会うことを諦めました。

それでも息子名義の口座には毎月お金を入れ、手紙を何通も書きました。ですが、手紙に返事が届くことはありませんでした。

成人した息子から届いた一通の手紙

今日は、面会交流を諦めてから16年の月日が過ぎた息子の20歳の誕生日。Aさんはひとり居酒屋でビールを飲みながら、「息子が目の前にいたら、一緒に居酒屋でビール片手にお祝いができただろう。身長は自分より高くなったのだろうか。大学生になったのだろうか」と思いを馳せます。会えなくても息子のはたちを静かに祝い、帰宅しました。

いつもどおり郵便受けをチェックすると、手紙が届いていることに気が付きます。差出人を見ると、そこには息子の名前が……。

20歳になった息子から初めて返事が来ました。なかには『会いたい』の文字。手紙に記載されていた携帯番号に電話し、16年ぶりの再会を約束します。調停はまったくの無意味でしたが、息子からの手紙に救われその場で号泣しました。

再会を果たし、息子から聞いた予想外の真実

息子は20歳から1人暮らしをしようと、家の片付けをしていたところ、偶然手紙の束を見つけ、驚いたそうです。母親は父親からの手紙について一切触れませんでした。息子は、父親が会いたがっていることを知らずに育ったそうです。息子は父親からの手紙を読んで、会って真実を確かめたかったから手紙を書いたというのです。

息子は、自分は父親から見放されたと思っていたようです。昔、母親に父親の話をすると、父親の話はしないようにと怒られ、それ以来、尋ねることができなくなりました。

成長するにつれて、大人になったら父親を一度捜してみようと思うようになりましたが、連絡手段が見つかりませんでした。そんな折、大量の手紙を発見したそうです。手紙を読むと、父親は自分に会いたがっていたことがわかり、息子も泣いたそうです。

母親と息子の関係は虐待等はなく、普通に母親の実家で暮らしていました。ですが、宗教活動は変わらず続いていたようです。離婚を決意したときと同じように、生活費を宗教活動に使い、生活は苦しかったようです。息子は成長するにしたがって、必要以上にお金を使う母親と母親の家族から、独立したいと思うようになり、20歳までにお金を貯めて家を出る決心をしたそうです。

父子は16年目にして再会を果たし、2人で喜びをわかちあいました。

子どもの健やかな成長のために

離婚後のひとり親家庭で、子どもと離れて暮らす親との面会交流について取り決めをしている割合は、母子世帯で30.3%、父子世帯で31.4%という状況です。協議離婚では、親子交流(面会交流)の取り決めをしている割合が低くなっているのが現状のようです。

面会交流を拒否する主な理由としては、「相手と関わり合いたくない」「養育費を払わない」などがあげられます。しかし実際にはAさんのように、調停離婚し養育費を支払っていても、面会交流が叶わないこともあります。

子どもの健やかな成長を第一に考えるのであれば、取り決めをしないでも、いつでも交流ができる状態にしてあげられるような環境を整えることが大切だと感じます。

参考

厚生労働省:令和3年度全国ひとり親世帯等調査の結果を公表します

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9ff012a5/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_05.pdf

内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」

https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/10th/pdf/1.pdf

2023(令和5)人口動態統計月報年計(概数)の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/kekka.pdf

三藤 桂子 社会保険労務士法人エニシアFP 代表

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